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関口 紘一 text by Koichi Sekiguchi 
[2016.04.12]

松岡梨絵と橋本直樹がオーロラ姫とデジレ王子を踊った活気溢れる舞台『眠れる森の美女』

日本バレエ協会公演 2016 都民芸術フェスティバル
『眠れる森の美女』コンスタンチン・セルゲーエフ:改訂振付、マリウス・プティパ:原振付

日本バレエ協会公演の『眠れる森の美女』プロローグと全3幕。第48回都民芸術フェスティバルの一環として上演された。
今回の『眠れる森の美女』のヴァージョンは、ロシアのキーロフ・バレエ(現マリインスキー・バレエ)で上演されている、コンスタンチン・セルゲーエフの改訂振付版である。振付の指導にはマリインスキー・バレエでつい最近までソリストとして踊っていたマヤ・ドゥムチェンコ。アレクセイ・バクラン指揮により、ジャパン・バレエ・オーケストラの演奏だった。

tokyo1604c_01.jpg 小野絢子、福岡雄大

私は松岡梨絵と橋本直樹で観たが、他には酒井はなと奥村康祐、小野絢子と福岡雄大というキャストも組まれていた。
松岡梨絵の舞台は久しぶりに観たが、踊りは相変わらすしっかりしており、回りの空間を明るく照らす魅力的な笑顔も健在だった。第2幕では、16歳のまさに咲き始めた花の香しい時に、100年の眠りに就かせられるという恐怖に直面する。その運命に驚きおののく心を胸に秘めて踊った。ステップは軽快で、バランスなどにバレリーナが復帰することの難しさを感じさせた部分がまったくなかったわけわけではないが、見事な豪華さ輝かせて踊った。
一方、橋本直樹は闊達で鮮やか。ゆとりを感じさせる脱力した動きは鮮やかだった。特に演じる部分と踊る部分が一体化した演舞は素晴らしい。第2幕の冒頭のリラの精の導きにより、眠れるオーロラの幻影と出会うシーンなど、難しい表現も不自然さを感じさせず、うまくスムーズにこなしてみせた。こうしたところに、天性の資質が現れいると思う。
第3幕のグラン・パ・ド・ドゥは、二人にとって久々の晴れ姿だったが、さすがに息の合ったところを見せて、東京文化会館大ホールの満席の観客の喝采を浴びていた。
リラの精は、ワガノワ記念ロシア・バレエ・アカデミーに留学経験のある平尾麻実(他日は堀口純、寺田亜沙子)。現在は下村由理恵バレエアンサンブルで踊っている。優しさのあるフェミニンな感覚のリラの精を踊った。それはそれで良かったのだが、リラの精は、善を象徴する役だから、一方では悪の象徴のカラボスとも毅然として戦う。後には引かない揺るぎない存在感も表さなければならない。そういう意味ではもう少し工夫があっても良かったかも知れない。
カラボスはモンゴル出身で谷桃子バレエ団で踊った敖強(他日は西島数博、マイレン・トレウバエフ)。悪の妖精としての異様な雰囲気はでていたが、歩き方に男性の強いステップに現れてしまっていた。フロリナ王女と青い鳥は、今井沙耶と酒井大樹(他日は塩谷綾菜と高橋貞之、奥田花純と菅野英男)。全体に活気が感じられる舞台でなかなか見応えがあった。
(2016年3月20日昼 東京文化会館大ホール)

tokyo1604c_03.jpg 松岡梨絵、橋本直樹 tokyo1604c_02.jpg 酒井はな、奥村康祐