ワールドレポート ~世界のダンス最前線~

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佐々木 三重子 text by Mieko Sasaki 
[2014.01.10]

ダンサーの層の厚さを感じさせた三谷恭三版『くるみ割り人形』、牧阿佐美バレヱ団

牧阿佐美バレヱ団
『くるみ割り人形』三谷恭三:演出・改訂振付

牧阿佐美バレヱ団の『くるみ割り人形』は、総監督・三谷恭三が2001年にプティパ/イワノフ版に基づき改訂振り付けを行ったもので、総じてオーソドックスな舞台である。主要な役は今年もトリプルキャストで、金平糖の精と王子は、公演順に、日髙有梨と菊地研、青山季可と京當侑一籠、伊藤友季子と清瀧千晴のペアが務めた。雪の女王は、茂田絵美子、久保茉莉恵、中川郁。クララには、佐藤茉梨乃、鈴木里奈、平野そよ香という、将来を期待される三人が配されていた。3公演のうち、青山&京當組を観た。二人とも、踊り込んだ役だけに、安定した端正な演技だった。京當は立ち姿も爽やかで、クララ役の鈴木を優しくサポートし、青山とは息の合った踊りを展開。青山は華やかさに加えて、ある種のあでやかさを漂わせ、一つ一つのパを丁寧につないでいく。青山の鮮やかなフェッテや京當のしなやかな跳躍など、二人のグラン・パ・ド・ドゥは見応えがあった。

雪の女王の久保は楚々とした雰囲気で軽やかに舞い、雪の精たちの群舞も美しく整っていた。お菓子の国で繰り広げられた各国の舞踊も、しっとりと情緒を紡いだアラブや、機敏な舞いを見せたチャイナ、威勢のよいトレパックなど、それぞれの特色を伝えて、まずまずの成果。クララの鈴木は、身のこなしが柔らかで、心をこめてステップを踏み、心の底から演技していたという感じ。その真摯な取り組みには好感が持てた。
また、3公演通してクララの兄のフリッツを演じた阿久津丈二は、勢いのある踊りと演技を見せた。「小さなコックたち」として参加したバレエ学校の子どもたちも、いつもながら可愛らしかった。毎年恒例の演目だけに全体にこなれた展開で、主力ダンサーと若手をバランス良く組み合わせた配役で、ダンサーの層の厚さを印象づけもした。
(2013年12月14日夜 ゆうぽうとホール)