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佐々木 三重子 text by Mieko Sasaki 
[2015.08.10]

R・フォーゲルをゲストバレエマスターに迎えて舞台をグレードアップ、東京シティ・バレエ『ジゼル』

東京シティ・バレエ団
『ジゼル』金井利久:演出・振付(プティパによる)

東京シティ・バレエ団が、ロマンティック・バレエの名作『ジゼル』(演出・振付:金井利久)を上演した。さる5月には、このバレエに基づく創作落語『おさよ』を書き上げた柳家花緑の語りに、印象的なバレエ・シーンの実演を組み合わせるという、少々破天荒な企画《落語バレエ『ジゼル』》を開催して話題を呼んだばかり。今回は、かつてシュツットガルト・バレエ団のプリンシパルとして活躍したローラン・フォーゲルをゲストバレエマスターに迎えて臨んだ、正攻法のバレエ公演である。主役はダブルキャストで、初日は志賀育恵と黄凱のヴェテラン同士が組み、2日目は中森理恵とキム・セジョンの若手ペアが演じた。その初日を観た。

tokyo1508b_ACT1-02.jpg ペザント:森絵里、岸本亜生
撮影:鹿摩隆司(すべて)

東京シティ・バレエ団は1969年から金井版『ジゼル』を上演してきているだけに、こなれた舞台展開で、緻密にドラマが紡がれていった。ジゼル役の志賀は第1幕では足先の表情も繊細に、可憐に踊り、第2幕では柔らかく腕を操り、漂うように軽やかに舞い、終始、安定感のある演技をみせた。アルブレヒトの黄凱は、すらりとして見栄えがよく、共演を重ねているだけに志賀との息も合っていた。婚約者の前で取り繕う様や気がふれたジゼルを見やる心理も自然体で伝え、2幕では許しや救い求める気持ちをジャンプにこめていた。二人のやりとりからは、実際に会話が聞こえてくるようだった。

ヒラリオンのチョ・ミンヨンはいかにも素朴で実直な青年で、ジゼルへの一途な思いとアルブレヒトへの敵愾心をストレートに表現し、ドラマを引き締めた。ペザントの森絵里と岸本亜生は、それぞれ丁寧に踊っていたが、テクニックにさらに磨きがかかればと思う。ミルタの清水愛恵は鮮やかなパ・ド・ブーレを見せ、威厳のある佇まいでウィリたちを統率した。ウィリたちの群舞はバレエ団のレベルを示す見せ場でもあるが、手足の動きやステップが良く揃い、幻想的な雰囲気を醸していた。第1幕の村人たちのアンサンブルもよく揃っていて、快活さが伝わってきた。全体に踊りの精度が増し、踊りにこめられた情趣がより強く感じられたのは、ゲストバレエマスターに迎えられたフォーゲルの指導の成果の表れなのだろう。今後に期待したい。
(2015年7月11日 ティアラこうとう大ホール)

 

tokyo1508b_ACT1-01.jpg ジゼル:志賀育恵、アルブレヒト:黄凱 tokyo1508b_ACT1-03.jpg ジゼル:志賀育恵、ヒラリオン:チョ・ミンヨン
tokyo1508b_ACT2-01.jpg 第2幕 ウィリたち tokyo1508b_ACT2-02.jpg ミルタ:清水愛恵、ヒラリオン:チョ・ミンヨン
tokyo1508b_ACT2-03.jpg ジゼル:志賀育恵、アルブレヒト:黄凱
撮影:鹿摩隆司(すべて)