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佐々木 三重子 text by Mieko Sasaki 
[2014.11.10]

ダンサーたちがオーケストラに刺激されながら、石井清子振付の『カルメン』を踊った舞台

東京シティ・フィルハーモニック管&東京シティ・バレエ団
〈オーケストラwithバレエ〉『カルメン』石井清子:振付

〈オーケストラwithバレエ〉はオーケストラとバレエが同じ舞台の上で共演するというユニークなシリーズ。東京文化会館とティアラこうとうの共催による「フレッシュ名曲コンサート」としてスタートしてから、今年でちょうど20回目を迎えた。東京シティ・フィルハーモニック管と東京シティ・バレエ団が江東区と芸術提携を結んだことにより実現した企画で、前半はオーケストラの演奏のみで、後半でオーケストラとバレエが共演する。
今回のプログラムは、第1部は映画音楽で、ジョン・ウィリアムズの『スター・ウォーズ 組曲』、第2部はビゼーの歌劇『カルメン』より抜粋した9曲という構成。『カルメン』は、振付を手掛けた石井清子が舞踊生活50周年記念で主役を踊った思い出の作品であり、ビゼーの音楽が大好きなので、取り上げることにしたという。振付にあたっては、オペラの物語や登場人物によるのではなく、曲順にもこだわらず、自由な発想で作舞したそうだ。指揮はシリーズ初登場の海老原光。2010年から東京シティ・フィルのアソシエイト・コンダクターを務めている若手である。ほかに、カルメンのパートを歌うため、メゾソプラノの八木寿子が招かれた。

tokyo1411c_01.jpg 「カルメン」撮影/鹿摩隆司

『カルメン』は演奏のみの「闘牛士」で始まった。登場した女性ダンサーは黒の短いワンピースに赤いショール、男性も黒の衣裳で、引き締まった印象を与えた。オーケストラが舞台後方に配されているので踊りのスペースは限られ、振付も制約を受けるが、それなりに工夫は感じられた。
「前奏曲〜アラゴネーズ」では李悦がシャープな脚さばきを見せ、群舞もエネルギッシュ。女性だけによる「間奏曲」の後は男性陣による「アルカラの竜騎兵」とコントラストをつけ、カルメンがホセを誘惑する「セキディーリャ」では八木のふくよかな歌唱にのせて4人の女性を相手に岸本亜生が切れ味鋭く踊った。「ハバネラ」では、八木が思わせ振りたっぷりに歌ったのに対して、土肥靖子と岡博美、佐々春香の3人が見せた踊りは溌剌としてはいたが、奔放というニュアンスは希薄だった。最後は八木の歌が入る「ジプシーの踊り」で、ダンサー全員が参加。威勢のよいジャンプやピルエットを披露した男性ダンサーや、女性たちがそろってフェッテをして見せるなど、華やかに盛り上げた。これで終わりかと、何か物足りなく感じていたら、やおら「闘牛士の歌」の演奏が始まり、八木や出演したダンサーたちが勢ぞろいし、次々に挨拶した。人気の曲を、フィナーレのためにとっておいたのだ。石井によれば、〈オーケストラwithバレエ〉ではオーケストラの演奏を肌で感じられるのがダンサーにとっての醍醐味だそうだが、確かに、ダンサーが受けた刺激が伝わってくるような舞台だった。
(2014年10月12日 ティアラこうとう)

tokyo1411c_02.jpg 土肥靖子、岡博美、佐々晴香 撮影/鹿摩隆司 tokyo1411c_03.jpg 撮影/鹿摩隆司
tokyo1411c_04.jpg 撮影/鹿摩隆司 tokyo1411c_05.jpg 岸本亜生 撮影/鹿摩隆司
tokyo1411c_06.jpg メゾソプラノ 八木寿子 撮影/鹿摩隆司