解説:文葉

タイツ

(tights)

髪をシニヨンにまとめ、ピンクのバレエタイツをはいた女の子を電車内で見かけると、「熱心にレッスン通ってるのねぇ」と思わず目を細めてしまう…。少しでもたるんで横線が入ったら美しくない。どんな動きにも脚にフィットすることが今では当たり前のタイツも、昔は伸縮性の乏しい素材でした。ってことは、一度プリエしたら、ひざが出てしまって元に戻らないってこと!? 想像してみてください。引き締まった肉体がタイツに映えるからこそ素敵な男性舞踊手もよれよれタイツじゃかっこよさ半減じゃないですか。作品も違うものになってしまいそう…。バレエが産声をあげた時代は、ストッキングの類は絹。日本のバレエ史上、練習用にはコットン素材だったり、戦後ナイロンが開発されてもまだまだ伸びが悪く、現在のタイツに至るまでに度重なる改良がなされました。ちなみにチャコットが開発したタイツの台頭旗手は「ナターシャタイツ」で、ナイロン糸を特別加工した糸で織り上げ伸びる素材作りに成功しました。さらにナイロンにポリウレタンを配合させ、より伸縮性がアップした生地も次いで誕生。タイツは伸びるもの、引っ張っても穴が開かないもの。それが染み付いていた私は、初めてのストッキングをバレエタイツの感覚で引っ張って穴を開けた。かなり衝撃的だった(笑)。