【ユーリ!!! on ICE × Chacott】 衣裳デザインの裏側 <番外編2>
2017/5/26掲載
ー 番外編2 ー
完全新作劇場版の制作発表も決定し、まだまだ楽しみが続く「ユーリ!!! on ICE」ですね!
さて、久しぶりの「衣裳デザインの裏側」番外編では、ユーリ・プリセツキーのエキシビションの衣裳についてご紹介します。
このエキシビションの映像は、5月26日(金)発売のBlu-ray&DVDに特典映像として収録されているそうです。
さっそくデザイナー佐桐に話を聞きました。
●この衣裳のデザインポイントはどこですか?
―「試合に勝つための衣裳」ではなくて、「本人が着たいもの」を想定して考え、色が先に決まりました。
山本監督からは、ジャケットスタイル、サングラス、グローブ、ロザリオ、ニーハイブーツ、と具体的なキーワードをいただきました。
●パープル、それも無地ではなく柄が入っていますね。
―はい、縦糸と横糸に違う色を使っていて、角度によって表情が違ってみえるシャンブレーという素材を使っています。アニマル柄(キリンか牛のような模様)になっている素材を見つけて「ユリオっぽいな」と思い、これに決めました。 細身のジャケットスタイルを提案しています。
●袖口と衿は色が違いますね
―素材の表と裏で色が違うので、折り返してそのまま違う色が出るようになっています。1枚の生地でリバーシブルになっているイメージです。
衿の形は、ジャケットの柄を活かしたかったので切り替えなど入らないショールカラー(へちまカラー)にしました。
●衿や背中に付いているキラキラはどんな飾りですか?
―スタッズか、角度によって色がかわるストーンにしようと思いました。
●大胆なインナーですが、これは肌が透けているんですか?
―インナーに関しては2パターン用意しました。ひとつは肌見せのタイプです。目の粗いフィッシュネットというネット素材を使い、クロス(十字架)の形にストーンを貼ります。このフィッシュネットもひっかかりやすいので、上級者向けの素材ともいえますね。
もうひとつは、ラメを織り込んであるニットに箔をプリントした素材の上に、細かい目のネットを重ねる提案です。このニット素材、全体で見るとレインボーになっています。
●ネットの穴がかなり大き目ですが、これにどうやってストーンを貼るのですか?
―この部分のストーンも角度で色が違って見える色を選びました。生地の網が交差する部分にひとつずつボンドでストーンを貼っていきます。
●バックスタイルはYバックなんですね。
―肩甲骨を動かしやすいのでYバックにしました。
インナーはパンツに入れない想定なので、裾をラウンドカットにしています。
●生地の端の始末はどうなっているんですか?折り返したら見えてしまいますよね!?
―切りっぱなしでもいいのですが、ネックと裾をパイピングテープで仕上げることで引き締まった印象にしています。シルエットもしっかりしますね。
●パンツはベロア素材ですね。何となくエナメルのような素材を想像したのですが・・・
―そうですね、エナメルは少しごわごわするのと、光り過ぎるので避けました。
●光り過ぎない方がいい理由はあるのでしょうか?
―エナメルの光り方は、戦隊ものやレースクィーンの衣裳によく使われていますね。コスチューム感が強いので、今回出したかったこなれた感じが出ないからです。
●この衣裳は小物がたくさんありますね。このクロスのネックレスもオリジナルでつくるのでしょうか?
―既製品で探してもいいのですが、ベースに飾りを付けたりしてつくることもあります。社交ダンスのドレスを製作するときにも、細い紐をストーンで挟んで髪飾りやアクセサリーをオリジナルでつくったりします。
グローブと、ニーハイブーツは合成皮革を使いました。これにもスタッズを付けました。
この衣裳が動くところが見られず残念に思っていましたが、原案に近いデザインの衣裳で滑るシーン、試合とは違うユーリ・プリセツキーを見ることができてよかったです!
いかがでしたでしょうか?ご覧になった皆さんの感想も気になるところです。
- 第1回:ヴィクトルのフリープログラム用衣裳のデザイン
- 第2回:男性用衣裳の特徴
- 第3回:勇利 VS ユーリ
- 第4回:勇利に憧れる南健次郎のフリーと、勇利のフリーの衣裳について
- 第5回:グランプリシリーズ中国大会のショートプログラムの衣裳について
- 第6回:グランプリシリーズ中国大会のフリープログラムの衣裳について
- 第7回:ロシア大会ショートプログラムの衣裳について
- 第8回:ロシア大会フリースケーティングの衣裳について
- 第9回:グランプリファイナル ショートプログラム
- 第10回(最終回):グランプリファイナル フリースケーティングの衣裳について
- 番外編:チャコットが制作した「勇利のフリースケーティング衣裳」ができ上がるまで
- 番外編2:ユーリ・プリセツキーのエキシビジョンの衣裳について