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佐々木 三重子 text by Mieko Sasaki 
[2015.10.13]

若手新進ダンサーたちを引き立てた三谷恭三版『くるみ割り人形』、青山季可が際立った

牧阿佐美バレヱ団
『くるみ割り人形』三谷恭三:演出・改訂振付(プティパ/イワノフ版による)

牧阿佐美バレヱ団が、来年の創立60周年に向けた記念シリーズの第3弾として、『くるみ割り人形』を上演した。年末恒例の演目だが、同団が33年にわたり公演を行ってきた東京・五反田のゆうぽうとホールが9月末で閉館になるため、ここでの最後の演目として取り上げたもの。3回公演で、主要な金平糖の精や王子、雪の女王はトリプルキャストが組まれていた。その初日の昼の公演を観た。

tokyo1510c_0044.jpg 撮影/鹿摩隆司(すべて)

牧阿佐美バレヱ団が2001年から上演している三谷版は、クララは子どもが、金平糖の精は大人のダンサーが踊るスタイル。クリスマス・パーティでの客や子どもたちによる群舞は割合あっさりした提示だが、その一方、クララや兄のフリッツ、ドロッセルマイヤーの甥など、若手を引き立てる演出がなされていたように思う。クララを踊った矢部桃子は、一つ一つのステップをひたむきに踏む様が初々しかった。場が進むにつれて踊りも演技も安定してきた。フリッツを演じたのは関剛多。まだ小柄だが、精確なきれいな脚さばきが目を引いた。ドロッセルマイヤーの甥の橋本哲至も、勢いのあるジャンプを見せた。

雪の女王に抜擢されたのは高橋万由梨。まだ牧阿佐美バレヱ塾の生徒だが、リズムにのって、しなやかで勢いのある跳躍をこなし、堂々とした演技だった。金平糖の精は織山万梨子で、安定した端正な演技をみせた。王子はヴェテランの菊地研。こなれた演技と踊りで、緊張気味の若手への気遣もうかがえた。クリスマス・パーティでの人形たちの踊りや、お菓子の国での民族舞踊は、総じて卒のない出来だったが、アラブを踊った青山季可のたおやかで艶やかな身のこなしが際立った。季節はずれの『くるみ割り人形』ではあったが、毎年手掛けている演目だけに、スムーズなステージ運びだった。それにしても、ゆうぽうとホールはバレエの公演会場として親しまれてきただけに、今後はどこのホールに移るのか、それが気にかかった。
(2015年9月5日昼 ゆうぽうとホール)

tokyo1510c_0355.jpg 高橋万由梨 tokyo1510c_0487.jpg 米澤真弓、橋本哲至 tokyo1510c_0637.jpg 織山万梨子、菊地研
tokyo1510c_0005.jpg プロローグ tokyo1510c_0580.jpg 中川郁、清瀧千晴
tokyo1510c_0056.jpg 撮影/鹿摩隆司(すべて)