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関口 紘一 text by Koichi Sekiguchi 
[2012.07.10]

ナポリの陽光を感じたマシモ・アクリ振付『Tarantella Napolitana』ほか

東京シティ・バレエ団
ラフィネ・バレエコンサート 2012

東京シティ・バレエ団は東京都江東区と芸術提携を結び、年4回、テイアラこうとうでバレエ公演を行っている。それに基づき「ラフィネ・バレエコンサート2012」も公益財団法人江東区文化コミュニティ財団が主催する公演となっている。

tokyo1207g_0766.jpg 撮影:鹿摩隆司

今回のラフィネ・バレエコンサートは、ゲスト振付家マシモ・アクリと若い振付家小林洋壱、ダンス・ユニットunit:Purpureの作品ほかが上演された。近年の東京シティ・バレエ団は、新しい理事長、安達悦子のもとで意欲的なプログラムが組まれている。今回は小林洋壱振付「Circle of Life」、安達悦子、中島伸欣の振付の古典のパ・ド・ドゥ、unit:Purepureの作品による「バレエコンサート」、マシモ・アクリ振付の「Tarantella Napolitana」という三部構成だった。
第一部の「Circle of Life」は、最近、時折、振付作品を発表している小林洋壱の新作だ。音楽は→Pia-no-jac←でピアノとヴァイオリンとパーカッションのトリオのミニコンポが舞台上で演奏した。5つのダンスと音楽の情景とコーダを構成したもので、現代的感覚のシャズダンスといった趣の動きだった。15名全員が赤いタスキのようなラインをあしらった黒の衣装。男性ダンサーの頭は赤く海賊風にまとめられていた。音楽や衣装デザインにも民族的なアクセントを加えていたが、全体にバランスがよく整って、なかなかセンスが良く爽やかな印象を残すダンスだった。ライヴ演奏が強い味方となっていた。

第二部のバレエコンサートでは橘るみとチョ・ミンヨンの『海賊』グラン・パ・ド・ドゥ(安達悦子再振付)、中森理恵と春野雅彦の『シンデレラ』パ・ド・ドゥ(中島伸欣振付)、若生加世子と黄凱の『眠れる森の美女』グラン・パ・ド・ドゥ (安達悦子再振付)が踊られ、最後はunit:Purpureの『Persistence』。このダンスユニットは東京シティ・バレエ団に所属する大石恵子と小原輝が結成し、昨年から振付活動を始めた。昨年9月に開催された第1回ダンス・クリエーション・アワードにもこの作品を短縮したもの発表した。坂本龍一の曲を使って黒い衣裳を着けた12名のダンサーが踊る。前進するチャレンジングなエネルギーを謳った若々しいリズムが印象に残る、アーバンな雰囲気のダンスだった。カンパニーの中からこうした創作への意欲が具体的に現れてくることは素晴らしいと思う。

tokyo1207g_0779.jpg 撮影:鹿摩隆司

第三部はマシモ・アクリ振付の『Tarantella Napolitana』。「タランテラ」はイタリア南部のナポリの舞曲で、「毒蜘蛛に咬まれたらこれを踊ると毒が消える」などとも伝えられている。『くるみ割り人形』のグラン・パ・ド・ドゥに使われていて、バランシン振付の弾けるようなダンスも有名だ。
マシモ・アクリはブルノンヴィルの『ナポリ』や『ゼンツァーノの花祭り』で知られるヘルステッドの曲に振付けている。淡いピンクやグリーン、ブルー、イエローなどのチュチュを纏ったダンサーたちの華やかな踊りが爽快。エトワールの志賀育恵とプリンシパルのキム・セジョンを中心に、タンバリンを打つソリストと花を掲げたコール・ドが織り成すように軽快に、目まぐるしくポジションを変えながら舞台狭し、と踊る。ナポリの明るく輝く太陽と蒼い海の色が、虹のように光に分解されて踊っているような、素晴らしい舞台だった。
(2012年6月3日 テイアラこうとう 大ホール)

tokyo1207g_0267.jpg 撮影:鹿摩隆司 tokyo1207g_0325.jpg 撮影:鹿摩隆司 tokyo1207g_0358.jpg 撮影:鹿摩隆司
tokyo1207g_0042.jpg 撮影:鹿摩隆司 tokyo1207g_0464.jpg 撮影:鹿摩隆司