ワールドレポート ~世界のダンス最前線~

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関口 紘一 text by Koichi Sekiguchi 
[2018.01.10]

西田佑子のアリス、橋本直樹の青年・黒猫、小出顕太郎のうさぎが楽しく踊る『不思議の国のアリス』

バレエ団ピッコロ
『不思議の国のアリス』松崎すみ子:演出・振付

バレエ団ピッコロの松崎すみ子振付の『不思議の国のアリス』。初演は1972年だが、その後手直しをして直近では2014年に再演している。西田佑子の扮するアリスがワンダーランドに迷い込んで大活躍する楽しいバレエだ。

tokyo1801dS-0003.jpg 撮影/塚田洋一(すべて)

絵本に熱中している西田アリスがいたずらっ子たちに本を奪われる。その時、通りがかりの青年が絵本を取り戻してくれ去って行った。再び絵本の世界に夢中になっているうちに、いつしか眠ってしまったアリス。夢の中で目の前に飛び出してきた変なウサギ(小出顕太郎)を追って、アリスが知っている世界とはまったく違う不思議な国に飛び込んでしまった!
どうしても抜けられなかった小さなトンネルを抜け出すために、小さくなったアリスは、美しい花が咲き乱れる花園で女王(平尾麻美)と王子(春野雅彦)や花たちの踊りをみる。さらに旅を続けると、さっき出会った気になる青年と、どこか感じが似ている黒猫(橋本直樹)に会う。ここでは黒猫とウサギがそれぞれのキャラクターを生かしたパ・ド・ドゥを踊る。なかなか楽しいダンスシーンだった。
アリスはキャベツの中に暮らすいも虫たちの愉快な踊りと蝶々のダンスにも出会った。そして今度はクレイジー・ティーパーティがはじまって、貴族、マカロン姫、三月ウサギ、帽子屋といったへんちくりんなキャラクターが珍妙で騒々しい踊りで盛り上がっている。
第1幕のラストは、夢の中で成長した女性となったアリスが、あの青年(橋本直樹)と美しいパ・ド・ドゥを踊る。西田佑子と橋本直樹が初々しい喜びを舞台いっぱいに素直に表現して踊る、物語の山場となる素敵なシーンだった。

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第2幕はすべてが「〜トランプ王国〜」。といってももちろんアメリカの話ではないが、ハート軍VS スペード、ダイヤ、クローバー軍の大合戦が、アリスとウサギの前でけんけんがくがく繰り広げられる。たくましいハートの女王様(菊沢和子)や頼りないハートの王様(小泉孝司)などのハート軍に向かって、それぞれの三つのキング、クィーン、王子、ジョーカー、紛れ込んだカード、兵隊たちが入り乱れて闘いを挑む。アリスも時折参加して、転げ回ったり、プンプン怒ったり、走って逃げたり、まったく何がなんだかわからなくなってしまった! 思わずアリスが大きな息を吐くと、たちまち大嵐が巻き起こってみんなをすべて吹き飛ばしてしまった・・・・。この第2幕の振付は、テンポが良くて流れるようにストーリーが進行して、実に見ごたえがあった。
そしてやはり、西田佑子のアリスが可愛らしくて魅力的。私が見たアリスの中では一番の適役だと思っている。
(2017年12月26日 練馬文化センター 大ホール)

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tokyo1801dS-0017.jpg バレエ団ピッコロ『不思議の国のアリス』撮影/塚田洋一(すべて)