解説:文葉

かぶりつき

 劇場用語で、観客席の舞台に最も近い、最前列の席のこと。
その由来は諸説あり、ひとつは、本水・本泥を使う場面では客席まではねるので、最前列の客に桐油びきのかぶりものを渡したから。(現代でもビニールを渡さ れてる人、見かけます)もうひとつは、歌舞伎界では大入りを「かぶる」と言い、接近しすぎて舞台端にかぶりついてしまうほどに客を入れたことから。
ワタクシ、正直申し上げて「役者にかぶりつくことができそうなほど近い席=最前列」だと思っていました。
あぁ、勘違い。ある人の言葉が発端で思い込んでしまったのです。

「今日は、かぶりつきよ!」
某歌舞伎俳優を贔屓にする友人は、最前列のお席で彼の舞台を観ることに生き甲斐を感じているんでしょう。最前列でなければ意味がないと言わんばかりの狂信 的な最前列至上主義(に見える)。それでもって、彼女の口調があまりに情熱的なため、ご贔屓にがばぁっと食いつきそうな印象をもってしまったんですね。私 から言わせてもらえば、舞台鑑賞・観劇は、一般的にも良いとされている“とちり”の席(=7~9列目)か、それに準じるお席が一番! 前過ぎると、せっか く鑑賞したものが記憶からすっとんじゃうことってありませんか? 特に踊りは足先まで見えなくては意味がないし…。と、ここまで書きましたが、かぶりつき を味わうとやみつきになる気持ちもよ~くわかります。お芝居系は臨場感が違うし、ミーハーなもので(笑)。友人も「とちりが良いのは承知してるんだけ ど…」、ごひいきは近くで観てこそ。ちなみに、「かぶる」は終演のことも指すそうです。