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関口 紘一 text by Koichi Sekiguchi 
[2011.05.10]

二見の新作3作が上演されたカレイドスコープ15周年公演

二見一幸:演出・振付・構成『魚の背』『Zippy』『ダンツァ・ディ・トランセ』『Schwaz Elian』
ダンスカンパニー カレイドスコープ
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1996年にスタートした二見一幸のカレイドスコープが創立15周年を迎え、4作品を上演した。プログラムにはカレイドスコープの15年の年譜が記され、スタッフたちの言葉が寄せられていた。
そしてアニヴァーサリーの公演は、演出・振付・構成すべて二見一幸による新作三作と『魚の背』の改訂再演だった。

『Schwaz Elian』は秒を刻むデジタルカウンターを背景に置き、現実音を流し続けながら短いシーケンスをフラグメンツ風に構成し、時折、断絶感のある音響を挿入してスポットで踊りをクローズアップする。絶対的に刻まれていく時間と現実に感じられる時間のコントラストが際立ち、情感のエスプリが舞台に浮かび上がり興味深かった。ただ比較的動きのシーケンスが短く、ポーズを見せるだけで変換しているように感じられてしまったのは、動き自体はきれいだっただけに少々残念だった。テンポ良く様々に変化した照明や音のインパクトが強かったために、余計にそのように感じられたのかもしれない。すっきりした黒い衣裳と光りのバランスやダンスの描く絵も統一感があったから、敢えていえばパワーが少し不足しているように見えた、ということになるのだろうか。

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『魚の背』は5人の女性ダンサーが踊った。幕開きはダンサー全員が背中をみせて踊り始めるなかなか美しいシーン。銀鱗が煌めく魚の背中の微妙な動きを女性ダンサーのフィジカルな美しさによって表したかのような作品だった。ラストシーンでは、生命が波のリズムとともに海へと還る姿をシルエットでみせた。

新作『Zippy』は、自身のカンパニー創立15年のアニヴァーサリーをギャグに使い、タップダンスで始めるといったなかなか凝ったオープニングだった。
ダンサーによる達者なジャグリングなどを織り込んで、男性ダンサー9人のエネルギッシュなヒップホップダンスが全開する。といっても全員が柔らかいタッチで、無理して超絶技巧をみせようといったバランス破壊的デモンストレーションはなく、観客とコミュニケーションを大切にしようとする余裕があり、楽しいステージだった。こういうところが安心して楽しめる二見ダンスの良質なところだ。さらにダンスにパワーを注入しつつ、鮮烈な美しさをきらりと光らせてほしい、と思った。
(2011年3月30日 あうるすぽっと)

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撮影:塚田洋一
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