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[2008.05. 9]

「第21回こうべ全国洋舞コンクール」速報


すずな あつこ

GW恒例の「こうべ全国洋舞コンクール」、21回目の今回、1336名ものエントリーを得て盛大に開催された。4月26日、27日にモダン&創作部門の 決選、5月3~5日にクラシック部門の予選及び、女性ジュニア2部と女性ジュニア1部の準決選、6日に決選というスケジュール。選ばれぬかれた参加者によ る6日のクラシック決選は、1日中息もつかせないほど見応えのあるものになり、客席もおおいに盛り上がった。

表彰式直後の各部門トップの喜びの声を紹介しよう。

【クラシック部門】
女性ジュニア2部1位
岡田あんりさん 12歳(滋賀県:淳バレエ学園)
  10歳~13歳の女の子たちーークラシック女性ジュニア2部、522人の参加者のうち決選に進んだのはたったの39人という厳しさ。そのなかで堂々のトッ プに輝いた岡田さんが踊ったのは『くるみ割り人形』から金平糖のヴァリエーション。長く細い手足に金平糖の精の壊れやすそうな危うい魅力がよくあってい た。

「3歳でバレエを始めました。金平糖を選んだのは私です。この踊りの繊細なところが大好き。将来は海外で踊ってみたい、特にロイヤル・バレエの丁寧な踊りに憧れています」

男性ジュニア2部1位
藤島光太くん 12歳(香川県:バレエスタジオGEM)
  男性部門、10歳~13歳の2部は、まるで立派なダンサーのミニチュア版のような男の子たちの可愛らしさに、予選から会場は盛り上がった。藤島くんが踊っ たのは『バヤデルカ』よりソロルのヴァリエーション。小さな身体での大きな軽いジュテ・アントゥールナンが印象に残った。

「コンクールは8回くらい出ています。初めて出た名古屋のコンペティション21で1位。神戸に出るのは初めてです。ソロルのヴァリエーションは先生がユー ス・アメリカ・グランプリに出る時に選んで振りつけてくださいました。開脚系の動きが好き。将来もずっとバレエを踊っていきたい。特に、色んなタイプの上 手なダンサーがいるアメリカン・バレエ・シアターに憧れています」

女性ジュニア1部1位
大久保彩香さん 18歳(兵庫県:ISバレエ・アカデミア 泉・下森バレエ団)
 14歳~18歳のジュニア1部、女性1位は『白鳥の湖』より黒鳥のヴァリエーションを踊った大久保彩香さん。黒からすみれ色へのグラデーションという個性的なチュチュがよく似合い、まだジュニア部門でありながら大人の細やかさを感じさせる表現を観せてくれた。

「地元なので、小学校6年生から毎年このコンクールに出ています。1位は初めてでビックリ! とても嬉しいです。これまで『パキータ』や『シルヴィア』な ど、どちらかというと抽象的な踊りを踊ることが多かったので、物語性のあるものをやってみたくて先生と相談して黒鳥に決めました。この3月に高校を卒業し て、ISバレエで指導をしています。海外ですか? 日本で出来ることがたくさんあると思うので、このままここでやって行こうと考えています。私も先生に小 さな時からとてもいろいろなことを教わったので、それをこれからは子供たちに伝えていきたいと思っています。踊る方も、特に物語のある作品に挑戦したいで すね。チャイコフスキーの三大バレエを中心に古典は全部好きで、どれもやってみたいです」

男性ジュニア1部1位
上月祐馬くん 18歳(奈良県:萩ゆうこバレエスタジオ)
 男性の14歳~18歳の部門トップは、『エスメラルダ』からアクティオンのヴァリエーションを踊った上月祐馬くん。男らしいワイルドな魅力の彼にこの踊りがとても良く合っていた。

「バレエは8歳から、姉がやっていたので自分もやりたくなって。今、男性も増えて来ていますが、うちの教室では僕が一番年上です。こうべコンクールは留学 していた昨年以外、毎年出ていますが1位は初めて。バレコン福岡など他のコンクールでは1位をいただいたことがありますが。留学は、イギリスのエルマ・ ハーストに行っていました。収穫はたくさんありましたが、特に上半身の使い方が学べたのが良かった。今は高校を卒業して、男性ゲストとして呼んでいただい てプロとして踊っています。カンパニーに入ることですか? 今は具体的には特に考えていませんが、良い機会があれば日本でも海外でも……。アクティオンは 色んなダンサーのビデオを観て研究しました。僕は、ついつい人に左右されてしまうタイプなので、“自分らしく”ということを考えて踊りました」

女性シニア1位
川崎麻衣さん 19歳(兵庫県:貞松・浜田バレエ団)
  19歳~25歳のシニア部門、女性1位は『ジゼル』第1幕よりジゼルのヴァリエーションを踊った川崎麻衣さん。前奏で出てきて、お母さんに「踊って良 い?」とお願いし、許しを得ると「わぁ、嬉しい」と喜びを現し、アルブレヒトに慎ましやかなお辞儀をして踊りだすーー舞台にいないはずのお母さんやアルブ レヒト、村の人々が見えてきそうな、とても上品なジゼルだった。

「表彰式に呼ばれた段階で、番号間違いじゃないかと思ったくらいなので、1位と聞いて本当に驚きました。他のコンクールも含めて、1位をいただくのは初め てです。神戸は地元ですし、ほぼ毎年のように出場しています。5歳から貞松・浜田バレエ学園でバレエをはじめ、昨年、バレエ団に入団しました。子供たちを 教えながら、団員として、主にコール・ド・バレエで踊っています。ジゼルはずっと憧れていた踊りで、今回挑戦できて良かったです。振りは自分で考えたとこ ろも少しありますが、ほとんど松良先生。浜田蓉子先生にもみていただきました。今までオーロラなどお姫様系を踊ることが多かったのですが、ジゼルを踊って みて、自分なりに役に入れるなとーー物語性のあるものの方が自分にあっていると感じました。留学してみたいという思いはありますが、もしもしたとしても 戻ってきて貞松・浜田バレエで踊りたい。他のバレエ団の作品も観ますけれど、貞松・浜田バレエの版が、品があってとても好きなんです」

男性シニア1位
上田尚弘くん 21歳(大阪府:ケイ・バレエスタジオ)
 プロとして活躍するダンサーも多い、19歳~25歳の男性シニア部門。トップは『エスメラルダ』よりヴァリエーションを踊った上田尚弘くん。優しそうな笑顔と鍛えられた伸びやかさが観ていて心地よく、軸のある多回転、ブリゼの足先の美しさが眼に焼き付いた。

「コンクールはたくさん出ていますが、1位は二回目。ちょうど3年前に同じ神戸のジュニア1部で1位、そして今回です。バレエは3歳の時、姉がやっていた のに影響されて始めました。姉はやめてしまったのですが。昨年から少しずつ仕事をいただいて踊っています。これからも一つひとつの舞台を大切にきちんとで きるようにと思っています。踊る曲はいつも先生に選んでいただいています。このヴァリエーションは、オペラ座など2つの版を参考に先生が振付けてくださっ たのですが、曲は長いし複雑だし、他の曲よりも苦労しながら練習しました。身長があまり高くないということがあり、王子などはこれまであまりやっていない のですが、いろいろな役をこなせるようになりたいので、これからは王子にも挑戦したいです。ゆくゆくは、この役は僕にしか踊れないとみんなに思ってもらえ るようなものを持てるようになりたいです。クラシックだけでなく、矢上恵子先生のコンテンポラリーがとても好きなので、コンテでやっていけるように、とい うのも考えています」

【モダン部門】
ジュニア2部1位
谷野舞夏さん 13歳(東京都:DANCE WORLD made in TAKANE)
 8歳~14歳のジュニア2部トップは、『光と闇のレクイエム』の谷野舞夏さん。箱状のコマ付きのイスを使っての180度以上の開脚、イスに仰向けになったり、色々な形でもの凄いスピードで回転、手を使わない側転などアクロバットのような身体能力に目を見張った。

「コンクールは秋田や中野では出ていますが、神戸は初めてです。ダンスを始めたのは4歳の時、お母さんが自分は習えなかったので、私に習わせてくれたんで す。イスを使った技は、3年くらい前、小学校4年生の頃から先生に遊び感覚で『回れる?』と、言われて始めました。初めは身体が小さくて手がつかなかった ので、ちょっと怖くて、でも楽しくて回っていました。側転で手をつかない技は中国の先生に教わりました。バレエも幼稚園の頃に習っていたんですが、モダン の方が自分にあっていると思って、モダンを選びました」

ジュニア1部1位
新保恵さん 18歳(東京都:金井桃枝舞踊研究所)
 15歳~18歳のジュニア1部トップは、『優雅に叱責する自転車』を踊った新保恵さん。折りたたみ式の自転車を使って繰り広げられるダンスはとても独創的。タイトルも思わず「ん?」と、詳しいことを聞いてみたいと興味を引く。

「タイトルは、エドワード・ゴーリンという人の絵本のタイトルからなんです。先生がその絵本を見せてくださって、これで踊りを創るって。絵本の内容は勝手 に動く自転車の話で、大人ためのちょっとひねった童話というか……。私が踊るにあたっては、絵本とは離れて自分の思いを組み立てました。自転車は普段こが れているだけで、手入れもされない、いたわられることもないーー怒っているんじゃないか? それも優雅に……。今年はジュニア最後の年です。シニアになっ て、またこのコンクールに挑戦したいと思います。3月に高校を卒業して、先生の助手をしています。踊れるうちはもちろん踊っていきたいですが、ゆくゆくは 金井先生のような先生になりたいです」

シニア1位
大竹千春さん 30歳(東京都:ダンスカンパニーカレイドスコープ *所属団体は神奈川県)
 19歳~30歳のシニアの部トップは、『景相』を踊った大竹千春さん。ガクガクと機嫌の悪い生き物のようだったり、ニョロニョロっと動いたりーー顔が小さくスタイルのとても良い女性が、独特の形状で動く。個人的にちょっとアングラちっくな香りを感じたダンスだった。

「自作自演をすることが多かったのですが、今回、コンクールは最後と言うことで、二見先生とコラボレーションで振付けしました。第3者の目で見て、もっと いい自分を引き出してもらえたらと。『私はこうしてみたい』→『こうしてみたら?』→『こうしてみます』ーーと重ねていって。ダンスは小学生の時に少し やっていたのですが、本格的には大学に入ってから。お茶の水女子大の舞踊に進みーーとはいえ、ここは踊りを研究するところです。大学に入学した頃、たまた まフランスから帰られたばかりの二見先生に出会って、トレーニングの方に夢中になりました。11月から文化庁の在外研修でパリのスタジオ・ハーモニック、 ペーター・ダゴス先生のところに行きます。成果を上げられるといいのですが……」

【創作部門】
創作部門は残念ながら、最優秀賞が出ず。優秀賞に選ばれた2つを紹介する。
優秀賞
木原浩太さん 19歳(東京都:加藤みや子ダンススペース)
 女性2人、寺杣彩さん、塩川友佳子さんと、男性1人、振付の木原さんの3人でのダンスーー『青雲ーあおぐもー』。3人違う動きから同じ動きへ、無音から打楽器のリズムへ、そしてメロディのある音楽へーー表情も面白く、完成度の高いダンスだと感じた。

「この作品は、2月にもっと長いバージョンで創って、それを短くしたものです。バイトの帰り道に女の人が空を見上げている銅像があって、“青雲”と題がつ いていたんです。多分“せいうん”と読むのだと思いますが、敢えて“あおぐも”と読んで、そこからインスピレーションを得て創りました。母が舞踊家でその 影響で2歳からダンスをしています。今は日本大学芸術学部洋舞コースの2回生、出来ればこの道でずっとやっていきたいと思っています」

優秀賞
古木竜太さん 30歳(埼玉県)
  江本一宏さんと振付の古木さん、男性2人のダンス『BOW~キノウキョウアシタ』。電車のつり革につかまりよろよろする2人ーーといった所から始まるセリ フも効果的に使った作品。途中から鳴り出す昔懐かしいチェッカーズの『ギザギザハートの子守歌』に合わせて2人が踊る姿は、テンポがよく、思わず引きこま れる。間合いの妙もあり、ラストには客席から楽しげなクスクス笑いがもれていた。

「これは前に、ダンスプランで踊って、その時も終わった時には、今回のようなクスッと笑ってもらえる空気を感じました。実ははじめ、音楽はラップでやって いたのですが、なんだかありきたりな感じで悩んで、音響さんのアドバイスで色々聞いて、このチェッカーズを選びました。この曲は小学校1年生の頃に、とて も大人っぽく感じた曲。今、聞いてみると歌詞が意外に今の自分の思いと合っていて驚きながら踊りました。ダンスを始めたのは21歳、それまでは野球をして いて、大学のゼミナールで、それまでやったことのないことをしようと挑戦したのがきっかけです。今は、短期大学の教員として、「保育内容の身体表現」など を教えています。決まった時は本当にびっくりしました。実は昨日、踊って、一旦帰ったのですが、友人から知らせを受けて、こんな機会は一生に一度あるかな いかだと思って、舞い戻ってきました。光栄で身が引き締まる思いです。最初で最後と言われないように、創作を続けたいと思います」