藤野 暢央 Text by Nobuo Fujino

【第22回】Swan Dive&大腿筋のストレッチ - エクササイズ-

体が持つ筋肉の力としては最強クラスを誇る「大腿筋」。実は伸ばすことが難しいそのストレッチ方法と、使うときの方向性をご紹介します。

「運命は回転方向にあり」

太もものストレッチと言えば、写真のような感じが定番ですね。大腿筋の状態とその役割をシンプルに説明すると、
「膝から股関節へ(上へ)締まる=引く、止める、持ち上げる(脚を)
「股関節から膝へ(下へ)絞る=押す、動く、押し上げる(体を)
といった感じ。やはり大腿筋が固く締まるとムキムキで、隣接する股関節や膝も引っ張り込んでしまう。その「締める強さ」を常習させてしまうと、関節はどんどん固くなっていきます。普段の動きの中に「伸ばす方向性」を与えて、「筋肉を使いながら、ストレッチしている」といえる太ももを手に入れましょう。

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バレエではアンデオール、太ももを外へ回すのですが、ここが落とし穴。大転子をお尻の方へ寄せると大腿筋は斜め上に絞られる=締まる。逆に大転子を前に回してくると「膝へと流し込む」方向性になります。上の写真で確認して、実際に自分で試して、感じてみましょう。

「腿のストレッチ」

仰向けで、脚を開いた立て膝の姿勢。腕は45度くらいに開くのが理想です。息を吐きながら両膝を左右どちらかに倒して、腹部が捻れた状態になります。
腿が内巻きになっている方がストレッチの対象。その大転子を前に前にと回し込みながら、膝を床へと下げていきます。
注意すべきポイントは
おへそは引き込んでみぞおちの方へ
・肩に力が入らないように。鎖骨も肘も沈むように吐く
足首から下の踵も趾も床を押す
、お尻の穴は開いて膝裏の方へ
などなどです。

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「Swan Dive(スワンダイブ)」

以前紹介した「Swan」で、股関節の動きに注目してみます。まずバレエをしている人に典型的なのが、このSwanの姿勢を取ると、お尻から外脚になっていて、足先に向かって広がってしまう。そして腰にグッキリ折り込みができてしまう。これが実は「腹筋が弱い」ということに繋がります。

大転子がお尻へと流れ出ると自然とお尻が締まる。骨盤からすると「下腹部に向けて割れる卵」となります。そしてお腹はその卵の割れ目へとこぼれ落ちるので、腹筋が抜けて腰が折れ込む・・・そこで前腿が頑張ると、更にお尻へと締まって腰が折れ込みます。

そこで「内巻き腿伸ばし!」で割れた卵を閉じて、腹筋を押し上げます。

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Swanの形が上手に取れたら、三日月のカーブでギッコンバッタンのシーソーします。
胸を高く遠くへ出したら大きく息を吸って、吐きながら胸を床へ落として、後ろで脚を振り上げて、吸いながら元の高さへ起きあがります。
「内巻き腿伸ばし」を意識して。脚は後ろで持ち上げるというよりは、前腿から斜め後ろに押し出す。坐骨は倒れる前から「開いた状態」にしてみましょう。

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>>> 【第22回】「進めっ!骨盤底筋!!」

(イラスト:あゆお / 写真:藤野暢央)

藤野 暢央(ふじの のぶお)

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12歳でバレエを始め、17歳でオーストラリア・バレエ学校に入学。
当時の監督スティーブン=ジェフリーズにスカウトされて、香港バレエ団に入団。早期に数々の主役に抜擢され、異例の早さでプリンシパルに昇格する。
オーストラリア・バレエ団に移籍し、シニアソリストとして活躍する。
10年以上のプロ活動の中、右すねに疲労骨折を患い手術。復帰して数年後に左すねにも疲労骨折が発覚し手術。骨折部は完治するも、激しい痛みと戦い続けた。二度目のリハビリ中にピラティスに出会い、根本的な問題を改善するには、体の作り、使い方を変えなくてはならないと自覚する。
現在は痛みを完全に克服し、現役のダンサーとして活動中。またバレエ・ピラティスの講師として、ダンサーの体作りの豆知識を、自身の経験を元に日々更新し続けている。


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あゆお

仙台市在住。マンガ家・イラストレーター。
著書に謎の権力で職場を支配する女性社員「お局様」について描いたエッセイマンガ「おつぼね!!!」。
イラストを担当した書籍に「一生元気でいたければ足指をのばしなさい」。
趣味はロードバイクで走ることです。