ワールドレポート ~世界のダンス最前線~

From Tokyo <東京>: 最新の記事

From Tokyo <東京>: 月別アーカイブ

関口 紘一 text by Koichi Sekiguchi 
[2012.12.10]

幕を下ろすのが惜しまれたエンディング『デューク・エリントン・バレエ』

牧阿佐美バレヱ団
"DUKE ELLINGTON BAKKET" BY Roland Petit
『デューク・エリントン・バレエ』ローラン・プティ:振付

『デューク・エリントン・バレエ』はローラン・プティが、牧阿佐美バレヱ団の創立45周年のお祝いのために振付、ナポリ・サンカルロ・バレエ団とともに製作され、2001年新国立劇場で世界初演されたバレエ。もちろん牧阿佐美バレエ団のダンサーがオリジナル・キャストである。その後、再演を重ねバレエ団としては2008年のスペイン・ツアーで上演して以来の上演だが、日本の舞台には9年ぶりの登場となる。

今回は、ボリショイ・バレエ団のプリンシパル・ダンサー、マーリア・アレクサンドロワとファースト・ソリストのデニス・サーヴィンがゲスト出演した。
冒頭の「The Opener」は、入団したその年に、この『デューク・エリントン・バレエ』でローラン・プティに抜擢されてソリストとなった菊地研。この「The Openaer」ではなかったが、オリジナル・キャストだった。その後、日本人で唯一人、プティのワールド・ツァーに参加した。牧阿佐美バレヱ団では、通常のレパートリーとともにプティ作品の主要な役を踊ってきた。今回は、首を痛めて一部予定されていた役を変更した、ということだったが、堂々と躍動感のある踊りだった。結局、菊地は「It don't mean a thing(If it ain't got that swing)」と「Take the "A"Train」を踊った。そのほかのダンサーでは、このところ活躍の目立つ中家正博とラグワスレン・オトゴンニャムが目を惹いた。特にオトゴンニャムは動きが洗練されて軽快だった。
ロンドンから帰国して降板などがあった伊藤友季子も元気な姿を見せ、相変わらず華奢な身体でよくリズムをとっていた。
デニス・サーヴィンは力強い踊りで闊達に踊り、男性ダンサーの踊りが印象的なこの作品にまた、いっそうの花を添えていた。そしてマリーヤ・アレクサンドロワはさすがの貫禄を見せて、大輪の花を思わせる踊りだった。
全体にプティらしいエスプリがそれぞれのシーンで利いていて楽しく、美術もヴァライティがあって様々に変化のあるシーンを創った。森英恵の衣裳も洗練された日本人の愛らしさが生きて、素敵だった。ラストの「Take the "A"Train」はアンコールもかかって、観客も全員が会場ごと踊り出したような、そしてプティも一緒に踊っているような素晴らしい「ダンスのひと時」で、幕を下ろすのが惜しまれた。
(2012年11月11日 新国立劇場 中劇場)

tokyo1212g_01.jpg マーリア・アレクサンドラ 撮影/山廣康夫