令和元年台風 19 号により、被災された皆さまに心よりお見舞い申し上げますとともに、
被災地の一日も早い復旧をお祈り申し上げます。

横浜スタジオ

【レポート<8/12(月・祝)>】教えて!『カラダの使い方』〜日ごろ聞けない疑問・質問を聞いてみよう 〜

お知らせ

大人気の連載『バレエ・ピラティスによるカラダ講座』。ライターでもあり、現役バレエダンサー、ピラティス指導者でもある藤野先生ならではの鋭い視点と切り口で、毎回楽しく勉強になる内容を発信しています。

チャコット ・カルチャースタジオ 横浜スタジオでは毎月1回『バレリーナのカラダ講座~実践編~』を開催。その特別編として、藤野先生が皆さんからの質問に実技を交えながらお答えする特別講座を開催いたしました。


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「今日は、90分の間に"4つの大事なこと"を伝えたいと思いますが、まずはみなさんが聞きたいことに応えたいと思います!」



(1)仙骨について

クラスの導入で、お客さまより募ったご質問「腰痛」「アルデンテお尻」というご意見が出ました。
これを受け、カラダの要である「腰周辺の使い方」について、特に《仙骨》にスポットをあててお話くださいました。 

《仙骨》はどこにあるのか

パッと思いつく方の方が少ないかもしれません。
骨格や周辺の筋肉との関係も含め、先生がイラストを描いてくださいました。先生はイラストも大変お上手なのです。受講者がイメージしやすいように、人体図の中に亀の甲羅のような六角形を描いて説明が進みます。

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「《仙骨》から発生する力を、全部外向きにしたいんです!」

《仙骨》はどこにあるのか、どんな筋肉と関連しているのか客観的にイメージできたら、次は自分のカラダの中の仙骨を実感することから始めましょう。

「では最初に、大転子(ダイテンシ)を探して見ましょう」

自分の大転子に触れながら深呼吸してみましょうと先生から指示がでました。
みなさんパラレルポジションで立ち、腰の側面に触れています。
先生はみなさんが指し示す"ここが自分の大転子"というポイントを「少しずれていますね!」と、それぞれ正しい位置に直していきます。

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自分のカラダですが、深部にある関節の位置を正しく把握するのは難しいものですね。
そこで、さらに理解を深めるため、セラバンドとボールを使ってみます。両足にボールを挟み、両手は肩の広さまでセラバンドを引っぱりながら持ち、再度深呼吸・・・。

《仙骨》を横に広げる感覚を得る事が大事です。でも、この感覚は自然と得られるものではないのです。」

藤野先生は続けます。
《仙骨》の使い方を理解する事は、「引き上げ」に関連するのです。人間の体は、体重をかけていくとセンターに向かって筋肉が締まっていく傾向があります。みさんも、きっと経験がありますよね、"引き上げてください!"と言われてギュッと全身を緊張させ、全身がガチガチになって動けなくなってしまった事はありませんか?背骨に対して何かを集めるような感覚は不要だと思うのです。
それよりも、《仙骨》を横に引っ張っていき、上半身を起していくような感じが大切なのではないかと思います。」

ダンスをされている方なら誰もが一度は悩む「引き上げ」問題。
お悩みポイントに挙げられる方も多いですね。この感覚を説明するために、こんなエクササイズに取り組みました。

「みなさん、壁に仙骨を押し当てるようなイメージでもたれ掛かってください。そして、そこから前に向かってまっすぐ立ってください。」 

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壁に背中と腰を押し当てて寄りかかっている体勢ですので、足首は腰よりもだいぶ前方にあります。そこに向かって立つ練習です。慣れてきたら、同じ壁にもたれた姿勢で片足ずつ上げてみます。その場合の上半身の動き方や重心の移動を見てみると・・・思いのほか左右へ動きます。そして、上半身が先導して動作をスタートしている事が分かります。

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これを確認したら、次はセラバンドを持って上半身の姿勢を安定させた状態で、壁から立ち上げる練習をしてみます。肩など無意識でも使いやすい部分が固定されているので、動きの伝わり方が大きく変わり《仙骨》周辺に意識を集中させている様子がよく分かります。
《仙骨》をギュッと縮ませる運動と、周囲の筋肉を上手に使える《仙骨》から外側に力を向かわせる運動、先生のくわしい解説でその違いが良く分かりました。

「今まで習ってこられた事が間違っているという事ではありません。こういったクラスをきっかけに、様々なカラダの使い方を知り、ご自身のプラスになれば良いという考え方でクラスを行っているのです。」

ダンス経験の長い方、真剣にレッスンに取り組んできた方にとって、新しい知識を得る事が、今までの積み重ねを否定するものではないと強くお話くださったのが大変印象的でした。 

(2)アン・デ・オールについて

続いて、お悩みの多いアン・デ・オールについて解説してくださいました。
受講者のみなさんは、バレエやジャズダンスを長く経験されている方ばかり。踊りの中でアン・デ・オールを使うことの難しさを実感している方々と言えるでしょう。 


まずは仰向けに。膝を立てた姿勢で大転子を触ってみます。そこから足を開いてみる練習です。
「その状態から、もっと思い切り足を開こうとすると・・・どうなりますか?」

みなさん力を入れて膝を床の方向に押し、もっと開こうとしています。
「・・・そうすると、背中を反って《仙骨》もギュッと縮めるような動きになっていませんか?」

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またもや《仙骨》。
今回のクラス、セラバンドが大活躍でした。皆さんギュギュッと力の入ったところで、セラバンド登場。
「同じ仰向けの姿勢で、今度は腕を伸ばしてセラバンドを持ちましょう。この姿勢で、開脚してみます。仙骨を重くするようなイメージです。」
先生が声をかけつつ、指導は進みます。
「どうですか?仙骨を意識して開脚していくと、開きつつ閉じたいような感覚になりませんか?」 

さらにバーに付いて、床で感じた感覚をチェックしてみます。

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「アン・デ・オールの広さは関係ありません。パラレルでも同じです。」

バーでは、セラバンドを引っ張っていたようにバーを軽くつまんで引っ張るように持ち、体を左右
に揺らし重心の移動と力の向かう方向を感じます。骨盤が前にも後ろにも抜けて行かず、大転子の動
きがそのまま足の指に伝わっていくような感覚を確認します。
人体模型を手に、解説は続きます。

「アン・デ・オールと言うと、大転子=骨がぐるっと回転して足を開いていくようなイメージがありますよね?でも実は大転子はそんなに動かないのです。大転子の周辺を支える4つの筋肉が動くことでアン・デ・オールを作っているのです。」
アン・デ・オールするための筋肉を上手に使うためには、足を開こうとしてお尻をギュっと締める動きが逆効果となり、伸ばしたい筋肉を、お尻を締める力によってロックしてしまうと語ります。

「今日はこのクラスで伸びを感じて欲しいです。」
中心に向かってギュッと縮める力を入れるのではなく、《仙骨》から外側に力を向かわせるような意識で筋肉を伸ばして使うことの大切さ、自分の重心がどこにあるのかを確認し、アライメントを整える感覚。とても大切なお話を伺えました。

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(3)足について

次は足の裏、足の指の感覚について取り上げました。

「足の指、今日は親指を自分でどの方向に動かせるかやってみましょう。」
上下左右、グー・パー、親指だけを他の指に近づけてみたり・・・
いろいろ動かしてみます。

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「指を動かすとき、伸ばすように感じているか、ひっぱるように感じているか、考えてみましょう。」

足の指の感覚は踊る上でとても重要なものです。しかし、当たり前すぎて深く洞察していない部分
かもしれません。やってみると、自分の意志で好きなように指を動かすのは難しいものです。
そこで、足指の感覚、重心を感じる感覚を目覚めさせるエクササイズを先生が紹介してくださいまし
た。ストレッチマットを丸め、その上にかかとを乗せて立ちます。まずはパラレルの姿勢で、低いハイヒールを履いているようなつま先立ちの姿勢になります。

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「そのまま前に重心を乗せてください。次は、手を上に組んで、できるだけ後ろに反ってみましょ
う。」

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足先にテンションが掛かります。今、自分の足のどの部分に重心があるか良く分かります。
次にアン・デ・オールで同じ動きをしてみます。足が開いているので、重心が乗るポイントが変わり
ます。
エクササイズ後、マットから降りて平坦な状態でルルベしてみるなど、足の裏の感覚を確かめてみると・・・お客さまも新鮮な感覚を持たれているのが良く分かります。

最後はポール・ド・ブラ。足の裏の感覚が研ぎ澄まされ、きっと動きの中での重心の変化を感じられたのではないでしょうか。
 

残念ながらここで時間切れとなってしまい、(4)「首について」はお話できませんでした。。

今日のクラスでは、踊る上でもっとも大切なアライメントを整える感覚について重要なお話を伺うことができました。《仙骨》から身体の末端まで、縮む方向ではなく伸びる方向へ意識的に向かうことで、全身の感覚を研ぎ澄ましていく素敵なクラスでした。

レッスン後も、先生に質問したい事がどんどん溢れて来ましたね!

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藤野先生、ご参加くださったお客さま、ありがとうございました。 

 

 

 

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藤野 暢央(ふじの のぶお)

2歳でバレエを始め、17歳でオーストラリア・バレエ学校に入学。
当時の監督スティーブン=ジェフリーズにスカウトされて、香港バレエ団に入団。早期に数々の主役に抜擢され、異例の早さでプリンシパルに昇格する。オーストラリア・バレエ団に移籍し、シニアソリストとして活躍する。10年以上のプロ活動の中、右すねに疲労骨折を患い手術。復帰して数年後に左すねにも疲労骨折が発覚し手術。骨折部は完治するも、激しい痛みと戦い続けた。2度目のリハビリ中にピラティスに出会い、根本的な問題を改善するには、体の作り、使い方を変えなくてはならないと自覚する。現在は痛みを完全に克服し、現役のダンサーとして活動中。またバレエ・ピラティスの講師として、ダンサーの体づくりの豆知識を、自身の経験を元に日々更新し続けている。

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