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佐々木 三重子 text by Mieko Sasaki 
[2015.12.10]

若手の沖香菜子&梅澤紘貴のペアがフレッシュな魅力を発揮した、東京バレエ団『ドン・キホーテ』

東京バレエ団
『ドン・キホーテ』ウラジーミル・ワシーリエフ:新演出・振付

東京バレエ団が、〈Dance Dance Dance @ YOKOHAMA 2015〉のパートナー事業として、ワシーリエフ版『ドン・キホーテ』を上演した。同バレエ団は、7月末にこの演目を〈世界バレエフェスティバル〉の全幕特別プログラムとしてゲストを招いて上演し、また8月には〈めぐろバレエ祭り〉の一環として、子どものための短縮版『ドン・キホーテの夢』を上演している。
今回キトリとバジルを踊ったのが短縮版でも主演した沖香菜子と梅澤紘貴のペアだったこともあり、全体にとてもこなれた展開だった。ワシーリエフ版では、ドン・キホーテがバジルに髭を剃らせている時、鏡に映ったキトリを麗しのドゥルシネア姫と思い込むという導入部に特色があり、サンチョ・パンサを鎧持ちに従え、ドゥルシネア姫を探し求めて冒険の旅に出るという流れに自然につながる。その後の展開はオーソドックスだがスピーディで、とにかく多彩な踊りが満載で飽きさせず、主役だけでなく脇役たちの芝居にも細やかな配慮がなされており、活気にあふれた舞台になっていた。

tokyo1512t_3404.jpg 撮影:長谷川 清徳 tokyo1512t_3413.jpg 撮影:長谷川 清徳 tokyo1512t_3960.jpg 撮影:長谷川 清徳

沖と梅澤の若手ペアは、恋の駆け引きを楽し気にこなし、息の合った安定した演技で、フレッシュなキトリとバジルを演じてみせた。沖は脚のラインも美しく、場面に応じて華のある端正な踊りをみせたが、キトリとしてはもっと弾けるようなパンチがあっても良さそうだ。
梅澤はスリムで颯爽としたバジル。沖を片手で楽々とリフトし、ジャンプやピルエットも快調にこなし、陽気にふるまった。
エスパーダはプリンシパルとして入団間もない秋元康臣で、キレのある脚さばきが何とも爽快だった。メルセデスの川島麻実子のしなやかなバネの利いた踊りと、若いジプシーの娘の奈良春夏のしっとりとした、それでいて凄みのある踊りが対比を成した。キューピッドの吉田早織が可愛らしかった。ドン・キホーテの木村和夫やサンチョ・パンサの氷室友らは手慣れた役作り。岡崎隼也はガマーシュの誇張したキザな身振りも堂に入り、舞台脇でも細かな芝居をみせていた。快活なセギディーリャやクラシカルな森の妖精たちの群舞もまとまっていたが、中でもジプシーの踊りでは男性陣のパワーが炸裂したようで迫力があり、見応えがあった。バレエ団が自信の演目とするのが良く分かる舞台だった。
(2015年10月31日 神奈川県民ホール)

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tokyo1512t_3653.jpg tokyo1512t_3552.jpg
tokyo1512t_3630.jpg 撮影:長谷川 清徳(すべて)