ワールドレポート ~世界のダンス最前線~

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関口 紘一 text by Koichi Sekiguchi 
[2010.10.12]

島添亮子、高橋怜子、ホールバーグによる充実したトリプルビル

ケネス・マクミラン振付『コンチェルト』ニネッタ・ド・ヴァロワ振付『チェックメイト』マリウス・プティパ振付『パキータ』
小林紀子バレエ・シアター
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小林紀子バレエ・シアターの第97回公演は、ジュリー・リンコンを招いて作ったマクミランの『コンチェルト』とド・ヴァロワの『チェックメイト』、そして小林紀子の演出によるプティパの『パキータ』。アメリカン・バレエ・シアターのプリンシパル・ダンサー、デヴィッド・ホールバークをゲストとして上演された。

『コンチェルト』のファースト・ムーヴメントは真野琴絵と八幡顕光が軽快に踊った。特に八幡の身軽さはいつもながら爽快感がある。セカンド・ムーヴメントは島添亮子とデヴィッド・ホールバーグ。ショスタコーヴィッチのスローな重低音を利かせた曲が流れる中、研ぎ澄まされた造型の美しさを様々に描く難しいシーケンスが続く。島添とホールバーグのペアは身体的なバランスを巧くみせ、なかなか息が合った踊りだった。
続いて高橋怜子がリードするサード・ムーヴメント。良くリズムを捉えた高橋が爽やかな雰囲気を舞台に横溢させる。シャープな軽やかさがセンチメントを感じさせるからじつに魅力的。中野孝紀のピアノもダンスと一体となって良かった。振付家の鮮烈な構築性が印象に残った舞台だった。デボラ・マクミランが舞台美術をデザインしている。
 

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『チェックメイト』に続いて『パキータ』が上演された。
島添亮子とホールバーグがアダージョを踊った。十分な休憩時間が配慮されていたが、マクミランの鋭角的でエッジの利いたパ・ド・ドゥを踊ったステージの後に、オーソドックスなクラシック・バレエを踊る、という身体的にかなり過酷な条件なのではないだろうか。しかし島添は、多少のステップの乱れが垣間見えたとはいえ、見事に踊った。常に変わらぬ品の良い動きに、最近はスター性が備わってきてますます美しい。ホールバーグの存在を思わず忘れさせるような輝きをみせた。高橋も同じような条件だったが明るく楽しくヴァリエーションを踊った。
全体にスケール感があるわけではないが、3作品とも密度のあるまとまった小林紀子バレエ・シアターらしい公演だった。
(2010年8月29日 ゆうぽうとホール)