ワールドレポート ~世界のダンス最前線~

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関口 紘一 text by Koichi Sekiguchi 
[2017.10.10]

弦楽四重奏の美しいメロディとともにバレエの豊かなイメージが踊られた、スタジオ・パフォーマンス

THE バレエ・ミュージアム Studio de Danse Fusion vol.6
藤野 暢央:構成・振付・演出

「THE バレエ・ミュージアム」というタイトルで、チャコットのダンスキューブ勝どきスタジオで定期的にスタジオ・パフォーマンが行なわれている。今回の出演者はゲストとして富村京子、西田佑子、森本由布子、藤野暢央、他にアンサンブルが10名出演した。
オープニングはヨハン・パッヘルベルの『カノン』とともに10人のアンサンブルと4人のソリストがお披露目を兼ねて踊った。続いて『愛のあいさつ』。これは同名のエドワード・エルガーの曲により、『ロミオとジュリエット』の愛を伝え合うシーン。富村京子と藤野暢央のパ・ド・ドゥだった。観客にこのパフォーマンスのテーマを示す意味も込めて愛することの喜びを表した。そしてモーツァルトの『アイネクライネ・ナハトムジーク』。サン=サーンスの『動物の謝肉祭』より「白鳥」が演奏されて、ジークフリートとオデットの愛のシーンとなった。これは西田佑子と藤野暢央が踊った。美しいメロディに乗せた踊りのドラマティックな表現が鮮やかだった。
ここでドヴォルザークの『アメリカ』の第1楽章の演奏(ヴァイオリン浜野孝史、蓑田真理、ヴィオラ飯顕、チェロ寺田達郎)となった。このスタジオ・パフォーマンスの楽しみはなんといっても、弦楽四重奏の演奏とともにバレエをすぐ眼の前でみることができる、ということ。もちろん、ピアノ演奏でみるバレエも良いのだが、弦楽四重奏となると、音に室内楽的な高級感があり独特の満足感が得られるのである。
5曲目は『2つの妖精界』として、バレエ『ドン・キホーテ』と『眠れる森の美女』の妖精の世界を、ヨハン・セバスチャン・バッハの『G線上のアリア』に乗せて富村京子と西田佑子が美しく余情を込めて踊った。
次はアレクサンドル・ボロディンの『ノクターン』にのって『コッペリア』。スワニルダとコッペリウス博士の、人形振りも見せるパ・ド・ドゥ。森本由布子と藤野暢央が踊った。そして『ジゼル』は、ジュール・マスネーの『タイスの瞑想曲』で『また会いましょう』と題して富村京子と藤野暢央が踊った。愛と狂気のせめぎ合いが描かれた。続いてジョルジュ・ビゼーの『アルルの女』のファランドール。こちらも富村京子と藤野暢央だった。愛の悲劇がテンポの速い曲に乗って展開した。そしてピエトロ・マスカーニの『カヴァレリア・ルスティカーナ』とともに全員が登場して「エピローグ」となった。
大きな劇場の大きな舞台で見るバレエも良いが、間近でダンサーの動きを肌で感じながら見るバレエには、踊りに加わっているかのような臨場感があって不思議。なかなか得られない歓びが感じられた。
(2017年9月16日 チャコット・ダンスキューブ勝どきスタジオ)

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tokyo1710d02.jpg © Chacott