ワールドレポート ~世界のダンス最前線~

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関口 紘一 text by Koichi Sekiguchi 
[2011.01.11]

西田佑子と黄凱が華やかに踊った松崎版『シンデレラ』

松崎すみ子:演出・振付『シンデレラ』
バレエ団ピッコロ
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バレエ団ピッコロの『シンデレラ』は西田佑子のシンデレラと黄凱の王子。高瀬瑶子の仙女率いる妖精たちが、小ネズミや時の精などに役割分担してファンタスティックな魔法を使う。魔法によって現れる場面は、もちろん、シンデレラの潜在的な気持も表しており、子供たちが可愛らしく踊りながら物語が展開していく。

西田佑子はいっそうほっそりとしたかのようにみえて、アームスの細やかな表現が心の微妙な揺らぎまで表して美しい。ただ怪我の影響がまだ残っているのだろか、あの溌剌と喜びに溢れるような西田佑子独特の命の息づかいが、少し足りないような気もした。
黄凱は落ち着いた舞台だった。特に2幕では12時に消えてしまったシンデレラを探し求める旅の最中、「いつまで捜しても見つからないよ」と失望して座り込んでしまうあたりに、軽い味のある巧まざるユーモアが現れている。なかなかユニークなキャラクターだと思った。森本由布子と松崎えみの義理の姉妹、マクシモ・アクリの義母、道化の小出顕太郎などもそれぞれ好演だった。

第2幕では六人の靴屋が登場したり、各国の踊りもオリエンタル、スペイン、ロシアに中国もあったと思うが、バレエでは珍しいパンチョを纏ったメキシコも登場してちょっと驚いた。また松崎えりと増田真也が踊ったオリエンタルもなかなか魅力的だった。それらも単なるディヴェルテスマンとしては終わらせないで、物語に組み入れる工夫を試みていた。
そしてラスト・シーンは、シンデレラと王子と妖精たちに「幸せな星のもと」というテーマを与えて充分に踊らせて、上手く締めくくった。松崎すみ子版は1984年初演で、毎回工夫を凝らしながら今回が10回目の上演、というだけあって無駄のない、しかしにぎやかで楽しいクリスマス公演だった。
(2010年12月22日 練馬文化センター)

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撮影:塚田洋一
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