藤野 暢央 Text by Nobuo Fujino

【第3回】つま先を伸ばす -エクササイズ-

エクササイズ[ 2 ] 「あしゆびパー」

趾をパーに開いて母趾外転筋小趾外転筋を鍛えていきます。
息を吸いながら趾をパーにして、吐きながらゆっくりと閉じてください。
脚を伸ばして座った状態でも、仰向けでも構いません。楽な姿勢で行ってください。
膝と足首に過剰な力が入っていない状態で試してください。これらの力が強すぎると、趾が反り返って短くなろうとする力が勝ってしまいます。土踏まずの根元部から花が開いていくように、母趾と小趾を真横に開くようにしてみましょう。
とはいえ、最初はパーに開こうとしてもピクリとも動かない人もたくさんいます。その場合は始めは指で母趾と小趾をつまんで広げ、パーを維持できるように試みてください。

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息を吸いながら趾をパーにして、次に息を吐きながら足首からつま先へと伸ばしていきます。
イメージは、アイロンで足首から爪先へとシワを伸ばしていくように。つま先まで伸び切ったら趾をグーに巻かず、更に遠くへ伸ばそうとしましょう。

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「歩き方を見直そう」

「歩く」というのは私生活において最も頻繁に行う「運動」で、同じ動かし方を何百何千回繰り返すことにより、脚の筋肉の形、長さや大きさは、ほぼ歩き方から構成されていると言えます。従って、正しい歩き方を考えるのは、いい脚を作るのに非常に重要なポイントになります。

日本人は下駄やわらじの習慣が長かったせいか、鼻緒を趾で挟んで前足を送り出す、いわば「スリッパ歩き」の癖を持っている人が多いです。

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後ろに行った足を持ち上げて前に送り出すことで進むので、足の甲とすねにずっと緊張が続く状態になります。目的地に急いで早歩きをしたら、すねが疲れて痛くなるのはこのタイプです。この癖を長く続けてしまうと、足の甲のとすねの皮が硬くなって、伸びない足を作り上げてしまいます。

正しい歩き方とは、足の裏やふくらはぎをしっかりと使う「後ろ足の趾で蹴り出して進む」ということになります。

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この方法によって付く力は、ポイント、ルルヴェ、ジャンプなどすべてに適応します。バレエをしている人はバレリーナ歩き、すなわちガニ股で歩いている人が多いのですが、出来るだけつま先と膝を前に向けた「パラレル」で、母趾から小趾まで均等に伸ばして歩くように努めてみましょう。


つま先の伸ばし方もその人の足の状態により、改善するには色々なアプローチがありますが、基本的に万人共通に言えることは、「よく伸びる足=よく動く足」であり、小さく固めることは決していいことではありません。趾でピアノを弾けてしまうくらいの勢いで、しっかりと動かしましょう。

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(イラスト:あゆお / 写真:藤野暢央)

藤野 暢央(ふじの のぶお)

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12歳でバレエを始め、17歳でオーストラリア・バレエ学校に入学。
当時の監督スティーブン=ジェフリーズにスカウトされて、香港バレエ団に入団。早期に数々の主役に抜擢され、異例の早さでプリンシパルに昇格する。
オーストラリア・バレエ団に移籍し、シニアソリストとして活躍する。
10年以上のプロ活動の中、右すねに疲労骨折を患い手術。復帰して数年後に左すねにも疲労骨折が発覚し手術。骨折部は完治するも、激しい痛みと戦い続けた。二度目のリハビリ中にピラティスに出会い、根本的な問題を改善するには、体の作り、使い方を変えなくてはならないと自覚する。
現在は痛みを完全に克服し、現役のダンサーとして活動中。またバレエ・ピラティスの講師として、ダンサーの体作りの豆知識を、自身の経験を元に日々更新し続けている。