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佐々木 三重子 text by Mieko Sasaki 
[2017.01.10]

シムキンの様々な魅力見せる卓越したテクニック、沖香菜子の見事な演技が光った、東京バレエ団『くるみ割り人形』

東京バレエ団
『くるみ割り人形』ワシリー・ワイノーネン:振付

東京バレエ団による『くるみ割り人形』。ワイノーネンの振付に基づき古典の伝統を継承しながら、前回からファンタスティックなプロジェクション・マッピングを導入するなど、演出面で新しさを打ち出している。今回の東京公演の話題は、キュートな王子さまとして人気抜群のダニール・シムキンがゲスト出演し、実力派の若手、沖香菜子と踊ることだった。初手合わせながら、二人の息のあった演技が楽しめた。なお、もう一組のキャストは川島麻実子と秋元康臣。この作品の主役を踊るのは初めてという期待の若手ペアだった。

tokyo1701b_4885.jpg 沖香菜子、ダニール・シムキン
photo:Kiyonori Hasegawa

シムキンは甘く爽やかな雰囲気を漂わせてくるみ割り王子を好演。ねずみの王様を倒した後のクララとの伸びやかなデュオ、雪の国でのスピード感溢れるデュオ、ふしぎの国での典雅なグラン・パ・ド・ドゥと、異なる魅力をアピールした。空中のポーズも綺麗なマネージュ、鮮やかなトゥール・ザン・レール、変化をつけたピルエットの妙技など、卓越したテクニックを披露した。ガラ公演の時などとは異なり、きちんと古典の枠に収めていたのはさすがで、まさに余裕の演技に思えた。
沖香菜子は自在な脚さばきを見せ、第1幕での無邪気で元気一杯のクララと第2幕での精神的に成長したクララを明瞭に演じ分けた。シムキンにリフトされてのポーズも美しく、安定感があった。
 
ドロッセルマイヤー役の木村和夫は堂に入った演技で、鋭いジャンプで舞台を駆け巡ってもいた。クリスマスパーティの人形振りでは、コロンビーヌの中島理子の機械のような回転が見事。ふしぎの国の各国の踊りでは、シャープな演技をみせた二瓶加奈子と宮川新大、独特の振りをこなした崔美実とブラウリオ・アルバレス、軽快なジャンプをみせた入戸野伊織ら、それぞれ健闘していた。
群舞では、雪の精たちが繰り広げる華やかで幻想的な踊りが美しかった。当節はやりのプロジェクション・マッピンだが、まず、序曲の演奏中に、パーティを準備する人たちやネズミが走り回る様子が物語の世界へ誘うように投影された。ほかに、時計が午前0時を打ち、ツリーが巨大化するシーンや、雪の国やふしぎの国への旅の様子、クララが目覚めるシーンなど、場面転換に用いられていた。コミカルな描写はともかく、幻想的な光景はイマジネーションをかき立てる効果はあった。
(2016年12月16日 東京文化会館)

tokyo1701b_4996.jpg 沖香菜子
photo:Kiyonori Hasegawa
tokyo1701b_4869.jpg ダニール・シムキン
photo:Kiyonori Hasegawa
tokyo1701b_2451.jpg ダニール・シムキン
photo:Kiyonori Hasegawa
tokyo1701b_2489.jpg 沖香菜子、ダニール・シムキン
photo:Kiyonori Hasegawa