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関口 紘一 text by Koichi Sekiguchi 
[2015.04.10]

マトヴィエンコと伊藤が豪華に、中川と清瀧も華やかに踊った牧阿佐美バレヱ団『眠れる森の美女』

牧阿佐美バレヱ団
『眠れる森の美女』テリー・ウエストモーランド:演出・振付(M.プティパによる)

牧阿佐美バレヱ団の『眠れる森の美女』は、英国ロイヤル・バレエ団で踊りスェーデン王立バレエ団のバレエマスターを務め、英国に戻ってマーゴ・フォンテーンやルドルフ・ヌレエフなども教えたテリー・ウエストモーランドの振付。ウエストモーランドの振付は、マリインスキー劇場バレエの監督だったニコライ・セルゲイエフが英国に持ち込んだ、ステパノフ式のノーテイションにより上演され、プティパの原振付を尊重した舞台に基づいている。世界的に原典のマリインスキー劇場のヴァージョンに最も近い作品と認められているもの。このヴァージョンによる『眠れる森の美女』は1939年に、ロシア以外の国でバレエ・リュスを除いて最初にロンドンで上演された。その時主演したのはフォンテーンとヌレエフだった。

tokyo1504e-01.jpg 伊藤友季子、デニス・マトヴィエンコ
撮影/鹿摩隆司

私は牧阿佐美バレヱ団の『眠れる森の美女』を、伊藤友季子のオーロラ姫とマリインスキー・バレエのプリンシパルダンサー、デニス・マトヴィエンコのフロリモンド王子で観た。リラの精は久保茉莉恵だった。長身を生かして踊ったが、善と悪の対立が火花を散らすような展開はなかったので、あまり際だったがドラマはなかった。カラボスは保坂アントン慶。フロレスタン24世は逸見智彦、王妃は吉岡まな美だった。
マトヴィエンコはさすがマリインスキー・バレエのプリンシパル、という踊りで舞台全体を引き締めた。伊藤友季子もローズアダージオではやや心許ないところも感じられたが、マトヴィエンコと踊るシーンになるとしっかりとして豪華な踊りをみせ、安心させてくれた。伊藤友季子はクラシック・バレエの豪華さを出せる数少ないダンサーなのだから、もっともっとがんばってほしいと願う。マトヴィエンコは全盛期を彷彿させるスピードに乗った踊りで客席を圧倒した。中川郁のフロリン王女と清瀧千晴のブルーバードの踊りも盛り上がった。中川郁は華やかさがあり魅力的。演技力もあるのだから積極的に登用して欲しいダンサーの1人である。清瀧千晴も勢いのある踊りで、このペアは生彩を放った。このペアが踊るオーロラ姫とフロリモンド王子も観たいものだ、と思わせた。
(2015年2月28日 ゆうぽうとホール)

tokyo1504e-02.jpg tokyo1504e-03.jpg
撮影/鹿摩隆司(すべて)