藤野 暢央 Text by Nobuo Fujino

【第2回】すべての基盤となる「軸」を決めよう

本編初となります今回は、これからお伝えしていく体の使い方すべての基盤となる『軸(じく)』のお話をしたいと思います。

〜そもそも『軸』とは何なのか?どこが『軸』なのか?〜

「もっと軸を感じて」「軸を引き上げて」などの軸に関する注意が頻繁に聞こえてきますが、体にとっての軸とは一体何なのでしょう?串団子の軸といえば、やはり串なのでしょうが・・・。
この「軸を知り、それをイメージしながら動く」ということだけで、前回の疑問や質問のような悩みは、徐々に改善へと変化していくほど「軸」のパワーは絶大なので、深く考えてみて下さい。

それでは簡潔にお答えしましょう。「軸」とは・・・

体のパーツの 中心を通る線、または中心となる点 です。

lecture1506_01.jpg 腕の軸 lecture1506_02.jpg 脚の軸

体の中心ラインのみが軸と決め込まずに、脚を動かすなら股関節や腿や膝、すねや足首と、全部のパーツの軸に気を配ることが、上手になる秘訣となります。指一本一本、指の関節の一つ一つにも軸はあると考えることで、先端部まで神経をめぐらせ、繊細な動きを作り出すことができます。脚や腕の使い方は、また別の回でご紹介します。

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今回は体の基盤となる「胴体の軸」についてお話します。やはり上体の軸となると、強い柱のように伸び上がる「背骨」と思われるでしょうが、「背骨の意識=背中の力」と感じてしまう人が多いと思います。背中は複雑に筋肉が入り交じっていて均等に力を入れるのが難しく、しかも背骨は緩やかなカーブを描いている為、どれくらいで真っ直ぐか?という感覚を掴みにくいのです。そこで僕がお伝えしたい軸とは・・・

胴体のど真ん中ラインを通る、感じやすい3つの内臓。「食道・胃袋・腸(または子宮)」です!意外でしょうか?

頭(脳みそ)を含みたいところですが、首は肩の動きに大きく影響されるので、またの機会にしましょう。

これら3つの内臓を体の中にある「玉」として想像し、直立時は地面から縦に真っ直ぐ並べることで、人は自然に真っ直ぐ立っている状態になります。
背骨という茎にきれいに並んで咲く「胡蝶蘭」、または間隔の空いた「三色だんご」をイメージしてみると分かりやすいのでは?
直立時は、どれか一つでも前や後ろに突出していると、どこかに力が入り過ぎて歪んでいる、ということになります。特に胃袋が前に飛び出しやすいので注意しましょう。

lecture1506_002.jpg lecture1506_001.jpg
lecture1506_04.jpg 間違い lecture1506_05.jpg お尻出し lecture1506_06.jpg ねこぜ

ピルエットなどの回転はこれら3つの玉を真っ直ぐ並べて、同時に回転させる。ジャンプは脚力よりもこれら3つの玉を空中に持っていく。
アラベスクの時には上体は少し前傾していますから、3つの玉は滑らかなカーブ線上に並べて。脚が上がるにつれて、無理に頭や背中を引き上げないように注意しましょう

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筋力に頼り過ぎず、これらのイメージをしっかりと意識して、軸から動ける体を目指しましょう。すべての動きは「胃袋から!」と言っても過言ではありません。


エクササイズ[ 1 ] 「Breathing(呼吸)」

「いい呼吸=いい踊り」

生まれた瞬間より絶やすことなく繰り返し行ってきた「呼吸」。それ故に「どのように呼吸するか」「どれくらいできているか」をあまり追求しようとしません。呼吸はそのやり方によって、その人の体の性質や、心にまで大きな影響を及ぼします。人は必ず、それぞれの呼吸法にクセや偏りを持っていて、長く続けていると修正するのが難しくなります。誰もが小学校に上がったら、国語よりもまず「呼吸法」を学ぶべきだと、僕は思います。

また、呼吸を上手にすることで肺活量が上がりスタミナは向上しますし、全身の柔軟性もよくなります体の音楽性を統合させるのにも、いい呼吸が必要になります。

 


>>> エクササイズ[ 1 ] 「Breathing(呼吸)」

 

(イラスト:あゆお / 写真:藤野暢央)

藤野 暢央(ふじの のぶお)

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12歳でバレエを始め、17歳でオーストラリア・バレエ学校に入学。
当時の監督スティーブン=ジェフリーズにスカウトされて、香港バレエ団に入団。早期に数々の主役に抜擢され、異例の早さでプリンシパルに昇格する。
オーストラリア・バレエ団に移籍し、シニアソリストとして活躍する。
10年以上のプロ活動の中、右すねに疲労骨折を患い手術。復帰して数年後に左すねにも疲労骨折が発覚し手術。骨折部は完治するも、激しい痛みと戦い続けた。二度目のリハビリ中にピラティスに出会い、根本的な問題を改善するには、体の作り、使い方を変えなくてはならないと自覚する。
現在は痛みを完全に克服し、現役のダンサーとして活動中。またバレエ・ピラティスの講師として、ダンサーの体作りの豆知識を、自身の経験を元に日々更新し続けている。