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佐々木 三重子 text by Mieko Sasaki 
[2014.06.10]

ポップな音楽とバレエを融合させた『Dance lives on』

東京シティ・バレエ団
〈ラフィネ・バレエコンサート2014〉:『Dance lives on』小林洋壱:振付、ほか

東京シティ・バレエ団による〈ラフィネ・バレエコンサート〉は、古典バレエの名作と振付家の個性的なオリジナル作品を並べて上演し、それぞれの魅力を楽しんでもらおうというシリーズ。バレエ団の本拠地であるティアラこうとうの開館20周年に当たる今回の〈ラフィネ〉で注目されたのは、ロック音楽をクラシカルに演奏する女性だけのユニット「1966カルテット」との競演による新作『Dance lives on』で、振付家としては新進の小林洋壱が振付を手掛けた舞台。ビートルズが来日した年「1966」を冠したユニークな名のカルテットは、バイオリン2にピアノとチェロ各1という編成で、ビートルズをはじめクイーンやマイケル・ジャクソンのカバーで人気を得てきた。今回の『Dance lives on』では、マイケル・ジャクソンのアレンジされた6曲を舞台上でパワフルに演奏した。最初の「Smooth Criminal」はメインの薄井友姫と髙井将伍のペアをはじめ7組の男女による群舞で、レビュー的な感触。「Beat It」では、髙井を筆頭に男性陣が壮快に踊りまくり、続く「Ben」での柔らかな女性群舞と対比を成した。薄井と髙井による「Childhood」では、走り込む薄井を髙井が滑らかにリフトするなど、躍動感あふれるデュエットが展開され、全員総出の「We Are The World」で賑やかに閉じた。小林は、曲に応じて個性を持たせて自在に振付け、フォメーションも工夫するなど、手堅くまとめていた。ただ、ダンサーはもっと弾ける部分があっても良かったと思う。

tokyo1406c_03.jpg 『ダイアナとアクティオン』
撮影:鹿摩隆司

第2部は古典バレエのグラン・パ・ド・ドゥを集めた「バレエコンサート」。『ラ・フィユ・マル・ガルデ』より第3幕のグラン・パ・ド・ドゥでは、中森理恵が端正な演技を、岸本亜生が力強いピルエットをみせた。『ダイアナとアクティオン』では佐合萌香が安定したテクニックでたおやかに舞い、内村和真は力強い跳躍で逞しさを印象づけた。佐々晴香と黄凱は、『白鳥の湖』よりの黒鳥のグラン・パ・ド・ドゥを卒なくこなしていたが、それぞれの役の心の内まで表現しきれず、物足りなく感じられた。ここに群舞の入る作品があったなら、古典バレエとしての深みをよりアピールできたろうにと思ったが、難しかったのだろう。

第3部は石井清子の代表作『ジプシーダンス』の再々演。哀愁に満ちたメロディーや歯切れの良いリズムにのせて、若林美和と黄凱によるしっとりとしたデュエットや、男女の駆け引きをダンスで描いたような群舞など、変化に富んだ踊りが楽しめた。録音とはいえ、ラカトシュ・アンサンブルの演奏も刺激的だった。
(2014年5月25日 ティアラこうとう)

tokyo1406c_01.jpg 『Dance lives on』撮影:鹿摩隆司 tokyo1406c_04.jpg 『ラ・フィユ・マル・ガルデ』撮影:鹿摩隆司
tokyo1406c_05.jpg 『白鳥の湖』より 撮影:鹿摩隆司 tokyo1406c_02.jpg 『ジプシーダンス』撮影:鹿摩隆司