新体操日本代表フェアリージャパン POLA 有観客での世界新体操へ 「表現に磨きを!」

新体操日本代表フェアリージャパン POLA が世界新体操(第38回世界新体操選手権:福岡県 北九州市 2021/10/27〜31)に出場します。五輪後の過ごし方やチームへの新メンバーの加入、久々となる有観客の大会に向けてなど、選手たちが現在の率直な心境を聞かせてくれました。<日本体操協会 リモート取材>

【団体】杉本・松原・鈴木・今岡・稲木 選手
【個人】大岩・喜田・皆川 選手  
<指導>山﨑 強化本部長

  

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提供:日本体操協会 

 


【団体】 主将 杉本早裕吏(すぎもと さゆり)選手

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提供:日本体操協会

ー 東京オリンピック以降の状況は

五輪を終えてすぐに気持ちを切り替えることはできず、色々な方に話を聞いてもらった。このご時世でもあり、どこかに出かけるというよりは家族と一緒に過ごしたり、友だちと会って話をしたりした。

ー 世界新体操に向けての練習は

チームの雰囲気はとても良い。メンバーは変わったが、東京オリンピックとはまた違う雰囲気になっていて良い仕上がり。試合を経験していない選手もいるので、緊張感やどこまで自身がコントロールできるかなどを学んでいけば良い。また自分自身もしっかりコントロールをして試合に臨みたい。

ー 何か具体的に取り入れたことは

演技内容は五輪とは変わっていない。五輪では一人ひとりが良いものを持っているのにそれを発揮できなかったことに気がついた。表現することを練習してきたはずなのに、それを出せなかった悔しさがあった。表現の部分に磨きをかけている。一人ひとりの良さを出し、チームとしてのまとまりを見せたい。


ー 観客や視聴者に観てもらいたいところは

自分にとって有観客での大会は2019年の世界選手権ぶり。今は楽しみ。観客の応援があることによって自分たちもノッてくるのでありがたい。会場はフロアと観客の距離が近いと聞いている。自分たちの呼吸や細かい表現もより伝わると思うので、その良さやエネルギーをしっかりと伝えられるように練習をしている。

ー 世界新体操への意気込みは

東京オリンピックのリベンジ大会とは考えていない。五輪が終わってから、ここまで少しでも立ち上がって前に進む姿勢を表したい。新しいチームとしてどこまで結果が残せるかは分からないからこそ、自分たちが見せたい演技をしようとチームでも話し合っている。結果は後からついてくるので、まずは自分たちのベストを試合で出せるようにしたい。

ー 東京オリンピックが終わってからの心境は

振り返るとここまで落ち込んだのは初めてかなと思うほど。直後は練習再開という状態にもなかった。気持ちが落ちて、自分ひとりでは何もできないほど。たくさんの方に話を聞いてもらい、支えてもらい、ここまで立ち上がることができた。感謝の気持ちでいっぱい。

五輪後は3週間ほど休んだ。これほど身体を動かさなかったのは初めてのこと。またその後すぐに練習再開というわけではなく、まずはストレッチからといった状態であった。

五輪は結果も悔しかったが、さいごに自分がチームをまとめて試合に臨むことができなかった申し訳なさ、悔しさがあった。キャプテンとして落ち込んでいた。

ー 立ち直ったきっかけは

山﨑先生とも、練習の体育館にまず『来る』いうところから始めてみませんか、といったお話などもしてもらい、少しずつ気持ちを戻していった。いきなり世界選手権に向けてということではなく、チームの雰囲気を見て自分がこのチームを引っ張っていきたいなと思ったことが大きかった。

ー 今大会で観てもらいたいところは

メンバーそれぞれの良さとカラーがある。またこのような状況だからこそ、たくさんの方に笑顔をお届けしたい。前向きな姿勢、立ち上がる姿勢を見せたい。

ー 自身にとって今大会の位置付けは

今後のこと、今大会後のこともまだ考えていない。今大会は日本での有観客開催でもあり、五輪のときとはまた違うワクワクした気持ち。ここで終わりなどとも考えていない。本当にまずは世界選手権で踊れる喜びを感じながら臨もうと思っている。

【団体】 松原梨恵(まつばら りえ)選手

ー 現在のコンディションは

少し身体に痛いところはあるが、特に不自由なく練習ができている。


ー 世界新体操に向けた練習の状況は

自分たち主体で練習を進めている。初めての選手もいるので、縮こまったり恐がったりしないようにと練習に励んでいる。

新メンバーはやはり緊張してしまうので、私たちも緊張しているよとか、緊張してきたら違うところに意識を向けてみたらなど、声かけをしながら練習をしている。
今大会に向けて自分はバトンをつなぐという役割もやっていかないといけない。伝えるべきことは伝えようと思っている。

ー 有観客やテレビ放送などで見てもらいたい点は

コロナ禍では観客がいないことが普通になってしまっていた。観客に生で観てもらえるというのはすごく嬉しいこと。

海外チームは五輪のときとメンバーが同じだったり違ったりする。それぞれが持つカラーが見どころ。

ー 今大会に向けての意気込みは

五輪後の新しいカラーが出せるように。観客から自然と拍手が起こるような元気な演技がしたい。

ー オリンピック後の気持ちの切り替えは

当初、今大会にまで出場するとは正直思っていなかった。やってほしいとコーチから言われたときは驚いたが、五輪でのさいごに観客に向けて気持ちよく手が振れなかったという心残りがあったので、そこはやりきって終わりたいという気持ちがある。期間が短いとはいえ、覚悟がないとやっていけない。自分の中にも気持ちの波はあるが、チームのみんなが今大会に向けて頑張っているし、わたし自身も誰かの力になりたいと(競技を)続けようと思った。

ー 新しく加入した選手たちについては

若さ、フレッシュさ、元気さがある。技術も上手くすごいと感じるところがあり、切磋琢磨している。自身にとってもかなり刺激になる。

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提供:日本体操協会

【団体】 鈴木歩佳(すずき あゆか)選手

ー 東京オリンピックを経験しての心境は

五輪の直後は悔しい気持ちがいっぱいあり、立ち直るまでには思った以上に時間がかかった。今大会に向け、またみなさんに笑顔を届けたいと練習に励んでいる。

ー 新チームでの自身の役割は

新メンバーが加わり、五輪のときとはまた違うフレッシュなカラーとなっている。今大会ではそこを観てほしい。
自身は五輪とポジション自体は変わっていない。その難しいポジションをやりこなしながら、チームを引っ張っていける存在になりたい。

ー 自身のコンディションは

五輪後は身体が痛いところがあったが、怪我の調子も良くなり今はしっかりと練習ができている良い状態。

ー 観客や視聴者に観てもらいたいところは

観客に観てもらえる方が気持ちもあがるので有観客はありがたい。新体操をもっと広める良いチャンスでもある。私たちの良さをしっかりアピールしたい。

新チームにはフレッシュさがあり、技だけではなく踊りの面にも力を入れている。技と技のつながりの部分も観てほしい。

ー 東京オリンピック以降のチームの課題は

表現力に力を入れている。技もたくさん入っているが、曲にあった踊りや見せ方、つながりなどをチームで意識しながら練習している。

今岡選手と稲木選手が新しく加入し、若くて元気はつらつ。ふたりとも器用でどんな技でもやりこなせる強さがある。

ー 今大会への意気込みやその先は

五輪では一回どん底まで落ちたけれど、そこからチームとして立ち上がってきた姿をみなさんに見てもらいたい。五輪では見せられなかった自分たちの演技や笑顔を届けたい。今大会の先、自分はパリ五輪に挑戦したい気持ちがある。しっかり上の立場で引っ張っていける存在になりたい。

【団体】 今岡里奈(いまおか りな)選手

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提供:日本体操協会

ー 今大会に向けて

フェアリーのメンバーとして試合にでるのは初めて。緊張感もあるが、メンバーに入って踊れるという楽しさや嬉しさが一番大きい。

チームとして全員が同じ目標に向かい、明るく元気に頑張ろうという雰囲気で練習ができている。

ー 自身の特徴や特に見てもらいたいところは

身長が高いので、身体の大きさを活かした動きを見てもらいたい。

ー 五輪出場メンバーから受けた影響やチーム内での役割は

五輪での演技を観て、技がたくさん入るルールの中でも、表情や動きを大切にしていることが分かった。自分は技よりも動きが多いポジションなので、できる最大の動きで盛り上げていきたい。

ー 有観客で特に見てもらいたいところは

直接なので細かいところまでよく見えると思う。表情や身体の置き方、足先から手先まで見てもらいたい。

ー チームとしての取り組みや自身の課題は

自分としての目標は、強く美しく。そのうえでチーム全体の中ではのびのびと自分の色を出したい。
動きに関しては絶対にこうするとは決めないでいる。気持ちやそのときの動きに合わせたい。大幅に変えるわけではないが、自分のしたい動きをその場その場でやるようにしている。

ー 新体操をはじめたきっかけは

6才のとき、仲が良かった友だちの影響で始めた。その後クラブに移籍してからオリンピックや世界を意識するようになった。
ロンドン五輪に出場されたサイード横田仁奈さんと練習をご一緒させていただく機会があり、そこでフェアリージャパンの存在を知った。全体練習の中でひときわ輝いていたその姿を見て、自分もオリンピック選手になり周囲に輝きを与えられる選手になりたいと思った。

ー 東京オリンピックについては

五輪出場メンバーに入れなかったことは悔しいが、自分に何が足りなかったのかを見つめ直す時間が持て、改善することもできた。悔しいだけではなく、プラスの気持ちもあった。みんなの演技を観て、最期まで絶対に諦めないで踊り続ける強い気持ちを感じることもできた。

ー 今大会への意気込みは

まずは自分が一番輝きたい。みんなのためにもやるし、自分のためにもやる。技だけではなく魅せることを意識して、強く美しく、笑顔で踊りきりたい。

【団体】 稲木李菜子(いなき りなこ)選手

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提供:日本体操協会

ー 現在の練習の状況は

自分たちの良さをそれぞれ出せるように。また観客のみなさんが自然と笑顔になるような演技をするために、まず自分たちから笑顔で楽しく踊ることを意識して練習している。

ー チームに加入しての自身の状況は
 
自分は少し身長が低いのでどうしたら大きく見せられるかを考えて練習したり、またそれを強みとして技をどんどんこなせるスピード感を失くさないように磨いている。

ー 東京オリンピックを観ての思いは

テレビ画面越しでもチームの最期までやり抜く姿や、こう見せたいというところを感じることができた。
今大会は有観客でもあり、それをさらに強く見せられると思う。

ー 地元九州で開催される今大会への思いは

地元の方からも頑張ってねと声をかけてもらうことがある。応援してもらえていると実感でき、良い意味でドキドキする。自分たちが楽しく踊っているところを見ていただき、観客や地元のみなさんに勇気や笑顔を与えたい。

ー チームのモチベーションについて自身の対応は

わたしは松原選手とは10才の差がある。先輩たちが少し疲れているなと思ったときに今岡選手とわたしから明るさを失くしてはいけないと思っている。そういうときこそ若さでチームを盛り上げたい。きつい練習も表情を崩さずにやるようにしている。

自分のパートは技が多い。技を器用にできるという強みがあるが、五輪前は少し足りていなかった。今大会に出られるからには責任を持ってできるようにしたい。自分の強みをもっと磨きたい。
五輪前はメンバーに選ばれるか分からないことで、自分に自信を持てなくなってしまったときがあった。技の成功確率や演技の流れも良くなってきて、自信もついてきている。そこは大会本番まで失くさずにやっていきたい。

ー 日本代表入りを目指したきっかけは

ジュニアの強化選手としてアジア選手権に出場しメダル獲得を達成できたときに、団体っていいなと思えた。五人だからこその達成感を強く感じることができた。その経験から、フェアリージャパンに入りたいと思った。

ー 今大会への意気込みは

新メンバーそれぞれのカラーを見せたい。観客に笑顔で楽しく観てもらえるように、自分たちがまず楽しんで笑顔でさいごまで踊りきりたい。

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提供:日本体操協会

 


【個人】 大岩千未来(おおいわ ちさき) 選手

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提供:日本体操協会

ー オリンピックを終えてからは

五輪では力を出しきれなかった。今大会に向けては切り替えて、本番で力を出しきれるようにしっかり取り組んでいる。

五輪後はリラックスをするため少し休みをいただいた。今大会は今のところ3種目(フープ・ボール・クラブ)に出場予定。しっかりとまとめて、決勝につなげていきたい。

ー 今大会への意気込みは

曲も演技も五輪からは変えずに臨む。持ち味であるピボットを観客のみなさんに生で見てもらいたい。
無観客よりも有観客の方がやりやすい。応援してもらえることでパワーの出方も違うので、有観客での開催になって良かった。みなさんを笑顔にできる演技をしたい。

【個人】 喜田純鈴(きた すみれ)選手

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提供:日本体操協会

ー 東京オリンピックが終わってからは

10日間ぐらいお休みをいただいた。大学や地元の所属クラブに挨拶に伺ったりした。
練習を再開し、まず五輪でできなかったところを改善できるように練習した。また演技の安定感向上や、カウントしづらいところをしっかりカウントできるように仕上げている。

ー 今回新しく取り入れたことなどは

演技自体は変わってはいない。技を少し組みかえたり、動きを付け足したりした部分がある。演技としてより踊っているように見えるよう工夫している。

状態も悪くはなく少しずつ上げることができているので、このままやっていきたい。

ー 有観客開催については

たくさんの方に見ていただけるのですごく楽しみ。より緊張もすると思うので、その緊張も楽しめるようにしっかりと準備をしていきたい。

予選では4種目を踊る予定。4種目に出場するのは 2017年のペサロ大会(イタリア)以来。

ー 東京オリンピックを振り返って

五輪の舞台は素晴らしいもの。それまで大変なことの方が多かったが、五輪に出るまでの過程ですごく成長することができた。決勝進出まであと少しというところは悔しかったが、それまでの全てが自分にとってはご褒美だったと思う。

五輪は無観客開催で家族や応援してくださる方に観てもらうことができなかった。今大会では色々な人に自分の演技を観てもらいたい。

【個人】 皆川夏穂(みながわ かほ)選手

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提供:日本体操協会

ー 2019年の世界選手権以降は

五輪出場権を獲得し準備を進めていたが、開催延期が決まった。それ以前から右足の状態があまり良くなかったため、2020年12月に手術を受けて今年に向けた準備を進めた。

6月の五輪選考会では自分のやってきたことを発揮しきることができず、代表になれずに本当に悔しかった。今回出場ができるようになり感謝の気持ちでいっぱいで、試合が楽しみ。ここまでやってきたことを全てぶつける気持ちで全力で頑張りたい。たくさんの方々への感謝の気持ちを込めて演技をする。

ー 選考会からの変更点などは

D 得点が低めの種目が多かったので、1点以上あげられるように構成を難しくし、より難易度の高い演技に変更。
今大会ではリボンに出場。曲は変更なし。自分の中で一番構成点が低い種目だったので、少しでも世界の選手に近づけるよう、あいだのつなぎの演技を減らし技をたくさん入れるように変更した。

ー 有観客開催については

たくさんの観客の前で演技ができるのは2019年の世界選手権ぶり。ワクワクした気持ちでいっぱい。自分の演技を観てもらえることが嬉しく、この状況下での有観客開催に感謝している。

ー 過去2009年の世界選手権(三重での自国開催)の印象は

現地に1日試合を観に行った。まだ小学生だったので、自分がまさかその憧れの舞台に立つことになるとは全く思っていなかった。
当時はアンナ・ベッソノワ選手の人気が高く、その大会でも盛り上がっていた。自分もあんな選手になりたいなと思ったことを覚えている。

ー 自身のキャリアにおける今大会の位置付けは

まだ今後についてはっきりとは考えていない。2019年の世界選手権以降いろいろなことを乗り越えながら、ロシアのナディア先生とここまでやってきた。この約二年間学んできたことや強化してきた部分を日本の観客のみなさんの前で発揮して、新体操の良さをたくさんの人に伝えたい。

新体操の認知度も少しずつ上がってきていると思うが、まだ人気度でほかのスポーツに及ばない部分もあると思う。今回日本で大きな舞台が開催されるので、新体操がもつ美しさや楽しさを自分たちの演技で伝えていきたい。

ー 現在のコンディションは

足の怪我に関しては 100% 完治するというものではないが、身体の状態としてはすごく良くなっている。選考会以降、身体全体の使い方や姿勢といった基礎的な部分から見直してきた。よりスピード感のある動きだったり、たくさんの難易度の高い技を入れられる身体になってきている。選考会のときよりも状態は良い。

痛いところがあったときはかばってしまったりして身体全体のバランスが崩れてしまい、自分の良さが出せていなかった。現在はしっかり整えて、バランス良く身体を使えるようにしている。



山﨑浩子 強化本部長

ー 東京オリンピックを振り返っては

喜田選手は自分の力をある程度出せたのではないか。大岩選手と団体の選手はいまひとつ自分の力を出しきれなかった。特に団体ではメダルを狙っていた。8位入賞とはいえ自分たちの納得のいく演技が全くできなかったという点で、そこまで持っていってあげられなかったことに対して大きな反省点がいくつもある。

ー その後の再始動の時期は

10日間ぐらいの休みを入れ、それぞれが次まで頑張るのかどうかを考える時間を与えた。やはり身体も心もだいぶ疲弊していたので、その疲れを癒やす期間とした。世界選手権前の休みとしては長いものの、次までやるかどうかを決めるにはやや短い期間でもあった。そして集まってからミーティングを行い、一人ひとりと話をしてどういう気持ちであるかを確認した。

最終的に全体的なチーム構成がだいぶ出来上がってきたのは10月に入ってから。その前の1ヶ月間は練習はしていたが、故障していた鈴木選手がどこまでやれるのかということもあり、これでやれそうとなったのは今月になってから。

ー 現在のチームのコンディションは

今のチームで9月あたまから練習を始めたが、故障の治りが悪いとか、新たな選手が少し故障するなどで、きちんと練習を積んではこられなかった。10月に入ってからやっと鈴木選手の見込みも良くなり、ほかの故障していた選手も治ったので、新チームとしては今すごく良い状態でいる。

ベテランと若手がミックスしたチームなので、練習量などについては非常に難しい。ベテランは長く練習をするとまた怪我をしてしまうし、若手はまだ体力がないので、どのぐらいの時間練習をしてどのぐらいの質を求めるのかというのがとても難しいところ。

五輪に出場した選手たちはその時よりは少し解放された状況であり、比較的良いコンディションであるように思う。

ー 新加入メンバー2名がもたらす要素は

とにかく新鮮には感じられると思う。やはり5名のうち2名が代わるというのは大きい。これまでは長く同じメンバーで戦ってきたので、見た目の印象も変わる。新メンバーはジュニアの大会以降大きな大会には出場していない。稲木選手はソフィア大会に出たが、今岡選手は一度も出ていない。そのような状況のため経験値は非常に低いが、技術力はふたりとも非常に高い。見ていてすごく危なっかしいと感じるようなことも少なく、とても華やかな感じがすると思う。

(新メンバーのチームへの加入による)違和感は当初から全く感じない。五輪前は選手が一所懸命になり過ぎてずっと焦っているような感じがあった。試合前になると分からないものの、現在のところそのような状況ではない。

ー 今大会に向けての新たな取り組みや課題は

五輪前は通し練習の数が多く、それで積み上げていくスタイルだった。今は一日1〜2本程度とし、その代わりに部分練習を深めにしたり、ウォーミングアップに少し遊びを取り入れたりしている。それは以前にもやっていたことだが五輪前はそういった余裕もなかったので、復活をさせた。心の余裕や余白、遊びといったものが欠けないようにと、こちらが努力をしている。だいぶ前になるがとても天気の良い日があり、外の空気もきれいだったので、午後練習もある予定だったが急遽取り止めにしてみんなで散歩をした。アイスを食べたりも。あまりに心や身体を削ることのないように注意してやっている。

失敗は全体のプログラムが見えづらくなるので、できるだけしたくないもの。但しそこにばかり注目してしまうと余計に身体が硬直したり萎縮してしまうことになりかねない。今はどちらかというと「失敗ありき」で、失敗したあとにどう対処するか、心持ちをどう強く持っていけるかという方向で考えている。


またせっかくの有観客開催なので、観ている方にグッと伝わるような、空気が動くような演技をさせたいなと思っている。

ー 表現に力を入れている理由は

はっきり言うと、今のルールでは表現に力をいれる場面というものはない。とにかく投げて転回、投げて転回。けれど、五輪の状況からせっかく立ち上がり、音楽からくる楽しさや切なさ、激しさなどを表現しないと、観客の心は捉えられないと思っている。今大会の位置付けとしては、新チームでまだ2ヶ月目なので結果を求めるのはきついかなと。そうであればやはり未来につながるバトンタッチの大会にしたい。ベテランと若手がミックスされていて、注目もされている。観ている誰かの心を動かせたらいいなと思う。

誰かの未来をつくる大会にしたい。その意味でもただ「落下しませんでしたね」ということではなく、「すごく楽しそうに演技したよね」「エネルギッシュだったよね」といったような、周囲が力をもらえるようなエネルギーを放出しなければいけない。その意味で、表現というものが重要になってくる。

ー 新加入メンバー2名それぞれの強みは

今岡選手はチーム内で最も背が高く、まだ伸びている様子もある。プロポーションも良く、見た目も華やか。演技ポジションは表現力が豊かな熨斗谷選手のところ。華やかさが重要なポストであり、その強みが評価できる。

稲木選手は竹中選手のポジション。非常に技術力が高く、どこのポジションでもやれる。正確性、敏捷性を持ち合わせ小回りがきく。頼りになる選手。

ー 先ごろダンサーの大貫勇輔さんを招いて指導をいただいた狙いは

五輪を終えてから、心の部分をもう少し柔らかくしたい、疲弊した部分を癒やしたいという思いがある。また来年からのルール変更で、より表現力を豊かにしないと戦えない状況になる。そのためにも違うジャンルの方から何らかのエキスをもらいたいなと。そんなときにテレビで大貫さんのダンスを拝見してすごいなと思った。溜めやキレ、アクロバティック、ピルエットなど。感情表現も豊かでなんとかそのエキスをもらう方法はないかとご連絡をし、いちど新体操を生で見ていただけませんかとお願いをした。そのうえでもらえそうなヒントはないか、またウォーミングアップなどを拝見してこちらからヒントを見つけられないかなど、何かのきっかけになればいいなと思い練習を見てもらった。そして実際に色々なメソッドを紹介してくださった。さいごには長い即興演技を見せてくれたりもした。素晴らしく、本当に涙が出た。


そこから選手が得た影響は大きい。「競技者であり表現者である」という言葉を仰っていただき、それで一皮も二皮も剥けたように感じた選手も多かったと思う。そのことで強く表現に目を向け始めたのではないか。本当に素敵で、大貫さんが手具を持ったらすごいだろうなと思えるような感じだった。

(練習メニューへの具体的な取り入れというよりも)とにかく彼の演技を目にした感動が大きい。ただボールを投げて受けてというだけでなく、そこにエネルギーがあり全てにつながっていくような印象。選手もそういった感覚を受けたのではないか。

表現をするという意味では、大貫さんのやっているダンスも私たちの新体操も同じだと思う。ご自分がされているダンスに点数はつかないけれど、表現をすることについては同じだと。手の運びなど一つ一つの動きに対する表現の仕方も丁寧に教えてくれた。ご自分が新体操の選手たちに伝えられることは何だろうと考えてくださっていた様子で、その大元として「表現者である」と伝えてもらえたのかと思う。

ー 今大会の具体的な目標は

個人は喜田選手にしろ大岩選手にしろ、世界においては中堅になってきた。いつもの大会より上がれる人数が少ないので難しいとは思うが、個人総合に2人残りたい。トップ10入りを目指す。頑張ってそういった結果を求めたい。

団体はまだ2ヶ月の新チームなので、どのくらいけるかどうかは分からない。ただ前よりも大きく落ちるという気はしないので、種目別のどこかでメダルが取れたら嬉しい。入賞は目標にしていいと思う。

チームランキングの方はあまり気にしていないが、団体と個人を合わせるとそれほど下位ではないものと思っている。

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提供:日本体操協会

 

チームとしても一人ひとりとしても、困難から立ち上がった姿が見られる大会になりそうだ。いわば人間らしいゆとりや温かみのようなものが、きっと演技を通じてそこはかとない魅力や美しさとなって表れてくるはず。またそれが多くの人々に届き、プラスの循環作用を果たしてくれるに違いない。

『新体操って楽しい!』 そう全国の選手たち表現者、指導者、応援者、またこの競技に新しく触れる方々と共に感じ合える機会になるだろう。それも自国で体験できるのだから、なおさら見逃すことはできない。

たくさんの想いと共に未来へリレーされるバトンの動きを、心に少しの余裕を持ちながらしっかりと見届けたい。

 

 

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