ワールドレポート ~世界のダンス最前線~

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関口 紘一 text by Koichi Sekiguchi 
[2011.05.10]

TAKAHIROと湖月が踊り、ニュ−ヨークのダンスの熱気を運んできた

Takahiro Ueno / Angel Feliciano :振付・演出『Electric City』
THE MOVEMENT
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ニューヨークを中心に活躍するダンサー、振付家のTAKAHIROと元宝塚男役のトップスター、湖月わたる、そして6人のメンバーで構成されるTHE MOVEMENTが来日、ダンス・パフォーマンス『Electronic City』を東京、名古屋、大阪でが上演した。初日は、開幕直前に主演のTAKAHIROと湖月わたるに囲み取材を入れるという熱の入った公演だ。

イントロダクションに続いて開幕冒頭は、ニューヨークのムーヴメントシアターにオーディションにやって来たTAKAHIROの登場。真っ赤なシャツにジャケットを着てディパックを背負い、カメラを手にブロードウェイ界隈をキョロキョロ。街でダンスに興じてるストリート・ダンサーと知り合ってオーディションへと向かう。
しかし、全身シルバーのキンキラなステージ衣裳に珍妙な帽子、そして一枚のCD----、これが憧れのニューヨークで踊るために用意したTAKAHIROの一式すべてだった。これにはダンスの楽しさを知り尽くしているニューヨーカーたちは思わず引いた・・・。
ところが踊り始めたTAKAHIROを見て二度びっくり。全身に運動神経がはり巡らされた動きは抜群に敏捷そして闊達。ほとんど360度動くようにみえる可動域の広いあっちこっちの関節と、目まぐるしく変幻する表情を巧みに組み合わせてストリート・ダンサーたちの目を釘付けにした。
TAKAHIRO は18歳で「背中でぐるぐる踊っている人」を見て、ダンスに目覚めて熱中した。そしてニューヨークのヒップホップの殿堂、アポロシアターのコンテスト「アマチュアナイト」で年間ランキング1位を獲得して名を挙げた。09年にはマドンナのワールドツアーに出演し、昨年は自らプロデュースしたダンス公演『SIX DOORS』を成功させるなどトントン拍子にダンサーとして頭角を現し、日本でも「徹子の部屋」などテレビ番組にも登場して大いに注目を集めている。
オープニングはそうしたTAKAHIROの体験の一部をフューチャーした洒脱なショースタイルだった。さすがにニュ−ヨークの舞台で鍛えられているだけあって、観客の気持ちを掴むのがじつに上手い。

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そしてキャリアウーマン風の湖月わたるが登場し、アポロシアターの本番のステージへと進んでいく。湖月はニュ−ヨークで「徹底的に鍛えてもらった」とコメントしていたが、そのスラリと伸びた見事な手足を生かしたダンスは圧巻だった。湖月一人で、7人の男性ダンサーと拮抗しているようにすら感じられる存在感をみせていた。
もう一人、ヒューマンビートボックス、アノインティッドの「声」が、また素晴らしかった。ドラムやベース、スクラッチ音をすべてマイクを通した声で奏でる。その舌さばきの鮮やかさと完璧なリズム感にはすっかり感心させられてしまった。

『Electronic City 』の振付・演出に名を連ね、TAKAHIROのニューヨークのダンスの師でもあるエンジェル・フェリシアーノは、「ヒップホップと演劇の融合」を目指しているという。ニュ−ヨークのダンスの熱気を運んできた『Electronic City 』は、そうした意欲を感じさせる優れたエンターテイメントのパフォーマンスだった。あらゆる人種、宗教、思想、文化が集まり、最新の情報が飛び交い「街のいたるところで化学反応が起こっている」ニューヨークの「cool 」と「now」をダンスでみせたい、というTAKAHIRO の狙いは見事に成功を収めた。
(2011年4月19日 東京国際フォーラム ホールC)

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撮影:九重圭吾 舞台写真提供:トップコート/梅田芸術劇場
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