牧阿佐美バレヱ団は1996年の『アルルの女』以来、ローラン・プティ作品をレパートリーに取り入れてきた。しかし2011年7月、20世紀に偉大な足跡を残して振付家ローラン・プティは逝去してしまった。
牧阿佐美バレヱ団はローラン・プティ追悼として、代表作『ノートルダム・ド・パリ』を上演する。ヴィクトル・ユーゴーの小説を原作とするこのバレエは、1965年12月にパリ・オペラ座で初演されているから、ほとんど半世紀前に創られている。
中世のパリを舞台に、巨大なノートルダム寺院の醜い鐘つき男カジモドと、ジプシーの美女エスメラルダの実ることのない愛の悲劇を、華麗な色彩と造型を駆使して描くバレエだ。
まず、鮮烈でショッキングな色彩とデザインの衣裳はイヴ・サン=ローラン、大掛かりなノートルダム寺院と時代性を抽象的に表現する装置はルネ・アリオ、スケールの大きな叙事的な描写が見事な音楽は『アラビアのロレンス』などの名作映画音楽の作曲家として知られるモーリス・ジャール。そして極限的な心理をバレエの動きとシアター・ダンスの動きを巧み組み合わせて表したローラン・プティの振付が、中世パリ独特の悲劇的な美しさを際立たせる素晴らしい舞台を創っている。
キャストは牧阿佐美バレヱ団のプリマ、伊藤友季子がヒロインのエスメラルダを踊る他、菊地研がカジモド、中家正博がフロロ、逸見智彦がフェビュスを踊る。新たなキャストが期待される公演だ。
(2012年2月18、19日 新国立劇場オペラパレス)
撮影:山廣康夫 |