エポールマン(仏/epaulement)

「肩」という意味のフランス語。クラシックバレエ独特のねじるポーズのとり方で、この動作を美しくしようとすると、私は鼻が何センチか高くなった気分になります(笑)。 鎖骨や首筋は美しくなるわ、気品が漂うわで、お客様も満足だし(のはず)、いいことづくめ。肩の位置に合わせて、頭、体の傾け方はルールがあります。 たとえば、クロワゼの方向へ体を向けて正面を見るとき上半身をひねる。『ドン・キホーテ』や『パキータ』といったスペインの要素が入るような踊りのときに、 肩を少々前方へひねって、ひねった肩越しを見るように首もねじる。どちらも観客を意識したポーズですよね。肩だけ、頭だけを動かそうとすると意外とうまくいかない。 胸の中心を軸に上半身を回すイメージ。すると開放的で美しい上半身の表情ができあがります。

クラシックバレエではウエストから上を美しく見せるためだけだったエポールマンですが、ウィリアム・フォーサイスいわく、エポールマンはバレエの「鍵」。 身体に複雑なねじりが加わるエポールマンは、頭、身体、自分の視線すべてをコントロールする、メカニックな身体を手にいれるのに有効なのだそうです。 ねじることでダンサーの意識が身体の内側へと行かせるというのです。「ねじれ」は元に戻ろうとする意識を喚起させ、バランス感覚が養われそう。 この感覚と真剣に向き合えば、身体能力はもっとアップするんでしょうね。

 

[解説]
文葉

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