解説:文葉

トンべ(仏/tombé)

転ぶ、倒れる、落ちるの意味の動詞tomberが元で「落ちた」「倒れた」の意味で、重心移動をするパの一つ。エファッセ(前・後ろ)、ア・ラ・セコンド(横)のタンジュから、タンジュされた足の爪先数センチ向こう側に踏み込むように重心移動します。踏み込んだらその足に乗り切るかたちでドゥミ・プリエ。元の位置に残されたもう片方の脚はタンジュして伸ばされています。このとき、腰が抜けないように。ドゥミ・プリエしたかかとが床を押せるようにします。

たいてい、このパは「つなぎ」で使われます。倒れる、落ちるといった動作がなぜ「つなぎ」なの? 普通倒れたら倒れっぱなしじゃないの? 立っていた戸板のようにバタリと倒れるとか、「蜘蛛の糸」の主人公のようにつかまっていた糸が切れて地獄へまっさかさま、ボトリと血の池に落っこちてしまっておしまい、じゃないんですね、バレエでは。

バレエで倒れる、落ちるというのは、すすきが風になびく、スローであればシフォンのスカーフが空気をはらんで落ちるかのごとくです。重みを動かすために、点と点、その間を味わうように丁寧に倒れる。落ちた後も、自分の全身から重みが完全に床に染み入るまでは体の中でエネルギーが動いている。物体が地面に落ちた印象と違うのは、踊り手がエネルギーをコントロールして動かしているからと思うんです。

トンベでは、片足を一歩踏み出して、重心をそちらに思い切りかける。素早い動きであってもこれを大切にしてみてください。何はともわれエネルギーを下に下にと沈めてみる。体重を自分の片側に寄せ一点に集めることで、連続する動きの中ではなんだか力が倍増!! トンベからパ・ドゥ・ブレに入ったりタン・ルベしたり跳躍したりしやすくなりませんか? 自然の道理で沈めば昇りやすくなる。メリハリをつけて踊ると見た目は華やぐし、一石二鳥です。

何事もオンとオフの切り分けが重要で、オンで最大限の力を発揮するためにはオフでの充電が必要ということでしょうか。