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すずな あつこ 
[2016.05. 9]

第29回こうべ全国洋舞コンクール速報

今年もゴールデンウィーク、5月1日〜5日に神戸文化ホールを会場に「こうべ全国洋舞コンクール」が開催された。29回目を迎えた今回の参加者は900人弱ということ。減少傾向なのは、全国にコンクールが増えてそれぞれが狙うコンクールが分散しているからだろうか? とはいえ、これまでの受賞者が数々、世界的なダンサーに羽ばたいた歴史を持つコンクール、決選のレベルは素晴らしく高いものだった。
なかでも粒ぞろいだったのが、クラシック部門女性ジュニア2部(10歳〜13歳)とクラシック部門女性ジュニア1部(14歳〜18歳)。この2つの部は、参加者が多いため、予選と決選の間に準決選も挟まれ、決選に参加した2部の34名、1部の36名は本当に粒ぞろい。ほとんどが顔が小さく手脚の長いバレエに向いた体型で、基礎もきっちりと学んでいることが分かる踊り。ここから多くのダンサーが生まれるのだろうと頼もしく観た、と同時にこれからも数々の試練があるだろうけれど、ぜひ、良い芸術家として成長して欲しいと感じた。

そんなクラシック部門女性ジュニア2部で1位に輝いたのは、平石胡桃(大阪・エトワールバレエスクール)。『ドン・キホーテ』よりキューピッドのヴァリエーションを踊った。12歳、この年代だからこそ出せる子どもらしい可愛さも活かした素直な踊り自然な表情が魅力的。「憧れのバレリーナは中村祥子さん」と話す。
クラシック部門女性ジュニア1部1位は、大谷春乃(滋賀・今井結子バレエスタジオ)。14歳、昨年2部に出場した時から踊っている『コッペリア』第3幕よりスワニルダのヴァリエーションで受賞。喜びが身体じゅうから溢れるような踊りだった。それでいて品も感じられるのが良い。「スワニルダは楽しく表現できるので好き。今日はイタリアンフェッテも上手くいって良かった」。
クラシック部門女性シニア(19歳〜30歳)1位は、地元の藤本瑞紀(兵庫・大垣バレエスクール)。『パキータ』よりエトワールのヴァリエーションで受賞。香りが漂うような魅力がある踊り。現在、26歳、18歳から2年間のイギリス留学を経て、アメリカのサラソタ・バレエで3年間活躍した。サラソタで初めての主役が『パキータ』のエトワール、思い出の演目だ。

1605kobe_01.jpg 平石胡桃 1605kobe_02.jpg 大谷春乃 1605kobe_03.jpg 藤本瑞紀

クラシック部門男性も、決選を観ると、バレエ技術はもちろん、体型に関してもスラッとした良いスタイルを持ったダンサーが揃っていたのが印象的。クラシック部門男性ジュニア2部(10歳〜13歳)1位は松浦祐磨(東京・アサノバレエアート)、『ドン・キホーテ』よりバジルのヴァリエーションを踊った。空中で大きく広げた長い脚がとても美しい。13歳、「熊川哲也、イワン・ワシリエフが憧れ。日本を代表できるようなスターになりたい」といきいきと話す。
クラシック部門男性ジュニア1部(14歳〜18歳)1位は佐々木嶺(大阪・佐々木美智子バレエスタジオ)。『エスメラルダ』よりヴァリエーションを踊った。父は佐々木大、母は杉原小麻里、二人の良いところを両方受け継いだような魅力を感じる。スタイル良くアントルラセの後の脚が高く美しく、アチチュードの余韻も良い。今、17歳で、秋からスウェーデンのロイヤル・スウェディッシュ・バレエスクールに留学する。
クラシック部門男性シニア(19歳〜30歳)1位は、林高弘(大阪・地主薫バレエ団)。22歳、既に地主薫バレエ団公演や、さまざまな団体のゲストとして活躍するプロダンサーだ。『海賊』よりアリのヴァリエーションを踊った。伸びやかで気持ちの良いジャンプ、踊る喜びが溢れているように感じられた。

1605kobe_04.jpg 松浦祐磨 1605kobe_05.jpg 佐々木嶺 1605kobe_06.jpg 林高弘

モダンダンス部門は、それぞれ独自の演目で個性を活かして競われた。モダンダンスジュニア2部(8歳〜13歳)1位は、笹村奈央(茨城・D-Lifeダンススクール)。13歳、中学2年生、『夏…蜩のゆめ』を踊った。蜩(ひぐらし)のはかなさを表現、「モダンダンスは自由に踊れるので好き、今日は気持ちよく踊れました」と話した。
モダンダンスジュニア1部(14歳〜18歳)1位は、冨田奈保子(神奈川・平多正於舞踊研究所)、『嘆きのヴィーナス』を踊った。東京新聞主催の全国舞踊コンクールでも1位。「その時に比べても、今日は思ったように表現できなかった」と、1位ながらも悔しそう。「ただ“悲しむ”というのではなく、“嘆く”という言葉には女性の強さなどが感じられる」、そんな深いものを表現したいと考えている。
モダンダンスシニア(19歳以上)1位は、柴野由里香(神奈川・井上恵美子モダンバレエスタジオ)、自作の『渦』を踊った。26歳、勤めながら平日夕方や休日にダンスに取り組む毎日。「水や空気、いろんな渦に巻き込まれる自分を表現した」。身体能力も高く、メリハリのきいた引き込まれる踊りだった。

1605kobe_07.jpg 笹村奈央 1605kobe_08.jpg 冨田奈保子 1605kobe_09.jpg 柴野由里香

また、昨年新設されたモダンダンス部門グループは、金井桃枝舞踊研究所の小澤早嬉、関口花梨、須崎汐理、3人が踊った『Fan bone-骨ヲ扇グ-』が優秀賞を受賞。韓国舞踊を取り入れたように見える大きな扇を持った踊り。3人の動きは洗練されており、迫力に満ちていて引き込まれた。
創作部門の優秀賞は大前裕太郎の『行停 そのむこうがわ』、椎野純と踊った。ダンサーのレベルも高く、きちんと創っている構成の巧さを感じた。

*結果詳細は、下記、神戸新聞ホームページに掲載されている。
http://www.kobe-np.co.jp/info/youbu/2016/result/main.shtml