皆様、こんにちは。お元気にしていらっしゃいますか? ニューヨークは、異常気象でまだまだ暖かく、不気味な天気が続いています。でも、出かけやすいので、バレエやダンス鑑賞にぴったりです。街中、クリスマスの飾り付けでいっぱいで、とてもにぎやかできれいです。
さて、秋はたくさんのダンス公演が目白押しで、今月は作品をしぼって観るのに迷いました。出来るだけ、観たことがないカンパニーを選んでみました。初めて観るダンスカンパニーの大特集です。
●アメリカン・バレエ・シアター恒例のシティーセンター公演
ABT(アメリカン・バレエ・シアター)の、毎年恒例のシティーセンター公演が、10月19日から11月6日まで行われました。先月のレポートの続きです。このシティーセンター公演は、ふだんの長編のABT公演と違って、色々な振付家の作品を、小品集で観ることが出来るので、とても好評です。毎回、プリンシパル・ダンサーたちが勢揃いします。
今月は、10月29日夜の公演を観に行きました。鍛冶屋百合子も出演していました。
一つ目は、ショパンの曲に乗った、『レ・シルフィード』で、ミハイル・フォーキン振付作品です。ワルツやマズルカが多い、舞踏会のような振付でした。
2つ目は、ロビンズ振付の『アフタヌーン・オブ・ア・ファウン(牧神の午後)』で、ドビュッシーの音楽にのったものです。以前、こちらのコラムでも紹介しましたが、NYCB(ニューヨーク・シティー・バレエ)で、全く同じ作品を観ました。バーのあるレッスン場に、ふだんのレオタードの衣装で、2人の男女のバレリーナだけが登場します。昼寝の夢心地の中、寝ぼけている時に、牧神が現れて、一緒に踊って消えていくという、不思議な作品です。観客も一緒に夢の中に入りこんで、また覚めるような感覚におちいるので、客席からは、感嘆の声とどよめきが起こっていました。
3つ目は今日の公演の目玉です! はっきり言って私は、これを観たいためにわざわざこの日に来ました。『海賊(Le Corsaire)』の第二幕の、パ・ド・ドゥです。海賊コンラッドの奴隷役の、アンヘル・コレーラと、パロマ・ヘレーラの踊りなのです。以前、こちらのコラムでも書きましたが、この海賊の奴隷役のアンヘルの踊りが最高で、初めて見たときは鳥肌が立ちました。感動のあまり目に焼きついて、彼の踊りのシーンが忘れられなかったほどです。アンヘルの踊りの中で、私が一番好きなものです。それをもう一度観ることが出来るなんて、と楽しみにしていました。 |
「牧神の午後」 |
「イン・ジ・アッパー・ルーム」 |
やっぱり、もう一度観ても格好よかったです。素晴らしい!アンヘルが出てきただけで、客席は大歓声をあげていました。荒々しい男の踊りといった感じで、変わった振付です。ジャンプが多く、空中で一瞬止まったかのようにピタッとキマリます。難しそうなところはたくさんあるのですが、印象的なのは、プリエからグランプリエをしながらぐるぐると回転するところです。皆様も、アンヘルのこの踊りをまだ観たことがない人は、ぜひ機会があれば観てください。観なければもったいないです。おすすめです。
最後の作品は、トニー賞受賞のトワイラ・サープ振付の、『イン・ジ・アッパー・ルーム』です。大勢のダンサーたちが小さなグループで数人ずつで、次々と速い展開で違う振付をしながら、たたみかけて重なり合うように続く、めまぐるしい振付です。スポーティーで、クラシックベースですがコンテンポラリーのダンスです。構成がとても個性的だと思いました。さすがは、今をときめく振付家の作品ですね。女性たちも、トウシューズをはいている人もいれば、スニーカーの人もいました。この作品では、鍛冶屋百合子が、2人から4、5人のなかで踊っていて、かなり目立っていました。 |
●ブラジルの「グルーポ・コルポ」の素晴らしいダンサーたち
10月25日から29日まで、BAMにて、ブラジルのダンスカンパニー、グルーポ・コルポの公演がありました。『レクオーナ・オンコート』という作品です。ブラジルのダンスカンパニーの公演を観るのは好きで、時々レポートするようにしています。サンバがあるせいかどうか分かりませんが、ブラジリアンのダンサーたちの体格は、とてもしなやかでバネが根本的に抜きん出ているように思います。混血だからでしょうか。ブラジルは格闘技もサッカーも強いですし、カポエイラ入りのダンスも凄いし、音楽も素晴らしいものが生まれてきますよね。今回の公演の、ダンサー達たちの体格も、これまた素晴らしかったです。
芸術監督はパウロ・ぺデルネイラス、振付はロドリゴ・ぺデルネイラスです。このカンパニーの歴史は古く、1975年創立です。振付もダンスも、とても素晴らしいカンパニーでした。選曲も素晴らしかったです。わざわざ遠くのブルックリンにあるBAMまで、観に来てよかったと思いました。BAMにはとてもいい公演が来るので、無理をしてでも観に来た方がいいと、いつも思います。 |
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振付は様々で、バラエティーに富んでいました。クラシックもベースにはありますが、基本的にはコンテンポラリーで、ブラジルらしいサンバもあったし、早いリズムのディスコミュージックのものもありました。ペアで踊るところも多く、リフトを多用しながら難易度の高い踊りもありました。ボサノヴァ、アフリカンミュージックのようなものもありました。
途中、一人の褐色の男性がソロで踊るシーンがありましたが、暗い照明のなか、うずくまって顔をうずめたまま、背中と肩と肩甲骨をウゴウゴと呼吸しているように動かしていました。まるで何か違う生物のような不気味で不思議な感じに見えてくるので、客席も固唾を呑んで見守っていました。背中の動きと、脇や腕の動きだけで、あんなに複雑な振付は、とても難しくてなかなかできるものではないです。そして踊りが終わり、ダンサーがゆっくり立ち上がると、完全なヌードで、観客がびっくりした瞬間にまた照明が一瞬で消えて、暗闇になりました。
舞台に、半円状に、黒のゴムのようなリボンのカーテンが閉まっていて、そこからダンサーたちが出たり入ったりして踊る作品も良かったです。ダンサーたちはタップシューズのようなものを履いていました。身体の力を抜いて、足を地面にバチバチ鳴らしながら動いたり、寝転がって動くところなど、とても個性的で、カッコいい振付でした。
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