【ユーリ!!! on ICE × Chacott】 衣裳デザインの裏側 <第2回>
2016/10/14掲載
いよいよ、本格男子フィギュアスケートアニメ「ユーリ!!! on ICE」が始まりました。 最初にチャコットに衣裳デザイン原案のオファーがあったのは、今年の1月。今回、このアニメのために久保ミツロウさんが描き下ろした作品ということで、私たちも全部のストーリーはまだ知りません。この先どうなっていくのか楽しみです♪
そして、ストーリー以外にもうひとつ。選手が試合で着用する衣裳にも注目してください! 今回、特別企画として衣裳の原案をデザインした佐桐のインタビューを紹介していきます。元のデザインがどのようにつくられ、それがどのようにアニメ化されたのか、ぜひチェックしてくださいね!
― 第2回 ―
2話のお話には新たな衣裳が登場しなかったので、今回はユーリ!!! on ICE全体を通してのデザインについてのインタビューを掲載いたします。
●登場する選手は、ほぼ男性ですが、男性用の衣裳をつくる際のポイントはありますか?
━そうですね、女性だとスカートの形や素材で特徴を出したり、遊ぶこともできますが、男性の場合は(シャツやジャケットなどの)トップ+パンツかオールタイツの場合が多いので、やはり上半身にデザインポイントを持ってくることが多いです。パンツに関しては、シルエットと伸縮性の素材が重要です。
●前回登場したヴィクトルの衣裳も、パンツはシンプルに黒で、ジャケットにこだわりが詰まっていましたね。
━はい、形はジャケットでも普通の洋服とは違うので、今回使ったジョーゼットのように素材で遊ぶこともできます。ただフィギュアスケートは演技中の身体の可動域が広いので、特に伸縮性のない素材を使うときには、運動量をカバーする工夫が必要です。例えば、シットスピンでは上半身を前に深く折るので、背丈(背中)が伸びます。反対にドーナツスピンのときには、背丈(背中)が縮み、前丈(胸)が伸びます。この運動量を吸収しつつ、立っているときにも美しいシルエットを保たなければなりません。 また、ジャンプのときには回転の邪魔にならないよう、身体から布が離れる部分は重くしすぎない工夫もしています。
女子選手のスカートも同じなのですが、身体から離れるほど回転などの際に遠心力により振られてしまうので、演技の妨げになることがあるのです。ヴィクトルのジャケットも、前中心はフィットするインナーになっています。
●デザイン画の中に、布地を「バイヤス(斜め)」にという指示があったのもそういう理由からなのですね。実際着用することを想定しているのがわかります。
━ はい。何枚かすでにデザイン画を見ていただいていますが、実際に選手が着ることを想定してデザインしているので、素材のチップも貼ってあります。素材のニュアンスをアニメーションに起こすのは難しいと思いますが、前回の、ラインストーンがキラキラ光る演出など、表現方法に驚きました!いくつかの素材はスキャンして取り込むというお話も聞いていますので、今後そのあたりも楽しみに見たいと思います。
それからもうひとつ、デザインを壊さずに衣裳を着脱できるようにするのもポイントなのです。
背中ファスナーか、脇ファスナーなのか、肩がスナップ留めになっているのか・・・。
●選手が衣裳で登場するシーンがきたら、「これはどこが開くのかな?」と考えてしまいそうですね!
―衣裳ばかりに注目すると、ストーリーが入ってこなくなってしまいますが(笑)、違った角度から観ていただき、新たな発見や驚きを感じていただけるとうれしいです!
男性の衣裳は特に上半身(トップス)のデザインがポイントになることがわかりました。
3話以降も続々と衣裳が登場しますので、どんな素材なのかなぁなど、
リアルな衣裳をイメージして見るのもおもしろそうです!
次回もお楽しみに♪
- 第1回:ヴィクトルのフリープログラム用衣裳のデザイン
- 第2回:男性用衣裳の特徴
- 第3回:勇利 VS ユーリ
- 第4回:勇利に憧れる南健次郎のフリーと、勇利のフリーの衣裳について
- 第5回:グランプリシリーズ中国大会のショートプログラムの衣裳について
- 第6回:グランプリシリーズ中国大会のフリープログラムの衣裳について
- 第7回:ロシア大会ショートプログラムの衣裳について
- 第8回:ロシア大会フリースケーティングの衣裳について
- 第9回:グランプリファイナル ショートプログラム
- 第10回(最終回):グランプリファイナル フリースケーティングの衣裳について
- 番外編:チャコットが制作した「勇利のフリースケーティング衣裳」ができ上がるまで
- 番外編2:ユーリ・プリセツキーのエキシビジョンの衣裳について