ワールドレポート ~世界のダンス最前線~

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関口 紘一 text by Koichi Sekiguchi 
[2015.06.10]

様々なジャンルのプレミアムなダンサーが集結して、愛と平和と復興をテーマに踊った!

PREMIUM DANCE GALA プレミアム・ダンス・ガラ
ジャパン・ダンス・イノベーション 西島数博:芸術監督

西島数愽が代表を務めるJ. D. I. が主催したノンジャンルのダンス公演「プレミアム・ダンス・ガラ」が開催された。 J. D. I. とは「国内外で活躍中の異ジャンルのダンサーやアーティストが集う革新的な企画団体」でジャパン・ダンス・イノベーションのイニシャル。その J. D. I. 主催の「国内外で活躍するプレミアムなダンサー達が絆〔Bonds〕愛〔Love〕平和〔Peace〕復興〔Revive〕をテーマに集結」した公演に、多数のダンサーが参加して開催された。そして舞台は、まさに標榜されている通り、様々なジャンルのダンスが混在して踊られた。

tokyo1506d_01.jpg 『Rhapsody in blue/ラプソディ イン ブルー』

第1部開幕は、ガーシュインの名曲に堀内充が振付けた新作『Rhapsody in blue/ラプソディ イン ブルー』。プリンシパルは柴田有紀と安村圭太で、他にソリストとアンサンブルの女性ダンサー13名が踊った。夜の摩天楼を背景に、都会の詩情を漂わせた魅力的なダンスだった。
続いて『タラス・ブーリバ』より「ゴパック」お馴染みのロシアの民族舞踊をアレンジした豪快なジャンプが矢継ぎ早に踊られた。自身でザハロフの振付を改訂振付した、茂木恵一郎が踊った。ヨーロッパの舞台で踊っているダンサーである。
3曲目は西島数愽原案、小尻健太振付の『雨ニモマケズ』。Dill「Wueqfeth Un Norla 1st ”Kadura“」とザ・フォーク・クルセダーズの「11月3日(雨ニモマケズ)」とともに鈴木ユキオ、高比良洋、梶谷拓郎のトリオが踊った。この公演の復興というテーマを東北の芸術家、宮沢賢治の詩の心に響かせるような舞台だった。

tokyo1506d_02.jpg 『Rhapsody in blue/ラプソディ イン ブルー』 tokyo1506d_03.jpg 『海賊』

『海賊』のパ・ド・トロワは谷桃子バレエ団の3人、メドゥーラの永橋あゆみ、コンラッドの今井智也、アリの三木雄馬が踊った。谷桃子バレエ団は、今年の3月に『海賊』の新しいプロダクションを上演。このヴァージョンはアリが登場しないものだったが、ここで踊られたのは定番の逞しいパ・ド・トロワだった。原田薫が振付けた『feel』を原田自身とストリートダンサーのYoshieが踊り、再び古典バレエの定番、『ドン・キホーテ』のグラン・パ・ド・ドゥ。これはプティパ版のアントレとフィナーレを西島数愽が振付けたもの。松岡梨絵と橋本直樹が堂々とした踊りを見せた。『透き通った夢』は辻本知彦が新たに振付け、白河直子と踊った。白河直子は怪我から復活し、3月末に出演した笠井叡作品に続いての舞台だった。相変わらず驚異的・芸術的な身体性を見せた。『天と地をつなぐ者』は篠原聖一振付による下村由理恵のソロだった。プラチナ・ブロンドのウィグと同色の衣装で、バッハの音楽に乗せて踊った。

tokyo1506d_04.jpg 『ドン・キホーテ』 tokyo1506d_05.jpg 『ドン・キホーテ』
tokyo1506d_07.jpg 『透き通った夢』 tokyo1506d_08.jpg 『透き通った夢』

第二部は西島数愽の演出・振付の新作『OTO』から始まった。一部曲もつかわれたが、ほとんどは、タップ・ダンスが刻む音に合わせてコンテポラリー・ダンス、バレエ、ストリート・ダンス、ボールルームダンスのダンサーが次々と登場し、ランダムに入り乱れて踊るステージだった。HIDEBOH、西島鉱治、穴井豪、亀川隆史、富岡真子らも振付に参加し、8人のダンサーが異なったジャンルのダンサーとも組んで踊る舞台はなかなか壮観で活気があった。タップ・ダンスの音はダンサー自身が舞台で発する音。それとコラボレーションする他ジャンルのダンサーは、ミュージシャンが演奏する音ではないステップの発する音に対して、いっそうダンスのライヴ感覚を昂揚させているかに見えた。ダンスと音の新たな関係が垣間見えたかに感じられたステージだった。
吉本真悟の新作『Bonne!』を吉本自身が踊った後は、古典バレエ『ヴェニスの祭り』より「サタネラ」のグラン・パ・ド・ドゥ。プティパの振付、プーニの音楽である。西田佑子とヤロスラフ・サレンコが踊った。これはプーニの『ヴェニスの謝肉祭』という音楽(民謡などを集めた曲)に、プティパが振付けたもの。悪魔に恋してしまった青年、という設定の踊り。これにはいろいろと背景があるのだが、それはともかく、コミカルでコケティッシュな表情を浮かべながら恋の駆け引きを踊るもの。西田佑子とサレンコのくるくると変わる顔の表情と身体の動き、軽やかなステップを充分に楽しんだ。西田佑子の花のように明るく美しい容姿にぴったりの踊りだと思う。

tokyo1506d_09.jpg 『OTO』 tokyo1506d_10.jpg 『OTO』
tokyo1506d_11.jpg 『ヴェニスの祭り』 tokyo1506d_12.jpg 『ヴェニスの祭り』
tokyo1506d_13.jpg 『ヴェニスの祭り』 tokyo1506d_14.jpg 『ヴェニスの祭り』

ピアソラの曲に名倉加代子が振付けた『画家のタンゴ』は、シアター系ダンサーの舘形比呂一とバレエダンサーの高岸直樹のデュエット。長身の二人の男性ダンサーの踊りは見応えがあった。
最後はこの公演のために西島数博が演出・構成・振付けた、すべてのジャンルのダンサーによる『LONGSNOW〜東日本大震災復興へのメッセージ〜』。ストリート・ダンスの振付と出演は、PlnO, KATSUMI, GENKI, SHOGO, YOSHIYUKI、アルゼンチンタンゴの振付と出演はChizuko, Maxi, Gomez、コンテンポラリー・ダンスのソロの振付と出演は三枝宏次。音楽はバッハ、モーツァルト、チャイコフスキー、ラフマニノフほかを使用。それだけではない、映像と言葉も映し出して、プロローグとエピローグを付けた全Ⅹ(10)章の舞台構成。主な出演者は鈴木美波、浜崎恵二朗、吉田邑那、風間無限、針山愛美、副智美、浅田良和、井脇幸江、荒井英之佐藤麻利香、三木雄馬、キミホ・ハルバート、逸見智彦、富村京子、藤野暢央、小林真歩、近藤美緒、宮本祐宣、梶谷拓郎、西島数博ほか。第Ⅹ章では可愛い少女(小林真歩)が登場して、西島数博とともに未来への希望を表わした。
そして最後は出演者全員によるグランドフィナーレとなり、およそ100名ものダンサーが名残りを惜しみつつ華麗に踊った。
(2015年4月24日 メルパルクホール)

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『LONGSNOW〜東日本大震災復興へのメッセージ〜』