新体操日本代表フェアリージャパン POLA 新体制で初めてのW杯へ!

新体操日本代表フェアリージャパン POLA がワールドカップ( 4/8〜10 ソフィアW杯(ブルガリア)、 4/22〜24 バクーW杯(アゼルバイジャン))に出場します。

新体制となり、新しいキャプテン、加入選手、コーチ、強化本部長らと初めて臨む国際大会です。

現在の状況や新ルールへの対応などについて、選手・指導者たちが率直な思いを聞かせてくれました。
<日本体操協会 リモート取材>

【団体】鈴木・竹中・今岡・稲木・末永・生野・中村 選手
【個人】喜田・山田 選手
<指導>杉本コーチ、村田強化本部長

(各選手プロフィール:日本体操協会資料より)

 

【団体】主将 鈴木歩佳(すずき あゆか)選手

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ー 新体制に入り、今の状況は
4月のワールドカップに向けて、両種目ともしっかりまとめられるように練習している。

ー 新キャプテンとしての率直な気持ちは
最初はすこしびっくりした。いまは皆に声を掛けることや、皆の成長する姿を見てやり甲斐を感じている。このチームを最後までしっかりと引っ張っていきたい。

ー 11月から現在までの成長は
初めての選手もいるので、自分の今までの経験や技のコツなどを伝えている。吸収が早いので教える側としても嬉しいし、やりがいがある。

ー ルール変更によるメリットは
踊りの部分が増えた。若さやフレッシュさで踊りを表現できると思う。

ー 杉本コーチの存在は
今までずっと近くでキャプテンとしての姿を目にしてきた。そこで学んだことをいま活かしている。
選手に一番近い立場で指導をしてくださっているので、良い意味で頼りたいとも思うし、選手の気持ちを一番に考えて指導してくださるのでとても心強い。実際に(動いて指導を)やっていただくとやはり分かりやすいのでありがたい。

ー キャプテンとしての目標は
新チームの若さやフレッシュさを世界の方々に見てもらいたい。まだまだ未熟なチームながら、世界選手権ではメダルを獲得できるように一丸となって頑張りたい

ー 活動拠点が日本になったことは
ロシアで合宿をしていたときは、トップ選手たちの隣で練習していて吸収できることがたくさんあった。今は日本拠点となり、自分たちに集中して練習ができる。あまりマイナスに捉えずに、前向きな気持ちでやっていきたい。

ー 新ルールの芸術点についてなどは
今までのルールでは技が多く入っていた分、あいだや踊りの部分が少なかった。今はその部分が多くなり、表現を大切にしている。「動画や映画を見て表情や見せ方を研究していこうね」と、チームでも話し合っている。

今は技の数の上限が決まっていて、東京オリンピックの時と比べると半分ぐらいに減っている。ひとつひとつの技のリスクが大きいので、技自体の(成功)確率を上げることが重要。

フープは触っていたので慣れはあるが、リボンは何年もやっていなかった。新チームは身長が少し低めでリボンは長いため、しっかりかいて、さばきもしっかりやらないと演技が繋がっていかない。そこが今の課題。

ー それぞれの演技の見どころは
「フープ」はノリノリの音楽で、今の自分たちのキャラクターに合っていると思う。チームが若く、元気で明るいので、ダンスステップの部分を見てもらいたい。「リボン + ボール」はボールひとつとリボン2本を使った冒頭の3本投げが見せ場。

【団体】竹中七海(たけなか ななみ)選手 

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ー 今の状況は
新しい体制、メンバー、演技、ルールにおいて、自分たちを表現できるように日々練習をしている。

ー 新チームの印象と自身の役割は
若々しくフレッシュさがある。元気いっぱい。

鈴木選手が技の多いポジションでありキャプテンということで、大変な部分があると思う。鈴木選手がサポートしきれない部分について声掛けをするなど。メインは鈴木選手の判断に任せ、足りない部分を補っていく。客観的に一歩引いて見ることができる立場。今まで経験してきたことを伝えられるように意識している。

ー 杉本コーチについては
選手同士としてやってきた信頼関係があり親密。選手側から聞きたいことをすぐに聞きに行ける。距離感の近さがうまく働き、コミュニケーションが円滑に運んでいる。

ー 昨年の東京五輪や世界選手権を振り返って
東京五輪では自分たちの出し切りたい演技ができず、悔しさや申し訳ない思いがあった。パリ五輪を目指すからこそ、なぜできなかったのか、どういう雰囲気だったのかなどの経験を、自分の行動でも見せ、言葉でも下の世代に伝えていくように意識している。

それらの大会以降、まだ自分の怪我が治りきっていないところもある。これから年齢を重ねるにつれ、今まで以上に身体に気をつかいながら、できる部分は全力でやる。うまくバランスを取っていくことが大事。

東京五輪において、個人的には、技ひとつひとつにたいする自信が足りなかった。緊張感が大きく高まったときに100%に近い成功率だったかというと、そのときに必死なばかりでやりきれなかった。自分の持っている技の成功率を限りなく上げていくことや、どうしたらできるかを追求し、練習でやりきるということを積み重ねる必要がある。

新しいチームと新しい演技において、それぞれの技に対するコツを明確にし、演技の流れの中でそれをポイントとして入れるだけになるように練習している。

以前は必死で前のめりになっている感じがあった。自分の技は明確・シンプルにし、その分もっと周りを感じて柔軟に対応ができるように意識している

ー 新体制になってからのトレーニングについては
計画的にメニューが組み立てられている。ウェイトを使い負荷をかけることや、新体操ならではのトレーニングなど。今まで自分が行ってきたトレーニング以上に安定感が増し、動きやすくなっていることを感じる。継続することで、怪我をしにくい身体作りやチーム力の向上につなげたい。

ー 新ルールでのプラス面は
表現が重視されている。技の数が減り余裕ができた分、音の見せ場が出てきている。選手それぞれ演技中に受け渡しをしてフリーになる時間があるので、音楽を感じて踊ることができる。音に乗って表現をしたい。

ー 今後の目標は
今年は世界選手権でのメダル獲得が目標。多くが新しくなり、世界でどのように評価されるのかは未知の状況。現在はなんとか演技をまとめていくというところ。今後経験を重ねていき、自分たちの演技を追求していく必要がある。

【団体】今岡里奈(いまおか りな)選手

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ー 現在の状況は
4月から行われる試合に向けて、チーム一丸となって、ひとつの目標に向かって取り組んでいる。

私自身は(左ひざと左肩に)故障をしてしまっているため演技はしていないが、外からのサポートを行ったり、補欠メンバーと一緒に練習をしている。

チームとしては日に日に成長。演技だけでなく、チームワークも徐々に良くなっていると感じる。

外から見て、こういう方がやりやすいのではといった点を杉本コーチに直接伝えたりしている。一緒に選手をやっていたからこその伝えやすさがある。
よりチームが良くなるよう、外からの声掛けなどをしている。

ー 今後の目標は
今年は世界選手権でメダルを取り、オリンピックの出場権を獲得すること。そのためにはまず故障しない強い身体をつくり、演技面でも日本の美しさ、繊細さ、チームワークを出せるように精一杯頑張る。

ー 新たなトレーニングの効果は
ウェイトやバーを持ってスクワットをしたり、重いものを片手に持ってまっすぐ歩く練習をしたりなど。器械を使って筋肉をつけていく。今まで行ってこなかったトレーニングであり、団体での「交換」の距離を飛ばす投げなどが改善。今までは色々なところに力を入れて頑張って投げていたが、余計な力を使わずに、簡単に遠くに投げられるようになった。また難度の安定性が増した。バランスを崩しそうになったときもグッと堪えられる力がついたように思う。

【団体】稲木李菜子(いなき りなこ)選手

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ー 新体制になり、今の状況は
キャプテンやメンバーも変わるなど最初は不安な部分もあったが、今はチーム全員で協力しあいながら、若さを活かして明るく練習に励んでいる。

ー どのような不安があったか
自身が加入して以降これまではフェアリージャパンPOLA に経験の長い選手がいたが、これからは「ただついていく」という立場ではなくなることや、引っ張っていかないとという気持ちがあり、その点に少し不安があった。

ー 進学、環境の変化については
大学生になることは、一歩大人に近づくイメージ。新体操だけでなく、普段の生活から一歩大人に近づける女性になりたい。

ー 2021年の世界選手権での経験を踏まえて
「本番に合わせていく」「本番の一本で決めきる」といった気持ちが少しついた。技術面だけでなく、メンタルの部分での成長があった。今後も活かしていきたい。

ー パリ五輪に向けては
一番は五輪でメダルを獲得することが目標。それに向けて今自分は何をすべきかを考えて練習に取り組んでいる

ー チーム内では
技を行うパートが多いが、体力面においてまだ(演技)一本を通し切るのに精一杯ということが多い。今は慣れていく段階であり、かつ試合にも臨むという大事な状況。きついという捉え方ではなく、たくさんの技を見てもらいたいという気持ちで頑張っていきたい。

ー チームを引っ張っていくにあたり心がけていることは
これまではまず自分がやり切ることに必死だった。今は年齢的にも真ん中の上ぐらい。今は自分のこともこなしつつ、周囲を見て、声掛けなどをするように意識している。

ー 磨いていきたいところは
新ルールになり、表現の部分がとても大事になっている。チーム全体として観客の目を釘付けにできる、楽しませられる演技がしたい。絶対にできると思いながら練習をしている。そういうところから魅せるというエネルギーも生まれてくると思っている。

ー 新ルールの中での自身の強みは
表現の部分はまだ課題だらけ。また以前のルールと比べて身体難度が大きく変わっている。パンシェターンやフェッテピボットなどの技のレベルが上がってきている。自分はそういった難度が得意なので見せていきたい。また演技の中でも技が多くあるので、ひとつひとつ見せていきたい。

ー 表現力を高めるためには
鈴木選手が曲にあった表現が出来ていて格好良いなと思える。練習中には鏡を見ながら動きに表現をつけるなど。また練習外では曲のアーティストのミュージックビデオなどを見て表現や動き方を研究している。

また特に目や表情から表される雰囲気が参考になる。今の自分にはまだ足りていないのかなと感じている。

ー 日本チームの良さは
同時性と美しさ。チームでも動きを合わせることを徹底しているので、ぜひそこを見てほしい。

【団体】末永柚月(すえなが ゆづき)選手

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ー 現在の状況は
新しい演技になり、試合に向けての自信がつくように毎日練習を重ねている。

技の精度を上げることはもちろん、新ルールでは表現が重要になっているので、投げた後の動きのつなぎなどを重点的に練習している。

ー 自信のある点は
2種目とも曲調が異なるが、それぞれの曲にあった動きで正確に、また皆さんに楽しんでもらえるように演技をする自信がある。

ー チームの雰囲気と自身の役割は
若くなった。キャプテンについていこうという雰囲気。

自分は客観的に見るタイプ。ミーティングでは改善案を伝え、話し合ったりしている。

ー 杉本コーチについては
自分ができない技を実際にお手本として見せてもらえる。コミュニケーションの面でもやりやすい。

ー 今後の目標は
世界選手権ではメンバーとして出場しメダルを獲得することが一番の目標。縮こまってしまうことなく観客に楽しんでもらえるような演技をし、そこで自信をつけてパリ五輪につなげたい。

【団体】生野風花(いくの ふうか)選手

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ー 今の状況は
演技も作ったばかり。まずは技の精度を確実に上げていけるように練習中。

ー 得意な部分は
ボールが得意。滑らかな動きに自信があるので見てもらいたい。表現の部分も徹底していきたい。

ー チーム内での役割は
あまり騒いだりする方ではない。必要なときに冷静に判断ができるような、落ち着いたタイプかと思っている。

ー チームの雰囲気や鈴木キャプテンについては
鈴木選手は普段から明るくて元気いっぱい。チームの雰囲気が暗くなったときも、鈴木選手の一言で場が明るくなったり、周りを見て盛り上げてくれたりする。やりやすく、前向きに練習ができている。

ー 杉本コーチについては
選手としても一緒にやってきたので、自分の性格なども分かってくれている。技に関しても選手の気持ちになって指導してくれるので、やりやすいし分かりやすい。動き方についても、こちらに伝わりやすい表現をしてもらえる。

ー 現在の目標は
今は演技を作ったばかりで技に必死になりがち。練習回数を重ねて安定させられるようにしたい。そのうえで表現にも力を入れていきたい。今後は新体操以外の踊りについても勉強をしていき、色々な踊り方をしたり、自分たちが伝えたいことを観客に表現できるようになりたい。

世界選手権ではメダル獲得が目標。それに向けて、まずは結果の前に、自分たちが納得のいく演技を本番で一本出せるように練習を積み重ねたい。

【団体】中村知花(なかむら ちはな) 選手

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ー フェアリージャパンPOLAへの加入はいつ決まったか
1/24 のセレクションにて。

ー 競技を始めたきっかけは
4歳の頃。姉が新体操を習い始めていて、その送り迎えのときに楽しそうだなと思った。

ー 目標にしている選手は
もう引退されているが、ロシアのヤナ・クドリャフツェワ選手。手先や足先まで美しく表現されるところや技の正確性が、まだ自分に足りていない点であり、大切だと感じる。

私の目標は オリンピックでメダルを取ること。

ー 新体操を続けられる理由は
新体操が大好きという想い。上があるならそこに向かっていきたい、と思える。

ー 新体操に感じる魅力は
個人や団体に対してはまず曲が選ばれる。その人に合った曲や、それぞれの世界観を表現するところに惹かれる。

ー トライアウトに合格したときの心境は
ずっと夢見ていた場所。オリンピックでメダルを取るという目標に向けて、やっと一歩を踏み出したという思いで、ドキドキワクワクしていた。

ー 実際に加入してみて、難しいと感じる点は
ここ2年間はずっと個人の選手としてやってきた。久しぶりの団体で、周りに人がいる状況。相手に投げたり、相手からの投げを取ることに慣れるのがいまの課題。

(鈴木キャプテンは)「大丈夫だよ」とか、安心できる声掛けをしてくれる。すごく心強い存在。



【個人】喜田純鈴(きた すみれ)選手

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ー 今の状況は
ワールドカップに向けて、新しいルールでの新しい作品を仕上げている段階。

ー 新ルールについては
芸術性が重視されるようになったので、曲と一体感を出すことや、曲のイメージやテーマに合った動きを演技の中に入れるようにしている。
自分は表現や動きが得意なので、そういう面が評価されるようになるのは嬉しい。

ー 大会に向けた演技については
リボン以外の3種目は曲から変更しているので、新しい表現ができると思う。
リボンは昨年と同じ曲ながら新ルールに合わせて内容もかなり変わっているので、また違う表現ができそう。

ー 昨年の東京五輪と世界選手権を振り返って
東京五輪は無観客開催で直接応援をしてもらうことはできなかったが、五輪という特別な雰囲気を経験できた。そこで踊れたことが自分にとって一番の財産になった。

世界選手権は有観客での開催。たくさんの方に演技を観てもらうのが久しぶりだったので緊張もしたが、応援を間近に感じることができ、それをパワーにして演技をすることができた。

五輪と世界選手権がどちらも開催される異例な年だったが、海外のトップ選手はしっかりと調整してきて世界選手権でも決める強さを持っていた。演技の内容はもちろん、そういった気持ちの強さや決めきる力がすごいと感じた。

ー 今年の世界選手権に向けて
まだ新ルールになってから大会には出ていないので、どういう評価をされるかは自分自身でもまだはっきりとは分かっていない。今後の試合で出てくる課題をしっかり把握してこなし、世界選手権では自分のベストを演技で表したい。

【個人】山田愛乃(やまだ あいの)選手 

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ー 今の状況は
新ルールへの変更に対して調節しながら、まずは初戦に向けて日々練習している。

ー フェアリージャパンPOLAに加入して
昨年と違って(喜田)純鈴さん、フェアリーらと一緒に練習ができている。とても刺激になり、頑張ろうという気持ちになっている。

今まで世界大会などで培ってきた純鈴さんの技術や難度を近くで見ることができ、ひとつひとつ学ばせていただきながら、自分に取り入れようとしている。

ー 自身の強みは
高い身長を活かしてダイナミックな演技をすること。得意な種目はフープ。身体を使い、表現の部分でも身長を活かしたい。

ー 世界選手権への目標は
4種目ともしっかりと自分が納得できるように。自分も観ている方々も楽しめるような演技がしたい。

ー 昨年の五輪や世界選手権から感じたことは
東京五輪はテレビで観戦。世界選手権(北九州市)は個人種目を見に行った。とても刺激になった。
トップ選手でも何が起こるか分からなかったり、そこでも決めきる強さが必要なのだということが分かった。

ー どのような選手を目指したいか
自分が踊っていて楽しめたり、観ているひとが引き込まれるような演技がしたい。

ー 今年の目標は
まずはひとつひとつの試合経験を踏み、慣れていきたい。一戦一戦自分が成長できるような年にしたい。

(世界選手権では)決勝に残りたいと思っている。



【指導】杉本早裕吏(すぎもと さゆり)コーチ

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提供:日本体操協会


ー 新体制でコーチに就任された今の状況は
新しくコーチという立場になり、まだまだ力不足で日々学ぶことがある。村田先生のもとで指導を学びながらやれていることは幸せ。不安なことはあるが、しっかりと選手をサポートできるように頑張りたい。

自分は ナショナルトレーニングセンター(NTC)で選手と合宿生活を行ってはいない。必要なときに来るかたち。

自分の指導で大丈夫かなという不安がまだ自分の中にはある。選手とコミュニケーションを取ってやっているが、まだ自信を持ててはいない。苦労というよりは不安のほうが大きい。

ー 新ルールについては
先日国際審判の試験があり、自分も受けた。選手だったときと違うルールになり、今年からは芸術の部分が大切になってくる。自分でもまだ学ぶことがたくさんある。こう伝えれば選手が理解できるなと思えることもあり、試験を受けて良かった。

ー 練習拠点が日本になったことについては
自分が9年間ロシアで学んだことを日本に伝えていく時なのかと思う。強化本部長も変わられ、また新しい日本を作り出すチャンス。この体制での日本らしさを自分たちの手で作り上げていきたい。どのように評価されるかはまだ分からないけれど、日本全体で力を合わせて試合に向かっていきたい。

ー コーチの立場になり気をつけていることは
選手として同じチームでやっていたので、それぞれの性格が分かったうえでの指導なのでやりやすい。引退してすぐコーチになりまだ動ける身体ではあるので、こうした方が良いのではという身体を使った注意ができている。またキャプテンだった時から言葉がけには気をつけていて、その人にあった言葉をかけるように意識している。

ー 新キャプテンの鈴木選手については
自分が現役だった時も鈴木選手はよく声を出していたし、周りが見えていた。キャプテンになって頼もしくチームを引っ張っている。
これまでと違うチームになって大変な面もあると思うので、しっかりサポートをするし、客観的に見て感じた点を冷静に判断してつないでいきたい。

ー それぞれの団体種目のテーマは
フープは、若さと元気さが溢れているこのチームのキャラクターに合った曲。見ていて楽しくなる。

試合に出てみないと海外の審判からどう評価されるのかは分からない。リボン+ボールは手具の難しさもあり、今はまだ踊り込みというよりも手具に慣れることに必死。しなやかさや、クラシックな雰囲気を身体で表現できると良い。

ー コーチに就任された経緯は
五輪前は引退したら新体操から離れようと決めていたが、五輪を終えて悔しい気持ちがあった。五輪への臨み方を学んだ。その悔しさを次世代の選手たちには感じてほしくないと思い、どういう立場からなら最も伝えられるかと考えた。まだはっきりとしていたわけではないが、やはりコーチなのかなとは思っていた。
その時に村田強化本部長に声をかけていただいた。小さい頃から、また大学では所属の先生としてたくさん助けていただいた、心から尊敬できる存在。ついていきたいという気持ちも重なり、コーチとして頑張っていこうと決めた。

キャプテンとして臨んだ東京オリンピックではメダルを狙っていた。終わってから、チームがまとまっていなかったと感じた。キャプテンとして言葉がけやチームをまとめられなかったことであの悔しい結果につながったと思っている。五輪を経験していないと分からない、臨み方などの気持ちの面を選手たちには一番伝えたいと思った。
五輪後はチームで気持ちを共有しあっていたし、自分が現役のときも、コーチになってからも少し話したことはある。

ー 選手からコーチになっての立場の変化は
自分の中では選手とコーチをあまり分けたくない。今までの延長線上として指導をしているのだと選手には考えてほしい。敬語もなしで、気軽にコミュニケーションが取れる状態にしたい。選手たちも相談に来てくれるし、(立場や関係性は)あまり変わっていないものと自分では思っている。

ー 理想のコーチ像は
まだはっきりとは見えてきていないし、日々勉強中。色々な先生方からは、自分らしく指導を行う方が良いと言われている。先生方の良いところを盗みつつ、自分の良さも出し、選手に寄り添えるコーチになりたい。もちろん厳しく指導をすべきときもあるかと思うが、自分はどちらかというと怒ったり、強い口調で指導するというよりは、少し言葉をかけて自分たちで考えさせる。選手のモチベーションを下げることなく、選手主体で動かしていけるようにしたい。

呼び方としては今まで通り「さゆりん」と呼ばれている。最初は鈴木選手も「さゆりさん」と呼び始めていたが、距離感を感じてしまうし慣れないので今まで通りでいいよと伝えたら心を開いてくれたのか(笑)、今では普通に話すようになった。

ー 練習拠点が変わったことについては
ロシアの現地で、目で見て感じたり、経験して学んだことはたくさんあった。選手にとっては大きな違いかもしれないが、村田強化本部長が日本の力だけでしっかり作り上げていくんだと仰ったときに、自分もしっかりサポートしたいと思った。また熨斗谷さんと皆川さんも強化に加わっていて、ロシアでの経験がある二人の力も大きい。選手に注意をするときも「ロシアではこう言われたんだよ」と付け加えることで、選手たちも「海外でも重要なんだな」と理解しやすいので、そういった言葉がけを大切にしていきたい。

海外の試合に出ることによって選手たちは学んでいくと思う。ロシアだけの力に頼るのではなく、色々な経験を得ることでこれからどんどん学んでほしい。失敗などを怖がらずに、選手たちには果敢に挑戦してほしい。

ー 日本の新しいオリジナル像は
ブルガリアといえばコレ、イタリアといえばコレなど、各国それぞれを印象づけるような演技がある。日本だったらコレだよねというものは、まだ世界には広がっていないかなと思う。自分たちがロシアで9年間学んで、海外からは例えば「日本はボールの片手受けをやってくるよね」といった印象はあったかと思うが、今は当時のメンバーの大半が引退してしまっている。新しい日本チームではコレというものがまだ明確には見つかっていないのが現状かと感じている。

一人ひとりは能力が高くきれいな選手ばかり。小柄な体格でもどういう風に身体を使えば世界で戦えるか、どのように活かせるかという点を自分も日々研究中。これからの試合で見つけていき、伝えていきたい。

今までも「同時性」は日本のチームが一番の強みとしてやってきたので、それは受け継いでいってほしい。

【指導】村田由香里(むらた ゆかり)強化本部長

 

ー 就任されてからは
11月に着任をし、強化本部員が決まったのが12月末。トライアウト後、フェアリージャパンPOLA のメンバーが決定したのは1月中旬。

山﨑元強化本部長が遺してくださったものは大きく遺す。そのうえでの最も大きな変更としては、日本人コーチのもとで日本を拠点として活動を行うこと。

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提供:日本体操協会


ー 現在の状況は
今の選手にとって、曲が少し大人っぽすぎるのではないかといったご意見を日本の審判の先生方からもいただいた。急遽ながら、選手たちが踊って心から楽しめることができるようにと、(フープの)曲と作品を変更して対応を行っているところ。今までは日本の審判方が曲や構成に対して変更などのやり取りを行うことはできなかった。変更はもちろん大変ではあるが、さまざまな意見がある中で、現場にとって「いける」と思えたので採り入れた。そういったやり取りも今後は大切になる。良い環境が整いつつあるように思う。

ー 杉本コーチについては
団体のコーチを杉本早裕吏に任せている。キャプテンとして長年に渡りフェアリージャパンPOLA を導いてくれた選手でもある。今はまだ指導者としての経験は全くないが、選手たちの気持ちや考え方が分かり、経験してきたことがある。が、日本各地も含めて、これまでは選手たちになかなか伝えることができなかった。指導者としては今から力をつけていかないといけないが、選手側としてまだまだ伝えられることがたくさんある。

また同じく熨斗谷さくらも本部強化員として団体を見てくれている。ジュニアの強化にも大きく携わっていく役割。日本のトップチームを見ているからこそ、そのトップレベルの中で戦うためにはジュニアのときにどう強化していかないといけないのかがよく見えてきている。この二人が先頭に立って頑張ってくれているのはとても良い点。

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提供:日本体操協会

ー 新たに取り組んでいることは
ロシアではなく日本での合宿となっているので、日本でできることを全てやりたい。今までは日本に帰ってくる時間が限られ、身体を強化することができず、年間を通して怪我で苦しむことがあった。今はナショナルトレーニングセンター(NTC)でトレーニングを行ったり、コーチ以外のトレーナーらにお力添えをいただき、普段の練習の中にトレーニングを取り入れている。作品の練習以外に、自分たちの身体にも興味を持って強化をしている。

ー ルール変更については
次の試合が海外での第一戦目になるので、点数の出方はまだ分からないが。今までは芸術の評価をする審判と、ミスをした時に技術的な減点をする審判とで、芸術と技術をあわせて10点満点からの減点方式であった。今回からは芸術と技術とが2つに別れ、それぞれ10点満点からの減点となったので、それぞれに関して今までよりも具体的に優劣がつくのではと思われる。

大きく身体全体を使うことが必要とされ、蛇道・波動といった動きを必ず演技に入れなければいけなくなった。難度をすることだけに身体を酷使してしまうと、身体が固まった状態で、技だけになってしまう。その意味で昔からの身体の使い方である「つなぎ」が重視されている。

ただ個人種目においては、入れなくてはいけない技や難度に関してそれほど大きな変わりはない印象。

団体においてはやはり5名いるので、審判にとってより分かりやすくということが明確になった。5人の動きが揃う「同時性」がより重要になってきた。
また今までは2人で技を行った場合にどちらか一人が加点要素をやれば良かった。今回のルールからは、例えば足でのキャッチなど、二人の場合には両名がこなさないと点数にはならなくなった。今まで以上に加点が難しくなった。選手同士で手具を投げ合う「交換」も、これまでは相手に届けばそれで良かったが、今回からは「距離は8m以上」もしくは「高さは身長の倍以上」と数値が具体的に示されたので、皆が苦労しているような状況。

ー 身体の強化については
フィジカル面では筋力も大切。またバレエも、ロシアで学んできたことも大切。けれど海外と日本の選手とではプロポーションや骨格が大きく異なるので、同じようなことをしていても筋力が足りなかったりもする。もしくはそもそも根本的に違う身体の動かし方をしないといけなかったのかもしれない。

また日本人同士であってもそれぞれ身長や体重、育ってきた環境などが違うので一括りにはできない。これから同じ練習を毎日繰り返していかなくてはならない。負担がかかっていると怪我につながる場合もある。むりやり筋力をつけるよりも、負担なく自分が動かしやすい身体にしていきたいという意図がある

ー 団体と個人の両方で五輪に出場されたご経験からは
団体の場合、個人個人の能力の底上げは大事だが、最終的に誰か一人の気持ちが欠けていたら絶対にまとまらない。全体を見て声をかけたりしている。杉本コーチもキャプテンの経験があるので良く理解し、声をかけている。技術面だけではなく、気持ちをひとつにすることを常に意識している。

ー 協会としての「女性のための職場支援」などについては
現状はない状態。会長からは必要なことをどんどん伝えてほしいと仰っていただいている。安心して競技に打ち込める環境を作っていきたい。結婚していても、していなくても、子どもがいても、いなくても、その人の生活空間が損なわれることなく皆が仕事をしやすい環境を作っていかないといけない。自分でもどうしても無理なときは強化本部員に「今日はお迎えがあるから抜けるね」と伝え、快くサポートをしてもらえ非常に助かっている。まずはそこを無理なく言えるようにしていきたい。

また、これから色々な方々へのお願いが必要になるが、若い層にも育ってもらいたいものの、お子さまがいるから審判を引き受けられなかったり、コーチが子どもを抱っこしていて泣いてしまうから外に出る、といった状況がある。講習会なども含め、行事の際には託児室を設けて業者の方に入っていただき、安心した状態で新体操に打ち込める環境を整えていきたい。そうなってくると若いコーチや審判も無理なく育ち、協力してくれるのではないかと思う。

ー パリ五輪に向けては
フェアリージャパンPOLAの選手たちを通して日本の新体操界がまとまるときが来ているように思う。新体制であることや、世界をまだ経験していない選手の加入などもあり、すぐにメダル獲得というのは厳しい道だとは思うものの、そこはあきらめたくはない。だからこそ審判の先生方にもご尽力をいただかなければいけない。強化本部だけでできることは限られている。所属団体・先生方のご協力や、海外に出かけづらい状況もあるため、日本各地で合宿や演技会を行い地域で交流し、その地域の選手も強化され、フェアリージャパンPOLAとしても経験を積んでいけるようになりたい。日本全体に育てていってもらうような、大船に乗ったつもりで頑張っていきたい。

これまで以上にフェアリージャパンPOLAが日本の中で認知されてほしい。また雲の上のような存在ではなく、自分たちの手が加わっているのだと感じてもらえるような存在にしていきたい。


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数々の言葉から、若さと将来への期待が伝わってきた。皆それぞれ不安はあるに違いないが、それらを払拭する前向きさと雰囲気の良さも持ち合わせているのが頼もしい。

今は日本が長く培ってきた経験と財産をもとにした、新たな未来へと向かうターニングポイントだ。
臆することなく夢を追い求めてほしい。美しく躍動的に競い合ってほしい。新体操で国内外と心を通わせてほしい。

幾多の試合や五輪へと向かう表現者たちの旅路と、そこから広がるたくさんの学びや笑顔が楽しみだ。

 

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