ワールドレポート ~世界のダンス最前線~

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関口 紘一 text by Koichi Sekiguchi 
[2010.09.10]

ローザンヌ・コンクールから巣立ったダンサーたちの様々な舞台

Lausanne Gala 2010 ローザンヌ・ガラ2010
熊川哲也 芸術監督 こどもの城 青山劇場
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ローザンヌ・ガラ2010は熊川哲也を芸術監督に迎えた。いうまでもないが、1989年、第17回ローザンヌ国際バレエコンクールがに史上2回目の引っ越し公演を、東京で開催した時のゴールド・メダルの受賞者が熊川哲也だった。当時、私は出版社に勤務していて、『ローザンヌ国際バレエコンクール東京』という特集号を編集していたが、<熊川哲也・ローザンヌ>というと、天才とは、最高の場所で最高の成果を上げる人のことなのだ、という事実を目前で体験したあの時の興奮が今でもまざまざと甦ってくる。
ローザンヌ国際バレエコンクールの現理事長、ベス・クラスナによると、38回行われたこのコンクールの日本人の参加者の総数は728名で、うち受賞者は65名だそうだ。毎回20名近い日本人参加し、多くバレエ・ダンサーたちがこのコンクールから世界の舞台へと巣立っていった。それだけ日本人に馴染み深いコンクールだけに、3年に一回、ガラ・コンサートが開催されているのだろう。

オープニングは09年と10年のローザンヌ国際バレエコンクール参加者が、キミホ・ハルバート振付の『Pas de Dix des Petites Etoiles』。

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まず、今年のスカラシップを受賞し、英国ロイヤル・バレエ・スクールに留学が決まっている佐々木万瑠子が『ラ・ヴァヤデール』のヴァリエーションを踊った。続いてK バレエ カンパニーのソリストの神戸里奈と英国ロイヤル・バレエ団ソリストの蔵健太が『眠れる森の美女』のグラン・パ・ド・ドゥ。ハンブルク・バレエ・スクールに留学し香港バレエ団で踊った金田あゆ子とライプチッヒ・バレエ団で踊った横関雄一郎はアレッシオ・シルベストリン振付のコンテンポラリー作品『譜の風景』を踊った。
英国ロイヤル・バレエ団のファーストソリスト、崔由姫とソリストの平野亮一は、アシュトン振付『タイス』パ・ド・ドゥ。崔由姫はスケールの大きさを感じさせる美貌のバレエダンサー。まだ、身体のすべてを使って表現しているとは言えないかもしれないが、豊かな可能性を感じさせる。大先輩のフォンテーンのようなロイヤル・バレエ団を背負っていくバレエダンサーに育つのではないか。平野はロイヤル・バレエ団の中でもトップクラスの身長と彫りの深い容貌が魅力的なダンサーである。将来、このペアがロイヤル・バレエ団の看板となって活躍する日もそう遠くない、と感じさせられた。ロイヤル・フランダース・バレエ団のプリンシパル・ペアの斎藤亜紀とウィム・ヴァンレッセンは、ウィリアム・フォーサイスの傑作『In The Middle, Somewhat Elevated』を踊って、前半が終わった。

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後半はミュンヘン・バレエの河野舞衣とプリンシパルのルスカ・スラヴィツキーによる『海賊』グラン・パ・ドゥ。そしてキラリと光ったのが、荒井祐子と清水健太のK バレエ カンパニー、ファーストプリンシパル同士のペアが踊った熊川哲也振付『ロミオとジュリエット』のパ・ド・ドゥ。バルコニーのシーンだったが、荒井の全身を投げ出さんばかりの演技と完璧なバランスの踊りが素晴らしかった。踊り慣れた清水がパートナーだけに、息がぴったり合って乱れのない舞台だった。続いてマーラー曲の『アダージェット〜アレス・ワルツより』を、ベルリン国立バレエ団のプリンシパル・カップル、SHOKOとヴィエスラフ・デュデックが踊った。二人の新しい関係を創りだす動きが展開した。SHOKOの見事なプロポーションによって、さらに表現が深まっていくようにさえ感じられた。

そして中村恩恵が自身のバッハ曲の振付作品『The Well-Tempered』を首藤康之と踊った。国際的にも認められている大人のバレエダンサーによる、堂々として自然で力強いエネルギーを感じさせる舞台だった。
最後はアメリカン・バレエ・シアターのソリスト同士、加冶屋百合子とジャレッド・マシューズが踊った『チャイコフスキー・パ・ド・ドゥ』がしめ括った。すっきりとしたスリムな加治屋の踊りはなかなか魅力的だった。
ローザンヌ国際バレエコンクールから出発して、世界の舞台で花開いたダンサーたちの活気あふれる元気な姿を見ることができて、幸せな気持ちになることができた一夜だった。
(2010年8月7日 青山劇場)

撮影:瀬戸秀美
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