解説:文葉

ファイイ

(仏/failli)

 pas failliは、グリッサードと同じくつなぎの動きのグループに入ります。ダンスは形式的に断片がつなぎ合わさっただけじゃなくエネルギーの波動だと思うので、つなぎだからといっておろそかにすることはできません。装飾とか空間移動とか助走とか、それぞれに課せられたものは違えどもエネルギーは滞ることはありませんし、そこには意味があるのですから。

「~しそこなう」という意味のフランス語ですが、バレエでは「避けて道を譲る」イメージの動きです。矢が飛んできたところ身をよじらせてかわす、そんな動きですね。
5番クロワゼのポジションから両足で踏み切って飛び、空中で身体の向きをエファッセに変えて、それとともにそろっていた両脚がほどけ片足で着地します。前足だった方(右足前の5番から始めたら右足)が着地した後、もう一方の足は1番ポジションを通過させるように滑らせ、ドゥミ・プリエをしながらクロワゼで終わる。

<ファイイ、アッサンブレ>の練習は私も大好きです。グリッサードで助走を付けるよりもアッサンブレが勢いよく飛べるし、ポーン、ポーンというリズムが気持ちよくて自分があたかもシルフィードになった気分が味わえるから。ですが、快楽に流されて誤ってしまいがちなことが。クロワゼでプリエして、飛んだ瞬間からすでにおへそがエファッセの方向で両脚がばらばらなのは×。正しくは、両足で垂直に飛び上がり、次に身体が落ちる体勢に入った瞬間にエファッセへの方向転換があって片足で着地する。上昇運動しているときは、頑張って頑張って両脚を吸い付ける!身体もまっすぐ! そして落ち始めに貯め込んだエネルギーを一気に解き放つように上半身をぐいっと回転させエファッセに向く。するとどうでしょう。同じ飛ぶpasでも、ファイイとアッサンブレでは自然と動きに強弱が生まれてくるでしょう。この感覚を得られたらもっと気持ちよくなって<ファイイ、アッサンブレ>の浮遊感にどんどん魅せられてしまうはずです。

話は変わりますが、最近の関心事は自分の背骨の環境なんです。ベストな状態だと上手に飛べるから。柔らかくしなやかな背中をもつ身体にファイイは優雅に映えるというものです。ゆがみはもちろん、その原因でもある筋肉のコリも大敵。脚を組んだり、バッグを常に同じ方の手で持ち歩いていたり、横向きに寝ていたり。日常、骨盤と背骨をゆがませる動作ばかりをしていると、常に姿勢の正しい人なら何てことはないのでしょうが、いざ背骨に意識を集中させてみると首、胸、ウエスト付近にあるはずの背骨たちの感覚がない…! 自分には頭蓋骨に近いところと尾てい骨しかないんじゃないかと焦る焦る。一直線に上と下に引っ張り合ったり、前屈し脱力した後下から積み上げていくイメージトレーニングをしたりして、背骨のひとつひとつを分離させるように「感じる」。床に仰向けに寝そべる方がわかりやすいでしょうか。背骨全体を伸ばす感覚を目を閉じて、じっと感じる。それだけでも、簡単なマッサージ効果があるんじゃないかと思っています。