藤野 暢央 Text by Nobuo Fujino

【第23回】Push Up & Inverted 'V' - エクササイズ-

本編では「肩甲骨を前に出す」すなわち「肩が腕に向かって押せる力」が必要ということでした。今回は、女性でも腕立て伏せがちゃんと出来る力を、肩に与える為のポイントをお伝えします。

「プッシュアップ〜腕立て伏せのポーズ〜」

腕立て伏せと言えば誰もが「例の姿勢で腕を曲げ伸ばし」を想像しますが、正しい「肩の体重支持」を維持しなければ、ただ腕の筋肉を酷使するだけの運動になってしまいます。女性の場合は特に、腕の筋肉を鍛える事より、肩を張る力、腹筋で姿勢を安定させる力を付けましょう。
まずは「四つん這い」の姿勢を取って、手首の位置と肩の進む方向を考えましょう。
四つん這いの姿勢になると誰しもが、手首に負担を掛けないように、自然と肩を引いています。これは文字通り「肩が腕を引く力」へと繋がります。今回は「押す力」を付けることを優先して、「肩を手首の真上へと運んでいき、肩甲骨で床を押す」という動きを入れてみましょう。
注意点は「胸骨が首の方へ。引けずに進もうとしている」と、「肘が突っ張らず、ほんのり曲げている」ということです。

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深呼吸を何度か繰り返し、肩が手首にしっかり乗っていることを確認したら、次は「腕立て伏せの形」へと膝を伸ばしてみましょう。ここで無理に腕の曲げ伸ばしを行うよりも、肩甲骨の押しを安定させて。アルデンテお尻を思い出してお尻は自然に緩めたままに。腕立て伏せの形でじっとして、深くゆっくりな呼吸をしてみましょう。

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 「逆さVの字」

次に全身の動きへと移ります。
腕立て伏せのポジションからお尻を天井へと上げて、「逆さVの字」の形になります。説明では「お尻から上昇」と言いましたが、動きを理解したら「肩甲骨が押す力」でポジションを移してみましょう。逆さVの字に決まったら、裏ももや二の腕に入っている緊張を意識して。優しく太く息を吐きながら、裏ももや二の腕が「まるでため息を吐くように」地面へと少し下がっていくように、少し緩めていきましょう。

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腕立て伏せのポジションを取ると、突然ギュッと入る腕やお腹の力に対し、動きを止めて深呼吸を繰り返すうちに、体内、特に関節まわりでジンワリ膨らんだり締まったりする感覚が入ってくるはず。これが「インナーマッスル」の働き。アダージオのゆっくりな動きの際には、息を細めずに、大きく深呼吸を繰り返しながら動いてみましょう。「安定を求める」インナーマッスルの声が聞こえてくるはずです。

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>>> 【第23回】バーレッスンの心得〜バーの持ち方&肩の持ち方〜

(イラスト:あゆお / 写真:藤野暢央)

藤野 暢央(ふじの のぶお)

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12歳でバレエを始め、17歳でオーストラリア・バレエ学校に入学。
当時の監督スティーブン=ジェフリーズにスカウトされて、香港バレエ団に入団。早期に数々の主役に抜擢され、異例の早さでプリンシパルに昇格する。
オーストラリア・バレエ団に移籍し、シニアソリストとして活躍する。
10年以上のプロ活動の中、右すねに疲労骨折を患い手術。復帰して数年後に左すねにも疲労骨折が発覚し手術。骨折部は完治するも、激しい痛みと戦い続けた。二度目のリハビリ中にピラティスに出会い、根本的な問題を改善するには、体の作り、使い方を変えなくてはならないと自覚する。
現在は痛みを完全に克服し、現役のダンサーとして活動中。またバレエ・ピラティスの講師として、ダンサーの体作りの豆知識を、自身の経験を元に日々更新し続けている。


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あゆお

仙台市在住。マンガ家・イラストレーター。
著書に謎の権力で職場を支配する女性社員「お局様」について描いたエッセイマンガ「おつぼね!!!」。
イラストを担当した書籍に「一生元気でいたければ足指をのばしなさい」。
趣味はロードバイクで走ることです。