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関口 紘一 text by Koichi Sekiguchi 
[2015.02.10]

ボルチェンコ、マトヴィエンコによる悪魔ロットバルトに打ち勝つハッピーエンドの『白鳥の湖』

Mikhailovsky Theatre ミハイロフスキー劇場バレエ〜旧レニングラード国立バレエ〜
『白鳥の湖』マリウス・プティパ、レフ・イワノフ:原振付、アレクサンドル・ゴルスキー:振付、アサフ・メッセレル:改訂演出、ミハイル・メッセレル:再振付

ミハイロフスキー劇場バレエ(旧レニングラード国立バレエ)の『白鳥の湖』は、1958年にはマールイ劇場バレエ(後のレニングラード国立バレエ)の設立者であり、キーロフ・バレエ、ボリショイ・バレエの芸術監督も務めたことのあるフョードル・ロプホフが、プティパの原典を復元する試みを行い上演している。その後、1980年にはニコライ・ボヤルチコフが新演出による『白鳥の湖』を上演した。さらに2009年にはグリゴローヴィチ版が登場するまでモスクワ、ボリショイ劇場のレパートリーだった、首席バレエ・マスターのミハイルの叔父に当たるアサフ・メッセル改訂演出、アレクサンドル・ゴールスキー振付の『白鳥の湖』をレパートリーに採り入れている。

tokyo1502c_0088.jpg エカテリーナ・ボルチェンコ
撮影/瀬戸秀美

私はオデット/オディールがエカテリーナ・ボルチェンコ、ジークフリートがデニス・マトヴィエンコ、ロットバルトはウラジーミル・ツァル、道化はアレクセイ・クズネツォフというキャストで観た。
第1幕は比較的オーソドックスな展開でパ・ド・トロワが踊られる。道化はもちろんだが、王子もしばしば踊った。第2幕のボルチェンコのオデットは、「涙でできた湖」の畔で踊っているにしては、悲しみの表現がすこし弱く感じられた。もっとジークフリートとの心の交流を表現しながら、思い入れを表わして踊っても良いのではないか、と思う。
第3幕の冒頭は、道化とマスクをした4人の女性ダンサーのパ・ド・サンク。このジークフリート王子の花嫁を選ぶ舞踏会で、何か大きな事件が起りそうなミステリアスな雰囲気を醸した。デヴェルティスマンは、ナポリ、チャールダッシュ、マズルカがなかなか豪華に踊られた。そしてスパニッシュは、ロットバルトの手下として派手に登場。オディール、ロットバルトを防備しながら退場する。ボルチェンコのオディールは、意味ありげな表情を巧みに作って王子の誘惑に成功する。
第4幕では、ボルチェンコも深い悲劇の表情を作っていた。オデットとジークフリートは二人の愛の力によって、悪魔ロットバルトの魔力を打ち破り、結ばれるというハッピーエンドで結幕した。マトヴィエンコによるジークフリート役のスピード感と切れのある素晴らしい踊りは、今でも私の記憶に留まっている。しかしここでは、落着いて丁寧にソフトに踊り、豊かな表現力をみせてその期待に応えていた。
(2015年1月10日 東京国際フォーラム Aホール)

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tokyo1502c_0190.jpg 「白鳥の湖」撮影/瀬戸秀美(すべて)