藤野 暢央 Text by Nobuo Fujino

【第7回】Spine Stretch(スパインストレッチ)-エクササイズ-

バレリーナとしては定番の、開脚での前屈。いわゆる「股裂きベッタリ」での、お尻のあり方について説明します。

無理のない開脚で背筋を伸ばして座り、腕はアンオーにキープします。深く息を吐きながら前屈していきます。
ベッタリすることを意識すると、普通はお腹を出して腰は反った状態になるのですが、ここはお腹を引き込んで、背骨を丸く保って突入します。

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状態を前に出した時点で、前に倒れるのを阻止するように、お尻が全力で力を入れてきます。そうです、このエクササイズの目的は「いかにお尻をリラックスさせてこの姿勢を保つか」です。この感覚を身につけると、お腹で上体と脚をコントロールできるようになり、ブレない軸とよく上がる脚が手に入ります。

お尻に力が入るとき、大転子、座骨、尾骨はギュッと内向きに締まり、グイと上がってしまいます。そこで深く長い息を吐きながら、それらの骨を緩めながら広げていきます。それから頭の先を徐々に前に出していきます。肩ばっかり進んで、首がすくまないように注意しましょう。
そのお尻の緩みを保って、体を起こしてきます。

007-07.jpg お尻の状態 ○ 007-08.jpg お尻の状態 ×
007-09.jpg 肩の力 ○ 007-10.jpg 肩の力 ×

「お尻のストレッチ」

仰向けになって、腰を捻りながらお尻のストレッチをします。
写真のように準備して、深く呼吸しながら全身をリラックスさせます。目的はお尻の外旋筋群をストレッチすることなので、大転子や座骨の向きを確認して下さい。ここで一歩間違うと、腰は気持ちいいけどお尻は硬くなってしまうので注意しましょう。

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お尻の大臀筋というのは、締めることにより「動きを固定する、外部からの衝撃に耐える」という役割を担っています。前屈みの姿勢から重たい荷物を持ち上げるときや、暴風のなかで立っているなどの状況で、グッと締まって足腰を固めます。従ってバレエのように「動きを出す」ときにはなるべく締まっていない方がよいのです。
股関節をスプリットで無理やり開くより、お尻や内ももを柔らかくするために、よいストレッチを心掛けましょう。

 


>>> 【第7回】アンデオールのすすめ~後編

(写真:藤野暢央)

藤野 暢央(ふじの のぶお)

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12歳でバレエを始め、17歳でオーストラリア・バレエ学校に入学。
当時の監督スティーブン=ジェフリーズにスカウトされて、香港バレエ団に入団。早期に数々の主役に抜擢され、異例の早さでプリンシパルに昇格する。
オーストラリア・バレエ団に移籍し、シニアソリストとして活躍する。
10年以上のプロ活動の中、右すねに疲労骨折を患い手術。復帰して数年後に左すねにも疲労骨折が発覚し手術。骨折部は完治するも、激しい痛みと戦い続けた。二度目のリハビリ中にピラティスに出会い、根本的な問題を改善するには、体の作り、使い方を変えなくてはならないと自覚する。
現在は痛みを完全に克服し、現役のダンサーとして活動中。またバレエ・ピラティスの講師として、ダンサーの体作りの豆知識を、自身の経験を元に日々更新し続けている。