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レポート:針山 真実 
[2013.04.22]

YAGPの決勝ラウンドで見た日本人と印象的だったダンサーたち

決戦ラウンドはまず女性ジュニアの部からはじまりました。
ジュニアの部は12歳から14歳。ジュニアの部とは言えプロも関心するほど今年はとてもレベルが高いものでした。ジュニアはまだ体が小さいので動きも軽くテクニックもよく決まっていました。
ジュニアの部14番の日本から参加した青木夏音は「ダイアナ」のヴァリエーションを踊り、とてもいいバランス感覚を見せ、初めから次々とポーズを決めていました。中盤で難しいイタリアン・フェッテと呼ばれる連続技も見事に止まって決めて見せ、音楽に良くあったキビキビとした良い演技でした。
そして16番の永久メイは「ドルシネア姫」のヴァリエーションを踊りました。
美しく伸びた膝と強くしなった足の甲は、見るからにバレリーナだと思わせる彼女のスタイルを更に美しく引き立たせていました。後ろに上げたアチチュードのラインは目に焼きつくような美しさ。基本に忠実に、とても丁寧に美しい演技を披露しました。

yagp2013_0418_04.jpg ガブリエラ・スティロ © Liza Voll Photography
23番のアメリカ、ガブリエラ・スティロが踊った「ダイアナ」のヴァリエーションは、最初に足を後ろに上げパンシェのポーズをしたときに、足が180度まっすぐ上にあがって静止。これだけでも会場がどよめきました。そのあとすぐのアチチュードターンはトリプル。そして中盤に出てくる難しい技となる足を横に上げてアラセゴンドターンをしてから巻き込むようにターンにつなげる部分では、アラセゴンドターンをダブルでしてから更にダブルピルエットに巻き込むという高度なテクニックを見せ、最後も余裕で3回転を回ってポーズをピタリと決めて会場が大いに沸きました。
57番のアメリカ出身、『エスメラルダ』を踊ったジゼル・ベセアは有名なタンバリンを使うヴァリエーションではなく、珍しい『エスメラルダ』の1幕のヴァリエーション。今回の出場者でもこの曲で踊ったのはただ一人。現実にエスメラルダがジプシーとして街中で踊っているようで、表現力が豊か。とても美しい足の甲のラインと、高く上がる足が印象に残り、回転、ジャンプ、どれも良く踊れていました。弱冠13歳でこの技術と表現力には予選の時から目を引きました。
67番の中野怜美は生き生きとしていて、とても愛らしい「スワニルダ」のヴァリエーションを踊りました。音楽に振付がピタリとあっていて、見ていて爽快なダンサー。客席に向かってニコッと笑う瞬間がチャーミングで、ポーズを決めるポイントや見せ場のポイントを自然とこなしていました。最後の回転後のアラベスクポーズもしっかりと止まって決めました。
 71番の韓国からの出場者、「リーズ」のヴァリエーションはあまり見かけないヴァリエーションを選びました。彼女が踊ると、難しいはずのステップがまるで風のようにサラっとこなされ、細く長い手足が美しく、内容が濃く長いヴァリエーションをとてもナチュラルに踊りました。客席からは「すごい、信じられないわ」という声が漏れていました。
78番の磯永早希は「ドルシネア姫」のバリエーションを、とても丁寧なドルシネア姫を踊りました。中盤に出てくる連続技のバロネも丁寧に見せ、後半のシッソンというジャンプから、立ち上がったアラベスクの高く伸びたラインが印象的でした。
ジュニアの部ではバランスの強いダンサーが多く、回転技では4回転や5回転を次々に決めるのが見られ、会場から歓声が沸いていました。しかしこの回転技がどれだけ審査員に好まれるのかは、審査結果でわかるのではないかと思います。

yagp2013_0418_02.jpg 永久 メイ
© Liza Voll Photography
yagp2013_0418_01jpg 青木 夏音
© Liza Voll Photography
yagp2013_0418_03.jpg エミリア・サンボア
© Liza Voll Photography
yagp2013_0418_05.jpg マリナ・フェルナンド・ドゥアテ
© Liza Voll Photography
yagp2013_0418_06.jpg ジゼル・ベセア
© Liza Voll Photography
yagp2013_0418_07.jpg 中野 怜美
© Liza Voll Photography
yagp2013_0418_08.jpg スー・ビン・リー
© Liza Voll Photography
yagp2013_0418_09.jpg マリア・クララ・コエホ
© Liza Voll Photography
yagp2013_0418_10.jpg 磯永 早希
© Liza Voll Photography

そして男子のジュニアの部と続きます。通常男子のヴァリエーションはほとんどジャンプと回転技が多く入っていて、それらが見せ所となるのですが、決戦ラウンドでは慣れない床で困難だったのか、また緊張もあってか回転技がうまく決まらないダンサーが多く、おそらくレッスン場では決まっていたのだろうと思うと残念でした。

yagp2013_0418_11.jpg ガブリエル・フィグエルド
© Liza Voll Photography
男子のトップで出場した151番のブラジル出身、ガブリエル・フィグエルド(13歳)は体もまだ小さく少年ですが、それがまた初々しくて見ていてこちらが嬉しくなるようなダンサー。ジャンプのラインもポールドブラの使い方も綺麗で、小さなプロフェッショナル・ダンサーを見つけたような気がしました。これから数年後が楽しみです。
159番、所属スクール無しで参加したダニエル・アレハンドロ・マコミック・クインテロは『白鳥の湖』の王子のヴァリエーションを踊り、深く柔らかいプリエの使い方良かったです。ジャンプから着地したときの足がクッションになるので、彼のような柔らかいプリエが出来るダンサーは、将来長く踊れるのではないかと思います。ピルエットではバランスを崩しかけましたが、粘り強く堪えて最後までミスなく踊りました。
161番の野中悠聖、13歳は『ドンキホーテ』のヴァリエーションを踊りました。かっこよく登場し初盤のジャンプは全て決めたましが、中盤の回転でバランスを崩したのが惜しかったです。それでも最後はバッチリ決めて会場からは大きな拍手を貰っていました。
168番のアメリカ出身の『海賊』のランケデムのヴァリエーションを踊ったフェルナンド・マーティン・ガイランは、可愛らしい笑顔を見せ爽やか。ピルエットは3回転でしたがゆっくりしたスピードで美しく回転したので3回転でも印象に残りました。
175番のアメリカからのレックス・イシモトは『パリの炎』のヴァリエーション、膝下の足首と足先の形が気になりましたが、ターンでは高速回転を見せ、数え切れない位のピルエットを成功させました。最後の最後までレボルタッドという空中で足を入れ替える大技のジャンプを連続で決め、観客を興奮させました。

yagp2013_0418_12.jpg ダニエル・アレハンドロ・マコミック・クインテロ
© Liza Voll Photography
yagp2013_0418_13.jpg 野中 悠聖
© Liza Voll Photography
yagp2013_0418_16.jpg デービット・プレシアド
© Liza Voll Photography
yagp2013_0418_14.jpg フェルナンド・マーティン・ガイラン © Liza Voll Photography yagp2013_0418_15.jpg ロドリゴ・ピント  © Liza Voll Photography

続いては女性シニアの部。ジュニアの部に続きシニアの部もレベルがとても高かったです。

yagp2013_0418_17.jpg ルー・シュピヒティヒ
© Liza Voll Photography
205番、スイスから参加したルー・スピクティグが踊った『ジゼル』は、個人的にとても好きな踊りでした。舞台から出てきた瞬間に会場が『ジゼル』の雰囲気になり、優しそうで、どこか弱々しく、そして初々しいジゼルでした。一つ一つのポーズもとても美しく、クラッシック・バレエの基本がきっちりと出来ていて、とても丁寧な踊り。最後の連続ターンで舞台を一周した後に膝を着いて終わるその降り方まで素晴らしかったです。彼女はまさにジゼルでした。
206番、日本から参加した佐藤理央は『コッペリア』よりヴァリエーションを踊りました。手足の使い方とタイミングがとても良いと思いました。しっかりと見せ所をアピールできていて、ピルエットも3回転、3回転、4回転と安定して決めていました。会場から大きな拍手をもらっていました。
215番、日本から参加した齋藤希生が踊った『エスメラルダ』のヴァリエーション。彼女の踊りは上品で一つ一つのポーズのラインも美しく、とても好印象でした。特に足を横に上げたときのラインが美しかったです。また衣装も美しく記憶に残るチュチュでしたし、ポワントの立ち方も美しく、踊り、音楽性、総合的にどれも良かったと思いました。
217番、ミコ・フォガティーもタンバリンを使った『エスメラルダ』のヴァリエーションを踊りました。体の柔らかさを十分に生かして、中盤で足を後ろに上げたアチチュードでタンバリンをたたくポーズは腕の位置、頭の位置、脚の位置がとても綺麗に決まっていました。上半身の使い方もしなやかでとても良かったですし、ターンもピタリと3回転を決め、余裕が感じられる素晴らしいパフォーマンスでした。
230番、日本から参加した岡野祐女は『眠れる森の美女』よりオーロラ姫のヴァリエーションを踊りました。歩いて出てきてセンターでポーズをしただけでお姫様の雰囲気が漂っていました。初めの後ろに上げたアチチュードのポーズがとても美しく、両足を揃えてスッスをしたときのポワントの足もピタリと重なっていてとても美しかったです。
yagp2013_0418_27.jpg ローレン・カルフォライト© Liza Voll Photography
243番のアメリカ、レーチェル・リチャードソンが踊ったのは『パキータ』のヴァリエーション。彼女は生まれ持った素材が良く、手足がとても美しくて、バレリーナになるための贈物を神様に貰ったダンサーだと思いました。ただまだ少し弱さもあり少しぐらつきが見えましたが、これから鍛えられれば将来が楽しみなバレリーナでした。
248番のベルギーから出場したキャサリン・ヒギンズは長身で手足がとても長くて顔が小さく、ニーナ・アナニアシヴィリを思いださせるようなスタイル。ボリショイ・バレエ版の「黒鳥」のヴァリエーションを踊りました。彼女の腕の羽をあらわす動きがやわらかく美しく、クラッシック・バレエの基本がしっかりと出来ていました。とても堂々とした踊りでした。
スイスから出身となっているMAIKO TUTUSIは留学生でしょう。『パキータ』のヴァリエーションを披露しました。横に足をあげるアラセゴンドを数秒足が上がった状態で静止していました。最後のイタリアンフェッテの連続技も疲れを見せず8回続けて最後にきちんと止まって決まっていました。

yagp2013_0418_18.jpg 佐藤 理央
© Liza Voll Photography
yagp2013_0418_19.jpg 齋藤 希生
© Liza Voll Photography
yagp2013_0418_20.jpg ビアンカ・ゴメス・テクセラ
© Liza Voll Photography
yagp2013_0418_21.jpg ミコ・フォガティー
© Liza Voll Photography
yagp2013_0418_22.jpg 岡野 祐女
© Liza Voll Photography
yagp2013_0418_23.jpg レーチェル・リチャードソン
© Liza Voll Photography
yagp2013_0418_24.jpg キャサリン・ヒギンズ
© Liza Voll Photography
yagp2013_0418_25.jpg ジェニファー・グレース
© Liza Voll Photography
yagp2013_0418_26.jpg つつい まいこ
© Liza Voll Photography

男子シニアの部。
男性シニアの部となるとすぐにでもプロになれそうなダンサーが多く、すっかり成人男性的な踊りでした。特に中国からの参加者が多く決勝に進んでいました。
327番、まずローザンヌ国際バレエコンクールで1位になったブラジル出身のアドネイ・ソアレス・デ・シルバが『眠れる森の美女』よりヴァリエーションを踊りました。若々しいエネルギーに溢れていて踊りが人一倍大きく見える、跳躍も美しく、飛んだときに開いた足も180度。でも5番ポジションなど基本の部分はきっちりと見せていました。
363番の日本からの留学生で今回はアメリカから出場した寺田智羽が踊った「アクティオン」のヴァリエーションが、この日最も会場を沸かせました。彼は完璧でした。大きな跳躍、足を2回打ちつけるカブリオール、そして見事なピルエットはその回転の数だけでなく安定感もあり、回った後にバランスを取るほどの余裕がありました。大技をいかにも日常のように次々と決め、演技の途中から既に会場は沸いていましたが、最後のポーズを音どおりに決めると場内からは大きな歓声が沸きあがりました。
373番の韓国のジョ・ウォン・アは長身でスタイル抜群、ヨーロッパでも通用できるダンサーだと思いました。とても落ち着いた雰囲気で貫禄のある『白鳥の湖』の王子を披露。ピルエットが2回ともルルベのかかとの高さが低くなったことが残念でしたが、ジャンプの着地はいつもキレイで素晴らしいダンサーでした。
374番のスイスから来た19歳のレオナルド ・バシリオは『グラン・パ・クラッシック』を踊りました。彼も長身でスタイルがとても良く、頭が小さくて足が長くておまけに足先が良く伸びる恵まれたダンサー。気品があり今すぐにプロフェッショナルのダンサーとしての契約をもらっても不思議ではないと思いました。

yagp2013_0418_28.jpg アドネイ・シルバ
© Liza Voll Photography
yagp2013_0418_31.jpg ジョナサン・クレイン
© Liza Voll Photography
yagp2013_0418_34.jpg レオナルド・バジリオ
© Liza Voll Photography
yagp2013_0418_29.jpg ダニエル・ドゥレット  © Liza Voll Photography yagp2013_0418_30.jpg フランシスコ・ソラノ  © Liza Voll Photography
yagp2013_0418_32.jpg 寺田 智羽 © Liza Voll Photography yagp2013_0418_33.jpg ジョ・ウォン・ア © Liza Voll Photography