●まずは最初に登場したイ・スンギルのカラフルな衣裳について聞きました。

アニメーションとデザイン画はとても似ていましたね。

━監督からいただいたキーワードに「派手」「キレッキレの激しいステップ」「踊り狂う」というのがありました。普段の彼とは違い、一度スイッチが入ると何かに憑りつかれたかのようなものを表現しようと思いました。同じように、レインボーカラーで着色されていましたね。

実は、オリジナルで染めたレインボーカラーのストレッチネットが手元にあり、これはマンボの曲で使える！と思ってデザインに活かしました。実際の生地には羽根の模様がプリントされ、黒のラインでメリハリがついています。袖の部分はこの羽根の模様に沿ってカットし、ボディの生地に重ねて縫い付けています。
パンツはサテンのように光沢のあるストレッチ生地を使用しているので、アニメーションより派手な印象かもしれません。

●腰のベルト部分は上から付けているんですか？

━パンツのウエスト部分がベルト状になっています。フォーマルウェアに使われるカマーバンドのようにタック（ヒダ）になっています。

●続いてジャン・ジャック・ルロワの衣裳はいかがですか？

━これは難航した衣裳のひとつです。監督からのキーワードで、 "透明感のあるロック"というのがあり、まずはカラーを決めました。ペパーミントグリーンとブルーの中間位の色を設定しました。今まで登場しなかったカラーでもあり、男女問わず人気者という彼のキャラクターから、人を引き付ける色といわれるグリーン系を選んだのですが、アニメーションでは淡いパープルでしたね。

●カラーは変わっていましたが、カッティングやモチーフはほぼそのままでしたね。

━はい。モチーフは氷のイメージで、レザー風の布を三角にカットし、その上にクリスタルのストーンを1粒ずつ貼ったものを付けています。全体の淡いカラーを引き締める効果も狙っています。ネックの鋭角的なカットも特徴です。

●胸元のモチーフに囲まれている部分はどうなっているのですか？

━白いストレッチネットで透けています。

●続いてミケーレ・クリスピーノの衣裳です。

━男っぽく強い騎士のイメージでつくりました。姫を救う（妹を守る）騎士道精神です！甲冑のように見える部分は、一見硬く見えますが型押しのストレッチベロア素材を使っています。そのパーツをつなぐように、スパンコールが編み込まれた素材をライン状に縫い付けています。甲冑以外の部分は肌の透けるネット素材です。無地のほか、柄が織り込まれたネットの提案もしています。

●角度によって、ひらひらと動く布が見えましたがあれはどのようになっているのですか？

━前回のポポーヴィッチとは少し違うタイプの"騎士"のイメージで、左肩の前の方からマント風の布を付けました。ひらひらして動きがプラスされる効果もあります。

●ポポーヴィッチもブーツスタイルでしたが、今回は素材が違いますね。

━縁に使ったのと同じく、スパンコールを編み込んだ生地をブーツ風にしていますが、足元はスパンコール同士が引っかかったりする恐れがあるので、生地の上にネット素材を重ねています。