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関口 紘一 text by Koichi Sekiguchi 
[2017.06.12]

様々な音楽と多彩なムーヴメントが融合した素敵なコンサート、堀内充バレエコレクション2017

堀内充 バレエコレクション 2017
『ヴァイオリン・コンチェルト』『室内オーケストラのための3つの小品』『バック・トゥ・ザ・フューチャー 』『夜と光』『ホテル・モーツァルト』堀内充:振付

昨年に続いて堀内充バレエコレクション2017が開催された。2013年に堀内元・充で始まったバレエコレクションも、今回で6回目を迎え、会場はこれまでと同様、めぐろパーシモンホールだった。
今回のバレエコレクション 2017では、堀内充の1991年の作品から新作まで、5作品が上演された。それぞれの使用曲をみると、現代音楽からバロックまでジャズやタンゴも採り入れられていて実に多彩。様々な音楽と縦横にコラボレーションしていることが、堀内充のダンスの魅力の一つでもある。

tokyo1706_D4S6526.jpg 『ヴァイオリン・コンチェルト』
撮影/ワイズフォトセレクション 木本忍(すべて)

まずは19世紀から20世紀にかけて活躍したドイツのロマン派の作曲家、マックス・ブルッフの「ヴァイオリン協奏曲第一番」第三楽章に振付けた『ヴァイオリン・コンチェルト』。「バレエ・ブラン的なシンフォニックバレエ」で「バランシンへのオマージュ」を込めたと自ら解説している。白いチュチュを着けた女性ダンサーとグレーのレオタードの男性ダンサーを全部で30名も舞台にのせ、空間いっぱいに華やかなフォーメーションを繰り広げた。
続いてアストル・ピアソラの同名の曲に振付けた『室内オーケストラのための3つの小品』。深紅のドレスを纏った7人の女性ダンサーと黒い衣装の谷桃子バレエ団の安村圭太が踊った。ニューヨークで都会の夜の女たちを巡って幻想を抱いていたころの想いを映した作品だという。タンゴとクラシックを融合させたピアソラのこの曲を愛した父から受け継いだニューヨーク、ダンスへの想いも込められているという。「プレリュード」「フーガ」「ディヴェルティメント」という構成と動きが織りなすイメージが洗練されていて、楽しく心に響いてきた。

tokyo1706_D4S6371.jpg 『室内オーケストラのための3つの小品』 tokyo1706_D4S6695.jpg 『バック・トゥ・ザ・フューチャー 』

『Bach to the Future バック・トゥ・ザ・フューチャー』は、1991年のフットライトダンサーズ公演で初演された。J.S.バッハの曲をジャズ風にアレンジして演奏する「プレイ・バッハ」のシリーズでよく知られるジャズピアニストのジャック・ルーシエの曲にのせて踊られた。アレグロ(アンサンブル)、アンダンテ、リトルフーガ(3組のペア)、アレグロ(ヴァリエーション)、ガヴット(女性グループと男性グループ)という構成。女性5人はグレーのレオタード、男性4人はブラウンのパンツという衣装で踊る。ジャズの雰囲気を醸す構成と洒落たセンスを感じさせた舞台。とにかく、良くリズムにのった踊りが観客を舞台に引き込んだ。
『夜と光』はドイツの現代音楽作曲家でピアニストのフランク・フェデルセルの曲に振付けられた新作。堀内充が上手奥の一段高いところなそっと登場して、一面の星空を見上げて始まる。やがてダークカラーの衣装を着けた3人の女性が登場し、ややノスタルジックな雰囲気のダンスを踊る。3人とも堀内のグループの創立メンバーだという。爽やかな気持ちのよい作品だった。
最後は『モーツァルト・ホテル』。モーツァルトの曲を使い、華やかな女性客とギャルソンたちの楽しいやりとりを、「チェックイン」「レイクサイド1、2」「ベッドルーム」「バー」「ティールーム」「ガーデン」「チェックアウト」という具合に軽く8つのシーンを分けてダンスで描く。1994年にフットライトダンサーズで初演したものを改訂した。ギャルソン10名と女性グループ5人×4組が、軽快でテンポよくシーンを転換しながら踊ったが、シーケンスがやや短くもっと踊ってもらいたいと思った。
堀内充のやわらかな感性がダンスと音楽の中で融合した、素敵なコンサートだった。
(2017年5月26日 めぐろパーシモンホール)

tokyo1706_D4S6730.jpg 『夜と光』 tokyo1706_DSC9611.jpg 『夜と光』
tokyo1706_D4S6845.jpg 『ホテル・モーツァルト』
撮影/ワイズフォトセレクション 木本忍(すべて)