藤野 暢央 Text by Nobuo Fujino

【第10回】Squat & Calf Raise (スクワット&カーフライズ)-エクササイズ-

さてさて、タイトルを聞いただけで気持ちも重くなるこの2つのエクササイズですが、「筋肉を強化するため」ではなく、力を上手に逃がしながら「筋肉を動かす」という目的で行いましょう。

「Squat(スクワット)」

スポーツジムなどでは定番のスクワット。バーベルを担いで太ももの筋肉をとことん「鍛える」感じのエクササイズですが、今回お伝えしたいスクワットは、いかに「関節が柔らかく、伸びのある筋肉」で動かすか、ということです。

最初は準備段階として、壁に背中を真っ直ぐに当ててスクワットの形を取り、体のどのような箇所が「座りたくない!」と頑張っているか感じてみましょう。大半の人が、お尻が座らない方向に「堪えている」のではないでしょうか?深呼吸で深く吐くタイミングで、坐骨と大転子を緩やかに開いて、真っ直ぐ地面に下げていきましょう。

10_005.jpg

身近にジムボールがあるならば、ボールを背中に当てて先ほどの姿勢を取ります。なければ直立しましょう。
今度は一呼吸に合わせて膝の曲げ伸ばしを加えます。やはり背中は真っ直ぐにして「骨盤を無い椅子にめがけて下げていく=座る」という感覚を掴みましょう。太ももは硬く縮めるというよりは、前ポケットと膝の距離を「何とかして伸ばす」という感じです。
後の項でお伝えしますが、足の裏が極端につま先、あるいはかかと重心になっていないか注意しましょう。

10_006.jpg

「Calf Raise(カーフライズ)」

直立してかかとを上げ下げして、ふくらはぎを鍛えます。
問題なく歩く力のある人ならば、かかとを持ち上げて「背伸びになる力」が足りないことはありません。従って「ルルヴェに立ち上がる力」を鍛えるより「降りてくるコントロール」を優先したいところです。

10_007.jpg

壁に向かって直立し、最初は壁に手を当ててやってみましょう。息を吸いながらルルヴェに上がり、吐きながらゆっくりかかとを降ろしていきます。
立ち上がるときに股関節、膝、足首で、どれが一番最初にグイと持ち上がった感じがしましたか?ほとんどの人が股関節だったと思います。

股関節が最初に上がろうとすると、体が「地面から逃げる」という方に重心が外れていき、足は前方に硬直していきます。ふくらはぎは吊り上げられるので、降りるときに動きを出せない緊張が走ります。
昇るときに坐骨、大転子を緩やかに保ち、股関節の重さを逆に足首に掛けてみましょう。これで重心(背骨のライン)は脚に真っ直ぐ掛かり、脚は地面を押しながら長くなろうとする力が入ります。
降りるときには股関節を高いところに残さず、元の高さに戻すべく降ろしてきましょう。

最初は両足で。しっかりしてきたら片足ずつで。頭に手を重ねて乗せた状態で、連続20回を目標に頑張りましょう。ちなみにこの連続20回は、僕のベスト記録です(笑)

10_008.jpg


>>> 【第10回】伸びやかな踊りはプリエから

(写真:藤野暢央)

藤野 暢央(ふじの のぶお)

n_fujino.jpg

12歳でバレエを始め、17歳でオーストラリア・バレエ学校に入学。
当時の監督スティーブン=ジェフリーズにスカウトされて、香港バレエ団に入団。早期に数々の主役に抜擢され、異例の早さでプリンシパルに昇格する。
オーストラリア・バレエ団に移籍し、シニアソリストとして活躍する。
10年以上のプロ活動の中、右すねに疲労骨折を患い手術。復帰して数年後に左すねにも疲労骨折が発覚し手術。骨折部は完治するも、激しい痛みと戦い続けた。二度目のリハビリ中にピラティスに出会い、根本的な問題を改善するには、体の作り、使い方を変えなくてはならないと自覚する。
現在は痛みを完全に克服し、現役のダンサーとして活動中。またバレエ・ピラティスの講師として、ダンサーの体作りの豆知識を、自身の経験を元に日々更新し続けている。