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すずな あつこ 
[2015.05. 8]

第28回こうべ全国洋舞コンクール結果速報

GW恒例の「こうべ全国洋舞コンクール」が今年も神戸文化ホールを会場に5月3日〜6日に開催された。クラシック・バレエ、モダンダンス、創作、それに、今年新設された新しい部門である“グループ”を合わせ、約1000人の出場者が神戸に集い、とてもレベルの高い演技が繰り広げられた。
ところでこのコンクール、今年、部門以外にもう一つ新設されたものがある。それは “ローズ賞” という賞。これは、このコンクールに第1回の立ち上げから長年ご尽力された蔵本誠子先生が昨年夏に急逝されたことから、蔵本先生が兵庫県洋舞家協会に多額の寄付をされていたものを基金として、男女ジュニア1部1位に贈られる賞。故人の大好きだったバラの花にちなんだ命名で、若き舞踊家がより大きく花開くように応援する思いが込められているという。筆者自身も蔵本先生とは、たびたびお話をさせていただいていた。いつもニコニコとされていて、バレエへの愛情、生徒への愛情が溢れる先生だと常々感じ、特に近年、とても良い生徒を次々と育てていらっしゃったのも印象深い。こんなに早くお別れが訪れるとは考えてもみなかったことで本当に残念でならないけれど、こんな形で蔵本先生の遺志がコンクールの中で残っていくのは素晴らしいことだと思う。

さて、各部門の1位を紹介していこう。創作、グループ、各部門は優秀賞が1つずつで最優秀賞は出ず、全体を通してグランプリは出なかった。
モダンダンス部門ジュニア2部1位は『朝露は花びらの上で』を踊った黒川はな(前多敬子・田中勉バレエ教室)。3歳からダンスを始めた中学1年生だ。踊ったのは指導者である前多の振付作品、お花に乗った朝露が宝石になるというお話をイメージしたものだそう。「表現力を持って踊るように頑張りました」ということ。

モダンダンス部門ジュニア1部1位は『光、差す。』を踊った堀内翼(黒沢輝夫・下田栄子モダンバレエスタジオ)。住まいは兵庫県尼崎市だが、母が昔、習っていた縁で長期の休みのたびに横浜の黒沢輝夫・下田栄子モダンバレエスタジオに。踊った作品は米沢麻佑子の振付で、踊った本人は「亡くなった黒沢先生が天から見守ってくださって光が差している」イメージなのだという。

モダンダンス部門シニア1位は『candle』を踊った田中朝子(すゞきさよこモダンダンスグループ)。今春、お茶の水女子大学の舞踊を卒業したばかりの22歳。踊ったのは自作で、ろうそくの灯りに、希望などのポジティブなイメージを重ね、どんなに弱くても絶やさない、あきらめないといった思いを表現した。男声の低い声の英語の歌に乗せ、軽さ、メリハリのある動きで惹きつけられた。

1505kobe_mj2_kurokawa.jpg 黒川はな 1505kobe_mj1_horiuchi.jpg 堀内翼 1505kobe_ms_tanaka.jpg 田中朝子

新設されたグループ部門は5件とやや寂しいエントリー状況。複数で踊る作品のダンサーを評価するということだが、参加を検討する側にどんな作品を出品すべきなのか迷いもあったのかもしれない。選ばれたのは優秀賞が1件で、兵庫県宝塚市の、れい美花Dance Studioの『Journey』。島﨑徹の振付で、志手美毬、武部可夏子、東百音、木村優希の4人で踊った。余韻を残してよく動くダンサーたち、ペアでの動きも効果的に取り入れて踊りの迫力を持ったものに仕上がっていた。

創作部門の優秀賞は、鈴木泰介振付の『空』(能美健志&ダンステアトロ21)。鈴木と贄田麗帆、2人の踊り。贄田は白いシンプルなワンピース、鈴木も白いシンプルな上下で、空色のシートの上で爽やかに踊った。2人とも身体能力が高く空に舞い上がるような雰囲気が観ていてとても気持ち良い。振付、踊り共にレベルの高い作品であることを感じた。

クラシック・バレエ部門女性ジュニア2部1位は『くるみ割り人形』より金平糖のヴァリエーションを踊った宮本乃々佳(糸尾和栄バレエスタジオ)。12歳、オーソドックスな金平糖とは違うボリショイの振付、難しいトゥールをよくこなし、高いパッセも印象的だった。

クラシック・バレエ部門男性ジュニア2部1位は『バヤデルカ』よりソロルのヴァリエーションを踊った秋山天彦
(貞松・浜田バレエ学園)。小学校1年生でバレエをはじめ、13歳、中学2年生。きれいなパ、とても軽い動きが印象的。「先生には軽いばかりではダメだと言われているんです。ソロルは色んな人が踊っているのを観てカッコ良いと思って!」選んだのだという。

クラシック・バレエ部門女性ジュニア1部1位は『エスメラルダ』よりヴァリエーションを踊った池田絢音(一柳多鶴バレエ学園)。今春、高校を卒業したばかりの18歳。コンクールで良く踊られるタンバリンの『エスメラルダ』ではなく、カスタネットの、憂いある前奏からの方。アチュチュードターンなどのバレエテクニックがとてもスムーズな上、踊り心が溢れる感じ。良いダンサーだと思ったら、昨年のローザンヌにも出場、そこでは「視野が広がりました。同世代と参加する中でたくさんの刺激を受けました。もっと頑張って、プロとして踊って行きたい」。昨年のサマースクールでOWPD Prixも勝ち取った彼女は、世界のプリンシパルダンサーと踊る権利を得て、夏にはバルセロナでダニール・シムキンと踊る予定なのだという。

1505kobe_fj2_miyamoto.jpg 宮本乃々佳 1505kobe_mj2_akiyama.jpg 秋山天彦 1505kobe_fj1_ikeda.jpg 池田絢音

クラシック・バレエ部門男性ジュニア1部1位は『パキータ』よりヴァリエーションを踊った仲秋連太郎(貞松・浜田バレエ学園)。16歳、高校2年生。柔らかな笑顔、脚を回しながらのトゥールもとても良かった。YAGPのスカラシップで9月からイングリッシュ・ナショナル・バレエスクールに留学予定なのだそう。イギリスを選んだ理由を聞くと「両親がソシアルダンスをやっていて、何度かイギリスに行ったのですが、街の雰囲気が好きなんです」ということ。

クラシック・バレエ部門女性シニア1位は『海賊』よりヴァリエーションを踊った山本茅美(安田敬子バレエスクール)。彼女はモダンダンス部門にも出場していて、そちらでも表彰式に呼ばれていたため(『Something I found』を踊って敢闘賞)、モダンダンス部門で着た赤いワンピース衣裳で壇上に。クラシック1位で呼ばれたダンサーがモダン衣裳というのは、つくづく、この時代、両方踊れなくてはいけないんだと実感。踊ったのは森の女王でも踊られるヴァリエーション、大きく伸びる踊り方が観ていてとても気持ちよかった。実は彼女は既にアメリカのミルウォーキーで2年間準団員を経験、今、就職先のカンパニーを探しているところなのだそう。そして、後で知ったのだが、彼女は牧阿佐美バレエで活躍した山本成伸の娘。

クラシック・バレエ部門男性シニア1位は『ドン・キホーテ』よりバジルのヴァリエーションを踊った出野佑都(畠中三枝バレエ教室)。脚をきれいに袖幕から出すところからの踊り、ノーブルなバジルだった。彼は4年前、24回大会で『眠れる森の美女』からデジレのヴァリエーションでジュニア1部1位。その時のインタビューで「秋から、ドイツのシュツットガルトに留学するんです」と聞いたのだが、その後、シュツットガルトで2年、ドルトムントに就職して1年。怪我で日本に戻り療養後、YAGPでアメリカのサン・ホセからワーキング・オファーを得たところだそう。「アメリカの観客の盛り上がりが好き。オーディエンスから想いをもらって踊るダンサーになりたい」と話す。これからが楽しみだ。
結果詳細は神戸新聞ホームページ「神戸新聞NEXT」を参照。
http://www.kobe-np.co.jp/info/youbu/2015/main.shtml

1505kobe_mj1_nakaaki.jpg 仲秋連太郎 1505kobe_fs_yamamoto.jpg 山本茅美 1505kobe_ms_ideno.jpg 出野佑都