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針山 真実  
[2014.06.30]

ジャクソン国際コンクール 2014 最終結果と受賞者へのコメント

ジャクソン・コンクールの第3ラウンド(決戦)が終了しました。
31人のファイナリストが3日に分かれてクラシックと自身が用意したコンテンポラリー・ダンスを踊りました。
どのダンサーも決戦に選ばれただけありレベルの高いダンサーばかり。しかし、最終ラウンドとあって緊張したのかバランスを崩したり転んでしまうダンサーもいましたが、確実に将来有望なダンサーばかりでした。中国や韓国からの参加者も多く、決戦にはアジア勢が多く残りました。
日本人の私が会場にいると、地元ジャクソンの人々から毎日声をかけられ日本人ダンサーのレベルの高さ、素晴らしさを褒めて頂きました。またロシア、キューバ、チリ、アメリカからも素晴らしいダンサーたちがそろい、審査は難しかったと思います。

1406shiori_kase.jpg 加瀬 栞 Photo:Todd Lechtick

日本人ではジュニアの部の永田瑞穂、第一ラウンドから注目を集めたダンサーで、日本人離れした体型を持ち、つま先も膝も美しく伸びていました。会場にいた皆が、将来がとても有望、素晴らしいダンサーだと声をそろえた15歳。15歳とは思えない表現力と完成度の高い踊りを見せ、32回転のフェッテでも2回転や3回転、そして方向転換をしながらのターンを混ぜた軸のぶれない完璧な技術。とにかくスゴイ!! と驚きました。
シニアの部の加瀬 栞はイングリッシュ・ナショナル・バレエでプロフェッショナルとして踊っているダンサーだけあり、足の出し方から首の使い方、指先の見せ方、動きのしなやかさ、とても洗練されていて美しく素晴らしいダンサーでとても印象に残りました。
第一ラウンドで客席をもっとも沸かせたと言っても良いのは宮崎たま子。『エスメラルダ』のパ・ド・ドゥで、アチチュードのプロムナードから永遠に止まっていられそうなバランスを見せ、そのままバランスから笑顔でアラベスクに変えて見せたとき、客席は驚きに湧きあがりました。
彼女の笑顔には何かとても引きつけられるものがあり、彼女の踊りにはパッションがあり、見ると元気になります。
そしてシニアの部の男子、藤島光太。軽々とジャンプすると空中に高く飛び上がり、回転の速さと軸のコントロール、テクニックをしっかりと見せ会場を大きく沸かせました。基本のポジション、着地、手の使い方のポールドブラも正確で、テクニックだけではなくきっちりと踊りました。
第1ラウンドでは99人のダンサー、そこから54人、そして最終ラウンドで31人に選ばれ、みな素晴らしいダンサーたちでしたが、日本人のメダリストが期待出来ます。発表は数時間後です!!

このコンクールは本当に素晴らしいです。こんなに親切で行き届いたコンクールは他にはありません。
ジャクソン・コンクールの人々はみな親切に良くしてくれ、ホストファミリーが出場者全員について、出演日にはお花を届けてくれたり、寒いと言ったらブランケットを届けてくれたりします。そして空港の送迎から滞在中の食事、滞在費、レッスン費用、すべてコンクールが負担。しかも決戦に行けば1000ドルの旅費が全員に支払われます。人々がこんなに団結して開催しているコンクール、こんなに有意義なコンクールはどこにもないと思います。
次回、2018年に出場できる人は是非チャレンジしてください。

1406tamako_miyazaki.jpg 宮崎たま子 Photo:Todd Lechtick 1406mizuho_nagata.jpg 永田瑞穂 Photo:Todd Lechtick 1406kota_fujishima.jpg 藤島光太 Photo:Todd Lechtick
さて、受賞者が発表されました。
ジュニアの女子、永田瑞穂さんが受賞しなかったのはとても残念。彼女の予選の『コッペリア』も決戦の『海賊』のパ・ド・ドゥもとても良かったのです。彼女が受賞しなかったのは私も悔しさが残りました。
シニア男子の藤島光太も素晴らしいダンサーでした。ジャンプも回転も基本もよくできていますし、コンテンポラリーの動きも素晴らしかった。しかし、シニアの金メダリストの次に出場し、二つの演目が全く同じ演目だったのが少しは不利だったのかもしれません。
みんなが期待したアラン・ベルは15歳。
ドキュメンタリー映画『ファースト・ポジション』に出て以来注目を集めているアイドル的ダンサー。背がとても伸びていて、というより足がグンと伸びていて、顔が小さくスタイルが目を引きます。すごく綺麗なトレーニングを受けていて、踊りの将来性はとてもありました。でもまだ細くて弱い、筋力や体力が少なそうです。受賞はしませんでしたが、ABTスタジオカンパニーが決まっていますから、あの体型で15歳でこの技術なら、そのままABTに入ることはほぼ確定だと思います。

Men's Senior Gold Medalist -
Jeong Hansol, Republic of Korea

彼の踊りはジャンプが誰よりも高くて軽く、回転もばっちり決まって、しかも動きが俊敏。床の状態や緊張からかバランスを崩す男性が多い中、彼は問題なし。見ていて爽快。コンテンポラリーがとてもコミカルなコンセプトで客席から爆笑を誘い、ジャジーな踊りが出来ることも見せました。

Women's Senior Gold Medalist -
Shiori Kase, Japan

正直言います。加瀬さんは一位だと思っていました。
加瀬さんのコーチとは滞在中なんどもお話しして、色々なお話を聞きました。
彼女は本当に素晴らしいダンサーです。何がどうかというとすべてが出来ていて、どこを取っても素晴らしいのです。イングリッシュ・ナショナル・バレエのプリンシパルになることは間違いないでしょう。

Men's Senior Silver Medalist -
Byul Yun, Republic of Korea

彼は長身で大柄なダンサーでアクティオンのダイナミックな踊りと、力強さが印象に残っています。でもシルバーメダルはちょっと驚きました。

Women's Senior Silver Medalist -
Irina Sapozhnikova, Russia

2002年に金メダルをとったジョセフ・フィリップスとパ・ド・ドゥを踊った彼女。ロシア人ですが踊り方は真っ直ぐな感じで、上体を大きく使うワガノワ・スタイルでもボリショイ・スタイルでもないように思いました。プロですから安定はしていますし、ラインも美しかったです。私はもう少し表情が豊かなダンサーに惹かれます。

Tamako Miyazaki, Japan
たま子さんは4年前から知っているのでたま子ちゃんと呼びますが、素晴らしい成長でした。4年前にここジャクソンで知り合い、4年前は第一ラウンドで落ちて今回はリベンジのために挑んできたそう。それはそれは見事なリベンジでした! 彼女がしてきた4年の努力の結果が報われた最高のドリームストーリーです。踊りからも彼女からも元気を貰いました。彼女の表情、表現には惹きつけられるものがあります。お客を魅了するのです。
そして芯の強さ!! 相当なコアマッスルでしょう。

Men's Senior Bronze Medalist - 
Aaron Smyth, Australia

彼も4年前に出場し、パートナーはシルバーメダルを受賞していました。爽やかで見せるところをしっかり見せ、メリハリのあるダンサー。とくにパートナリングが賞賛をうけていました。そしてコンテンポラリーでは素晴らしい体の動きを見せました。

Ivan Duarte, Brazil
彼はとても小柄なのでバレエ団を探すのが難しいかもしれませんが、技術は抜群にあります。回る、飛ぶ、その回る速さの速いこと。コンテンポラリーでは少年のような踊りで、1989年のローザンヌ国際バレエコンクールの熊川哲也のコンテンポラリーを思い出しました。

Women's Senior Bronze Medalist
Ga-Yeon Jung, Republic of Korea

彼女は『海賊』のパ・ド・ドゥを踊りました。ガムザッティと同じヴァリエーションを踊りましたが、ジャンプの足が220度くらい開き、しかも疲れていない。ロシアンメソッドのトレーニングだと思いますが、ターンアウトや足のエクステンションが目を引きました。

Junior Division Medalists are:
Men's Junior Gold Medalist -

Taiyu He, Peoples Republic of China

彼は完璧でした。みんな話題にしていました。つま先が綺麗。ジャンプが綺麗。五番が綺麗。
飛んだら必ずポジションにビシっと入ります。体が柔らかい。そして確実に音にあっています。彼の受賞は明らかでした。

Women's Junior Gold Medalist -
Gisele Bethea, USA

彼女はバレエのために生まれてきたのでしょう。足の甲が彼女もアレッサンドラ・フェリのよう。美しいの一言。そして長い脚がどこまで伸びるのだろうかと思うところまで上がります。表情は柔らかく妖精のよう。きっと彼女は本当にエンジェルです。コンテンポラリーも彼女の良さが大いに出る作品で素敵でした。受賞は当然です。

Men's Junior Silver Medalist -
Jinsol Eum, Republic of Korea

彼が出てくると同じヴァリエーションを踊った人との違いが目に焼き付くような印象でした。素晴らしく軽やかで体の動きは自由自在。遊んでいるかのようにすべてのテクニックをやってのけるすごいダンサーでした。

Women's Junior Silver Medalist -
Mackenzie Richter, USA

彼女も予選から目を引きました。予選のフロリナ王女のヴァリエーションの美しさが目に焼き付いています。彼女の第2ラウンドの課題曲のコンテンポラリーは同じ作品を踊ったジュニア女子の中で、彼女だけが唯一自分のテイストを入れ、本人の解釈の表現を加えて踊ったように見えましたが、それがとても良く思いました。周りの人も皆、彼女の踊り方が一番良かったと賞賛しました。決戦での『グラン・パ・クラシック』もとても良かったです。

Men's Junior Bronze Medalist -
Gustavo Carvalho, Brazil

彼はジュニアなのにパートナリングに優れていて、基本もとてもしっかりできていて、既に素晴らしいダンサーでした。どこか優しい表情もとても印象に残っています。

Women's Junior Bronze Medalist -
Yasmin Lomondo, Brazil

彼女は同じ銅メダルをとったブラジルの男の子とパートナーでした。彼女も素晴らしいダンサー。二人ともジュニアなのにとても完成度が高く、安定した踊りでした。

Paulina Guraieb Abella, Mexico
もう一人の3位の彼女は少し大柄で、まだジュニアでこの体格だとあと数年でもっと大きくならないか余計な心配をしましたが、ポールドブラや顔の使い方のしなやかさと繋がりの美しさはシニアのダンサーにも勝るものがありました。素晴らしい演技だったのですが、最後の最後のポーズの瞬間に滑って派手に転んでしまって心臓が止まりそうになりましたが、アクシデント的な失敗だったので審査に響きませんでした。

Jury Award of Encouragement Female-
Romina Contreras, Chile

チリの出場者の彼女は私のお気に入りでした。第一ラウンドのフロリナのパ・ド・ドゥがとても美しかったです。しかし、第3ラウンドの『グラン・パ・クラシック』のパ・ド・ドゥは彼女にはまだ早かったと思います。アダジオで体力を奪われてしまい、ヴァリエーションではヨロヨロしてしまい、足の筋肉が震えていました。コーダも体力と筋力が回復せず、とてもいいダンサーなのにこの踊りを決戦に持ってきたことが、私はコーチとして悔やまれます。せっかくここまで来たのに。でもとてもいいダンサーですから、彼女は将来は心配ないと思います。きっとどこかで活躍すると思います。

Robert Joffrey Award -
Daniel Alejandro McCormick-Quintero, Mexico

私の姉も2002年にこの賞を受賞しました。ジュニアの男子はなぜかニコニコ笑いすぎで役柄に合っていなかったり、逆に表情が無さ過ぎて固く見えるダンサーもいましたが、彼はすごく大人びた立ち振舞いで、もちろん踊りも良かったのですが、どこかその表情や振る舞いがとても素敵でいいなと目を付けていました。決戦ではグラグラしてしまったり少し失敗があったので、メダルは無くなったかと残念に思いました。するとやはり特別賞を受賞したので適格だと思いました。
ちなみに彼はコーチもなしで一人でコンクールに参加してきたのですが、決戦まで残ったことを知った母親がサプライズで駆けつけた! という素敵なエピソードつきです。