新体操日本代表フェアリージャパン POLA 1年半ぶりに国際大会出場へ 「全部を見てもらいたい」

新体操日本代表フェアリージャパン POLA がワールドカップ ソフィア大会(ブルガリア 2021/3/26〜28)に出場します。およそ1年半ぶりとなる大会参加に向けて、選手たちがこれまでの様子や W杯への意気込みなどを聞かせてくれました。<日本体操協会 リモート取材>

【団体】杉本・松原・熨斗谷・竹中・鈴木・稲木 選手
【個人】喜田・大岩 選手  
<指導>山﨑 強化本部長


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日本体操協会提供資料より

【団体】 主将 杉本早裕吏(すぎもと さゆり)選手

ーチームのコンディションは

公の場には出られていないが、JISS(国立スポーツ科学センター)にて練習。チームとしては良い状態で練習できている。

ーチームで今取り組んでいることは

久しぶりの大会。緊張感が高まったときにどれだけ冷静に身体などを感じて演技できるかが、今の私たちの課題。技が詰まっているぶん冷静にこなし、日本の良いところを見せていきたい。また技だけに追われるのではなく、曲に合った表現も大会で見せられるようにと練習をしている。

ーチームとしての心がけは

本番にならないと分からないところもあるが、極力そうならないために試合着を着て緊張感のある中で練習をしたり、声を出さない状態で演技をしたりと、試合の雰囲気を感じながら練習をするように意識している。

ーキャプテンとしてチームで行っていたことは

自粛期間中にみんなでオンラインを使ってトレーニングをした。10人同時だと多いので2グループに分かれたが、指導においてそれぞれ注意を受けた内容をチーム全体で互いに共有し合うように心がけた。

ー新しい構成での演技にあたっては

どちらの種目(フープ & クラブ、ボール)も技が詰まっている。どこが見どころというよりも、2分半全部を見てもらいたい。技がたくさん入っているからこそ、ただ技に追われるのではなく、ダンスステップの部分で同時性を見せるなど曲に合った表現を見せていきたいとチーム内でも話し合っている。その点を自分たちで練習し積み上げている。日本チームはこういう風に見せたいのだなと、審判や会場にいる方々に伝わったら嬉しい。

ー現時点での完成度は

完璧というわけではないが、堂々とやり切るという気持ちは強い。その自信はある分、張り切りすぎて空回りしないように冷静にやることが大事。久しぶりの大会だからという張り切る気持ちは抑える。

試合に出てみないとどれだけの点数が出るかや審判からの評価は分からない。これを見せたいという演技を自分たちでやり切ってどう結果がついてくるかを今大会では見たい。

ー個人としてコロナ禍で苦労したことは

自分で身体のコンディションを整えるのは難しい。ベテランになり身体の使い方なども難しくなってくるので、そこを保つことには苦労した。

ー具体的には

怪我をしやすい身体になってきているし、柔軟性においても固まりやすくなっているので入念にほぐしたり、筋力を維持するために筋トレを多めに行ったりしている。

ーモチベーションの維持など、これまでチームとしては

選手それぞれがオリンピックに向かって課題を克服しながらモチベーションを保っている。以前に電話で話した際にもみんなから互いを思いやる言葉が聞かれ、離れていても雰囲気は良いと感じた。

ー今大会への意気込みは

本当に久しぶりの大会なので絶対に緊張はすると思う。その緊張を楽しみたい。久々にみなさんの前で踊れることは幸せ。結果はどうあれ、オリンピックの延期が決まってから今まで積み上げてきた練習を出し切りたい。縮こまるような演技だけはしたくない。伸びやかに、私たちがしたい表現や踊っている楽しさが見ているに方々伝わったら嬉しい。

今やってきていることを出し切りたい。挑戦していく気持ちを忘れない。
私たちの演技を通じ、少しでもみなさんの心が動いて笑顔になれるような演技をしたい。

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日本体操協会提供資料より

【団体】 松原梨恵(まつばら りえ)選手


ー現在の状況は

ソフィア大会に向けての最終調整段階。メンバーは元気に練習ができている。

ー怪我について

昨年の1月末に足の指を骨折し2ヶ月ほど練習ができていなかったものの、五輪延期と1度目の自粛期間に回復させることができた。左足小指の怪我だったが、今は全然大丈夫。

ーこの1年間での変化は

アスリートにとっての1年間はとても大きい。(五輪が延期となり)最初は驚いたが、怪我をしていたので不幸中の幸いというか、完全に怪我を治してオリンピックに向かえるということは自分にとってはプラスだった。練習は大変で苦しいときもあるけれど、コロナ禍では自分に「練習がしたい」「新体操をやりたい」という気持ちがあるのだと気づいた。当たり前のことなどなく、練習ができるだけでもとても幸せなことだと改めて痛感した。

自粛期間が明けて身体を作り直すあいだ、軸のある練習などをしてまだまだ自分も変われるところがあると再確認したし、限界を作ってしまっているのは自分だなと思った。まだまだ成長できることが改めて分かった。

ー今大会で伝えたいところは

伸びやかに演技することを最も意識して練習している。久しぶりの試合でドキドキとワクワクがあるが、どれだけ自分たちの演技を伸びやかにできるか。また海外の選手たちとの試合なので、日本チームがどれだけできるか挑戦したい。

コロナ禍で世界中で大変な思いをしている方々がいると思うので、少しでも私たちの演技を見て力にしていただけたらと思う。

【団体】 熨斗谷さくら(のしたに さくら )選手


ーこの1年間どんなトレーニングをしてどう変わったか

試合がなかった分、自分たちの動きの質にこだわって練習をしてきた。トレーニングも自分たちで提案したり、演技に活かせる動きをもっと磨いていこうと。基礎の小さな動きやどうしたら伝わるかといった点を選手同士で見て刺激し合うこともできた。さまざまな練習方法を試すことができた。

会場では自分たちの視野も広がり、手具の見え方だったり、自分たちがどこに立っているのかなどの感覚も変わってくる。自分たちの演技がどう伝わっているかという面で、やはり早く観客のみなさまに見ていただけるようになってほしい。

ーご自身の SNS での発信について

試合がなく見てもらえる機会がなかったり、触れ合う機会がなかったりする分、SNS を通して色々な方に自分たちの活動を見てもらいたい。コロナ禍で思うように新体操ができていない状況の中で、私たちが伝えられることや今までできなかった質問のやり取りなどで SNS を活用したい。今後も発信を続け、新体操選手や、新体操を知らない方々にももっと知っていただけるような取り組みや発信が必要だと考えている。

ー大会にあたり

東京オリンピックに向けていま練習を重ねている。自分たちがやりたい演技をしっかりと発揮できるようにしたい。

【団体】 竹中七海(たけなか ななみ)選手


ー苦労したことや変えたことは

時間ができたため、違うやり方を試してみたりすることもできた。コロナ禍でチーム以外の方々に見ていただくことができなかったので、練習場にて衣裳とメイクありで練習をしたりもしたが、大勢の方に見てもらうことができなかった点だけがやはり大変だった。

会場で多くの方に見ていただけると、技が成功したり表現が合ったところなどで盛り上がってもらえる。私たちも踊っていて嬉しい。(観客の有無で)そこはやはり変わってくる点だと思う。

ー今大会に向けて

今年の作品は1年間温め続けて磨いてきた作品。
フープ・クラブは日本らしく春夏秋冬を意識した演技。どんな風に見てもらえるかが楽しみ。
ボールは途中で曲が大人っぽく一気に変わる。技の多さのほかにそういった変化も楽しんでもらいたい。

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日本体操協会提供資料より

【団体】 鈴木歩佳(すずき あゆか)選手


ー今の心境は

今までこんなに期間が空いたことがなかった。試合に行ったら緊張すると思う。はじめて私たちの演技を見てもらえる場なのでワクワクするし、楽しみな気持ちでいっぱい。

ーコロナ禍での変化は

みんなと一緒に練習ができなかったり、手具を持てない期間が長かった。筋力面で弱い部分があり、人よりも身体が柔らかいぶん身体が手具に振られてしまったりするので、みんなと会えた際に良いパフォーマンスができるように体幹トレーニングなどを行った。

体幹が強いことによってどんな投げでも柔軟に対応できたり、どんな技でも確実に点数を取っていけたりする。そういった面では成長できた。

ー今大会で見てもらいたいところは

今年の作品を披露するのははじめてとなる。それぞれの種目によって自分たちで決めたテーマや物語があるので、自分たちが表現したいことを見ている方にしっかりと伝わるように演技をしたい。「はじめての試合だから絶対にミスなくやろう」などと気負わずに、ひとつひとつの技を楽しみながら自信を持って演技をしたい。

【団体】 稲木李菜子(いなき りなこ)選手


ーシニアとしてははじめての出場となる

すごく緊張すると思うけれど楽しみ。自分たちが「楽しんで踊っている」ことが演技でも伝わるように、今まで練習してきたことに自信を持って堂々と演技したい。

ー今大会で見てほしいところは

みんなに比べて身長が低いので、演技に大きさを出すこと。
また曲に合った表現を意識して練習してきた。

この作品を見せるのがはじめての試合となる。自分たちがまず楽しんで、それが観客のみなさんにも伝わるような演技がしたい。



【個人】 喜田純鈴(きた すみれ)選手


ー現在のコンディションは

試合に向けて徐々に上げていっている段階。コンディションは悪くない。

ーコロナ禍で大会が無い期間に強化したことは

演技の構成点を上げることはもちろん、ミスへの対応の仕方など、何かあったときにどうするかを今まで以上に強く意識して練習した。

ー何か新しいことは

本番だと思って練習するなど、自分の気持ちの持ち方を変えるようにした。以前までは「絶対これをできないといけない」など少しのミスも許せないことがあったが、今は自分に「大丈夫」と言い聞かせることができるようになり、演技の中でも対応ができるようになってきた。

ー今大会において見てほしい点は

去年は海外の試合がなかったが、その間に成長している部分があると思う。きちんと試合で発揮できたら点数もついてくる。自分でやってきたことを出して評価してもらいたい。

ー4種目それぞれのポイントは

フープは曲が格好良く、また私はそのような表現が得意。きれいに踊りながらも格好良い雰囲気を出したい。
ボールは次々に投げ技が入っている。曲がテンポアップするにつれ大技が入っているのでそこを見てほしい。
クラブも小技がいっぱいで、常に手からクラブが離れている状態。そのうえで曲の雰囲気を表現したい。
リボンでは身体とともに大きく使った演技を見せたい。

ー今大会で伝えたいことは
(※個人競技は東京オリンピック2020予選大会となる)

オリンピックに向かって挑戦していける機会は本当に滅多にないこと。自分がやってきたこと全部出す場になる。自分が納得して終われるような演技をしたい。

【個人】 大岩千未来(おおいわ ちさき) 選手


ーコロナ中にどのようにモチベーションをあげて、今につなげてきましたか?

毎日の練習で今できることだけにフォーカスしてモチベーションを保つようにしていました。

ー大岩選手自身の魅力を教えてください。

本番で決められる強さ

ー各種目、演技で表現したい事、テーマなどを教えてください。

フープ:強弱がはっきりしている曲なので、強さのある演技をしたいです。
ボール:とても綺麗な曲なので感情込めて演技したいです。
クラブ:Volare は、盛り上がる曲なので会場の皆さんが楽しんでもらえるように自分も楽しんで演技したいです。
リボン:Don quixote の曲にしてから実際にボリショイ劇場に行き、この曲の演目を見て表現の仕方など学んだので、迫力のある美しい演技がしたいです。

ー大会出場で期待することは?

順位や結果にこだわらず、この 1年が自分にとって無駄ではなかったと思えるような演技がしたいです。

ーソフィア大会への意気込み

1年ぶりの試合となり、いつもとは違った緊張感や試合感で不安は沢山ありますが、まずは試合ができる喜びと感謝の気持ちをもって試合に臨みたいです。

ー日本の新体操ファンへのメッセージ

いつも沢山の応援ありがとうございます。新型コロナウイルスでこのように、練習も試合もいつも通りには出来なくなってしまいましたが、皆さんに少しでも感動や勇気を与えられるような演技をお届けしたいと日々精進しています。
これからも応援宜しくお願い致します。


山﨑浩子 強化本部長


ー団体の演目の成熟度をどのように捉えていますか?

現在はまだ習熟度は低いです。からだの使いはだいぶ良くなったと思いますが、内容が詰まっているため、ミスが出た時の対応はまだ練習する必要があります。

ーコロナ禍で実戦から遠のき、他国と比較した上でチームの力を見極めることができないと思う。その点について不安はありますか?また、どのようにしてチームの士気を保っていますか?

試合から遠ざかっているため、試合勘を取り戻すのは容易ではないと思います。ですが、そこを考えても仕方がないことなので、これから少しずつ経験を積めればと思います。
久しぶりに試合に参加することへの不安はあると思いますが、ひとつひとつ吸収し、咀嚼していくことが重要だと思います。チームの士気が下がることはあまりありませんでした。
オリンピックが行われるのか行われないのか、どのような形で行われるのかなどは、私たちの力だけではどうにもならない問題です。ですからそこにフォーカスするよりも、自分たちのパフォーマンスを高めていくことにのみフォーカスして練習するように伝えています。

ー昨秋のエキシビション以降の取り組みや強化ポイントなどを教えて下さい。

しっかりと立つこと、軸を使った動きをすることを中心に強化してきました。
作品練習が多くなるとそのポイントが薄れていくので、ポイントが抜けないようにしてほしいと思っています。

ーコロナ禍で今大会はどのような感染対策が取られているか。心配点など。

大会の感染対策情報を質問し、なんとか回答を得ていますが、さほどの対策が取られていないのが心配です。日本チームは日本にいるときと同じように他チームとの接触をさけ、消毒や手洗いなど感染対策に努めたいと思います。

ー現在の仕上がり具合。現在特に強化しているポイント(種目ごとにお願いします)

仕上がり具合は70%。良い時と悪い時の差がまだ激しいです。
種目で強化ポイントは違いません。現在は通しの中で最後まで集中力を持ってやれるかです。
演技内容は戦略の為今はお話できませんが、2019年の世界選手権よりはパワーアップしていることは確かです。

 

※大岩千未来 選手と山﨑浩子 強化本部長からのコメントは書面にて
(日本体操協会 提供)



それぞれのメッセージから、W杯ソフィア大会出場にあたっての期待と緊張、そして困難な状況を経てさらに積み上げてきた練習の成果をすべて発揮するのだという意志が強く感じられました。大きな演技や曲に合った表現など、自分たち自身が心がけてきた課題を魅力に変えて、新体操のちから、スポーツのちからをきっと改めて多くの人々に感じさせてくれる大会になりそうです。選手だけでなく、応援する側にとっても大いに胸が高鳴ります。

 

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