ニュース

コンクールNews: 最新の記事

コンクールNews: 月別アーカイブ

レポート:針山 真実 
[2014.04.18]

ユース・アメリカ・グランプリ・ニューヨーク・ファイナル、日本人3名表彰

シニア男性1位二山治雄、ジュニア男性1位益田隼、ジュニア女性杉浦優妃

4月9日、15周年記念を迎えたユース・アメリカ・グランプリのニューヨーク・ファイナルの決戦がリンカーンセンターにあるデービット・コック・シアターで行われた。
審査はジュニアの部の女子から始まった。

YAGP2014_02Yuki-Sugiura_NY14.jpg ジュニア女性2位 杉浦優妃
(C) Siggul / Visual Arts Masters

まずは、日本のRBSバレエカンパニーに所属している井関エレナ(12歳)による『ダイアナとアクティオン』のヴァリエーション。踊り出だしのアラベスク・パンシェの後ろ足がほぼ天井向きに180度に伸び、会場から「ワァッ」という驚きのどよめきが沸き、背中の柔らかさの強烈な印象を残し、最後までキビキビとポーズを見せメリハリのあるとても良い踊りだった。
そして次に印象深い踊りだったのが、アメリカのアヴィヴァ・ゲルファー・マンダル(12歳)の『パキータ』のヴァリエーション。手足が細長くてスタイルが良く足の甲や膝もとても綺麗に伸びている。上半身、顔の使い方は12歳とは思えない踊りで、ポーズ一つ一つを『パキータ』の踊りらしくシャープな動きで決めて、表現力に溢れたダンサー。最後のバロネの連続では足の美しさが際立ち、強さとバランスを十二分に見せつけて大きな拍手を浴びた。
カナダのマルティナ・プリフォンテイン(12歳)は、『パキータ』のエトワールのヴァリエーションを踊った。初めに出てくるアントルシャ・シスという足を素速く打つジャンプの出来がとても素晴らしい。なかなかこのようなシスは見られない。そして着地の5番ポジションが綺麗で感心。丁寧な踊り方で上半身の使い方も美しかったのが印象的だった。
そして日本から参加した、れい美花ダンススタジオに所属している若林 侑希(13歳)。『コッペリア』よりスワニルダのヴァリエーションで素晴らしい踊りを見せた。軸やバランスのコントロール、客席に向けての見せ方、演じ方もとても良かった。ジャンプも軽くて大きく開いた開脚のラインも美しく、ピルエットでもぶれの無い3回転をきっちりと回ってポーズを決め、とても完成度の高い踊りだった。
続いて日本から参加した東條裕子バレエシアター所属の井阪 友里愛(13歳)が、『エスメラルダ』のヴァリエーションを踊った。初めにエシャッペで立った瞬間から足の甲が美しく伸び、反った背中のラインも印象的。次にアラセゴンドの高さと足のラインの美しさ、音の使い方も非常に気持ちがいい踊り。最後の難関であるバロネの連続も力強いバランスを見せ、素晴らしい踊りだった。
アメリカのフロリー・ゲラー(14歳)は『ヴァルプルギスの夜』を踊った。エネルギッシュでパワフルに舞台を大きく使って踊りを見せ、身体の使い方も伸び伸びとしていて、楽しそうに踊ったのが印象的だった。
ジュニアの部の最後は、日本の蔵本誠子バレエスクール所属の杉浦優妃(14歳)。『眠れる森の美女』よりローズ・アダジオのヴァリエーションを踊った。歩き方のドゥミ・ポイントが高くて美しい。日本人離れをした体格でスラリと細長い手足を持つ彼女、初めのアラベスクのポーズ、そして途中パッセのポーズはとてもアンデオールされていて、パッセの開き方が美しい。とても上品で、やわらかく丁寧な手の使い方も素晴らしかった。

YAGP2014_03Yuki-Sugiura_NY14.jpg 杉浦優妃 (C) Siggul / Visual Arts Masters YAGP2014_04Yuki-Sugiura_NY14.jpg 杉浦優妃 (C) Siggul / Visual Arts Masters

続いてジュニア・男子の部の審査。
日本から参加した川口 ゆり子バレエスクール所属の大塚渓(13歳)が『白鳥の湖』よりヴァリエーションを踊った。大きな国際舞台というだけに表情は少々緊張気味にも見えたが、しっかりと基本を大切に一つ一つの動きをこなし将来性を見せた。これからの成長が楽しみだ。
カナダから参加したシェール・ワグマン(13歳)は、『海賊』のヴァリエーションを踊った。アリ役になりきって全身を大きく使って、キビキビと元気に踊ったのが印象的。思い切りが良く身体から発散した踊りで、最後の決めポーズでは手が床に付くほど後ろに反り返ると会場からは歓声が沸いた。

YAGP2014_01Jun-Masuda_NY14.jpg ジュニア男性1位 益田隼
(C) Siggul / Visual Arts Masters

そして日本のバリエーションバレエスクール所属の益田隼(13歳)は、『ラ・バヤデール』のヴァリエーションを踊った。とても13歳とは思えないプロフェッショナルな出来栄え。バレエの基礎をきっちりと見せた上で、ジャンプの高さや空中での美しさ、回転のコントロールも抜群で、見せ場を大いに盛りあげて会場を沸かせた。音楽ともピタリと合っていて素晴らしかった。
サウスアフリカから参加した14歳のリロイ・モクゲトルは、まだ小柄で可愛らしい。しかし踊りやポジションはしっかりとしていて、動きにはキレがあり勢いがある。そして美しさも兼ね揃えている。『ラ・シルフィード』のヴァリエーションを爽快に演じ、アチチュードのあげ方も気持ちが良く、見ている方がスカッとするような踊りだった。
足の甲の美しさが群を抜くオーストラリアから参加したハリソン・リー(14歳)は、『パリの炎』のヴァリエーションを踊った。ジャンプは180度以上に美しく開き、衣装のブーツを履いていても美しい足の甲に目が行く。回転する前にプレパレーションで出した足にもすぐ目が行ってしまう。女性ファンが増えそうな爽やかな笑顔、音楽にも良くあった踊りで、『パリの炎』だけどしなやかさもあり、回転もぶれなく決めて好感が持てるダンサー。

休憩を挟んでシニアの部の審査。
まず初めにアメリカのマダリン・ウー(15歳)が、『ヴァルプルギスの夜』のヴァリエーションを踊った。手足が長くスタイルが良い彼女。表現力豊かに演技を見せながら身体を大きく使って踊った。最後に連続回転のフェッテを16回しっかりと見せて成功させ、会場を沸かせた。
日本の服部彩子バレエクラスに所属している雨宮瑞希(15歳)。『パキータ』のヴァリエーションを踊った。彼女も手足が長くスタイルが良く、特に膝下から足の甲の美しさが印象に残った。踊りは丁寧で一つ一つのポジションが正確。足の出し方や手の使い方も丁寧で上品だったのが印象に残った。
『パキータ』のエトワールのヴァリエーションを踊ったのは中国のリ・シャン(15歳)。彼女を見ていると現在サンフランシスコ・バレエで活躍しているヤンヤン・タンを思い出すほど容姿が美しく、一つ一つの動きを非常に丁寧に踊った。特に背中を反らせたポーズの、背中のラインが柔らかくとても美しかった。
スイスから参加したローラ・フェルナンデスは『海賊』のパ・ド・トロアよりヴァリエーション。上段がピンクで下段と色が異なるチュチュが素敵。まだ弱さも見えるがアチチュードのポーズは美しく、膝下も綺麗。ピルエットでは前半は3回転で後半からは2回転になったが、基礎が綺麗で将来が楽しみ。
そして予選の時からとても印象に残っているのが、サンフランシスコ・バレエ学校から出場したジュリエット・ドァルティー(16歳)。彼女は手足が特別長いわけでもなく、足が高く上がるわけでもない。しかし歩いて出てきたときから何処かが違っていて、素晴らしい踊りになるだろうと期待した。『グラン・パ・クラシック』のヴァリエーションを踊ったのだが、初めのパッセを一つしただけで、期待は裏切られなかった。去年の1位だったスイスのジゼルを思い出す。基本が美しく、足先、ポジション、手の使い方、上半身もとても美しく、バレリーナとしての魅力を持っている。コンクールだからといって余計なことをせずに清楚で上品。途中で軸がグラついた部分もあり惜しいと思ったが、完璧でなくても十二分な魅力と印象を残した。
ブラジルのジュリアン・フランゾ・リンハレス(16歳)は、『エスメラルダ』のヴァリエーション。軸が強くバランスや回転はぶれない。タンバリンを叩く音が音楽にも良く合っていて、踊りも正確。エスメラルダは時に強烈なキャラクターで見せつけるダンサーもいるが、私は彼女くらいの見せ方が丁度良いと思う。最後のバロネの連続もバランスが良く、音通りにタンバリンを叩きポーズを決めると観客から歓声が沸いた。
日本の白鳥バレエアカデミーから参加した山田夏生(18歳)。『エスメラルダ』のヴァリエーションを踊った。初めに揚げたアラセゴンの足の高さが高く、そして足のアンデオールのラインは素晴らしい。音楽にも良く合っていてとても魅力的なエスメラルダ。特に印象的だったのが最後のバロネの連続技で伸ばして見せた、突き刺さりそうな足の強さとバランスの良さ。私が今まで見た『エスメラルダ』の中でも一番強烈なエンディングを見せた。

続いてシニア、男子の部。
まず印象的なのはアメリカから参加したレックス・イシモト(15歳)。去年は『パリの炎』を踊っていた彼の記憶があるが、今年はバレエの基本、技術ともに成長していた。ジャンプがとても軽くて簡単な技に見える。得意の回転もしっかりと決まっていた。
中国から参加したフェン・ハオ・リヤン(16歳)は背が高くてスタイルが良く、足の甲や膝も良く伸びて美しい。きっとバレエ団からオファーがかかるのではないかと思う。男性でもアラベスクのポーズが美しく、ジャンプで開いた時の足のラインも印象的。
アメリカのザッカリー・ドウナー(16歳)が踊った『海賊』のヴァリエーションはジャンプが軽く高さもあって、足の開く角度は200度くらいは開いていて柔軟性、脚力がある。後ろに上げたクロワゼ・アチチュードが気持ち良いほどに高く美しく、エネルギー全快で踊りきった。
やはりアメリカから参加したジンチャン・グ(16歳)は、『ダイアナとアクティオン』のヴァリエーション。初めに大きなカブリオールの2回打ちを見せ力強いジャンプで会場を沸かせると、軸のぶれない回転、ピルエットをしっかりと決めて、最後まで勢いが落ちずに豪快に踊りきった。

YAGP2014_06Haruo-Niyama_NY14.jpg シニア男性1位 二山治雄
(C) Siggul / Visual Arts Masters

日本から参加した白鳥バレエアカデミー所属の二山治雄(17歳)は『ラ・バヤデール』のヴァリエーション。登場から落ち着いていて、踊りには品がある。ジャンプは高く、空中でもポジションが美しく着地までも美しい。必要以上に余分なことをせず、この作品の役柄、踊りのシチュエーションをよく理解していると思う。回転もしっかりコントロールされていて余裕のあるバランスを見せると、最後のマネージといわれる連続の開脚ジャンプで舞台を一周するところでは、足が200度程開き柔軟性も見せた。最後まで焦りなくしっかりと音通りにポーズを決めると、大きな歓声が沸いた。
次にキューバのシーザー・カレラス(17歳)が『ドン・キホーテ』のヴァリエーションを踊った。二山の歓声の後でどのようなプレッシャーを感じているだろうかと思ったがその心配は無用で、逆に観客に対して自分の踊りを見てくれと言っているような自身を持った登場で、キザなバジルになりきっている。出だしからキレのあるジャンプを見せた。彼を見ていると楽しくなる。長い足と伸びた甲のラインはとても美しく、回転の後も余裕でバランスをとった。後半は舞台中心で回転技の連続を最後まで見せた後に、膝を突いて座ってポーズをバッチリ決めると観客からは鳴り止まない歓声が響いた。
最後の日本人、田中バレエアート所属の森本亮介(18歳)は、回転での軸がぶれてしまって一回勝負のコンクールとしては惜しいところがあったが、基礎がしっかりとしていてジャンプやポーズはとても素晴らしい。背が高く、足も長くて体格が良いダンサーでこれからの活躍が楽しみだった。

YAGP2014_08Haruo-Niyama_NY14.jpg 二山治雄 (C) Siggul / Visual Arts Masters YAGP2014_07Haruo-Niyama_NY14.jpg 二山治雄 (C) Siggul / Visual Arts Masters
YAGP2014_05Haruo-Niyama_NY14.jpg 二山治雄 (C) Siggul / Visual Arts Masters

YAGP2014ファイナルの結果はこちら
http://www.yagp.org/eng/new_york_ny_2014_winners.php
 

YAGP2014_0421_02.jpg YAGP2014_0421_03.jpg YAGP2014_0421_04.jpg
YAGP2014_0421_05.jpg YAGP2014_0421_06.jpg YAGP2014_0421_07.jpg
YAGP2014_0421_01.jpg 写真:針山 真実