藤野 暢央 Text by Nobuo Fujino

【第20回】Let's JUMP〜空へと昇る〜

いよいよ連載も第20回を迎えました。いつもご愛読ありがとうございます。

今回は心躍る「ジャンプ」についてお話しましょう。ご紹介するジャンプは二種類。
「真っ直ぐジャンプ」「開脚してのジャンプ」です。

「空に吸われる」

傘をイメージとして考えてみましょう。真っ直ぐ天井に向けた傘をグンと上げるとすれば、閉じている傘と、開いている傘は、どちらがスムーズに上がるでしょうか?単純明解ですね。
傘の芯(中心軸)は細長く強く、閉じた傘部分(外周)は空気の抵抗を流して、空中へロケットのように吸い上げられます。
体のセンターに縦線を引いて、各部位から横に伸びている枝を意識しましょう。センターの幹が昇ろうとする感覚に対し、それぞれの枝の末端部分は優しく下がろうとする感覚が必要になります。

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「軸はヨーヨー」

空中に上げようとする軸の感覚は、やはり伸び上がるというものでなくてはなりません。背骨の一段一段が、紐で結ばれたヨーヨー。或いは縄のハシゴだと考えてみて、間の紐を引っ張るか伸ばそうとするかで、全身の動きは変わってきます。
以前紹介した「人という字」で考えると、ヨーヨーを短く縮めて跳ぶということは、横に伸びる枝も引っ張り込む。つまり背中を固めて、背骨の関節間を縮めることになり、体を「引き落とす」力を生み出してしまいます。これは上から攻めても下から攻めても同じなんです。
高い位置の頭蓋骨から、優しい息と共に、上の段から下の段へと徐々に遠ざけるように、背骨を伸ばしてみましょう。

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「開脚する力?でしょうか?」

さあ脚を開きつつジャンプしましょう。脚を開く方法を少し考えるだけで、浮くか沈むかも変わってきます。
鉄棒にぶら下がった状態で、前後に脚を開くとすれば?どのような力が入りますか?開こうとする感覚より、重たい脚を持ち上げようとする力の方が強いのではないでしょうか。お腹が股関節を持ち上げ、股関節が太ももを持ち上げ・・・逆から話せば「脚の重さが、腹を引っ張り下げる力」となりませんか?

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股関節を「歯車」として、脚の前面、背面の筋肉の流れを「ベルトコンベア」とイメージしてみましょう。
股間やお尻をギュッと締める力は、歯車をガッチリ噛み合わせる力。歯が噛み合った歯車を開脚方向に回すと、ベルトコンベアは「前面が引き込まれる流れ」を起こし、前ももはガチガチ。ふくらはぎも固めようものなら、膝や足首も引けてきます。これは「壊れたハサミを閉じようとする」感じにもなります。
対して股関節を内から広げ、歯車を「噛み合わないように離す」意識を持つと、今度は裏ももやふくらはぎの背面のベルトコンベアが「流れ出る方向」へと進みます。

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両足が下から開く感覚が入ってきたら、上半身も股下から頭の頂点へ向けて、まるでカーテンを裾から優しく広げていく様に、中心軸を横軸、外向きに広げていきましょう。

そして、もちろんジャンプには事前のしっかりとしたプレパレーション「柔らかく深いプリエ」が必要になります。プリエのお話を参考にしてみて下さい。
http://www.chacott-jp.com/magazine/dance-library/lecture/lecture010-1.html

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>>> エクササイズ[ 20 ]「Bridging〜ふくらはぎの意識〜-エクササイズ-」

(イラスト:あゆお / 写真:藤野暢央)

藤野 暢央(ふじの のぶお)

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12歳でバレエを始め、17歳でオーストラリア・バレエ学校に入学。
当時の監督スティーブン=ジェフリーズにスカウトされて、香港バレエ団に入団。早期に数々の主役に抜擢され、異例の早さでプリンシパルに昇格する。
オーストラリア・バレエ団に移籍し、シニアソリストとして活躍する。
10年以上のプロ活動の中、右すねに疲労骨折を患い手術。復帰して数年後に左すねにも疲労骨折が発覚し手術。骨折部は完治するも、激しい痛みと戦い続けた。二度目のリハビリ中にピラティスに出会い、根本的な問題を改善するには、体の作り、使い方を変えなくてはならないと自覚する。
現在は痛みを完全に克服し、現役のダンサーとして活動中。またバレエ・ピラティスの講師として、ダンサーの体作りの豆知識を、自身の経験を元に日々更新し続けている。


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あゆお

仙台市在住。マンガ家・イラストレーター。
著書に謎の権力で職場を支配する女性社員「お局様」について描いたエッセイマンガ「おつぼね!!!」。
イラストを担当した書籍に「一生元気でいたければ足指をのばしなさい」。
趣味はロードバイクで走ることです。