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関口 紘一 text by Koichi Sekiguchi 
[2010.09.10]

吉田都、小林ひかる、ボネッリ、ポルーニン、マックレーが踊ったチャリティ公演

UNHCR・難民教育基金支援 チャリティ公演
スターダンサーズ・バレエ団

2003年にスターダンサーズ・バレエ団が吉田都主演によるピーター・ライト版『ジゼル』を上演して以来、3回目の国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)・難民教育基金支援チャリティ公演が開催された。
今回は、吉田都、英国ロイヤル・バレエ団の小林ひかる、フェデリッコ・ボネッリ、スティーヴン・マックレー、セルゲイ・ポルーニン、そしてキエフ・バレエ団の菅野英男が、スターダンサーズ・バレエ団とともに出演した。

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開幕は鈴木稔振付の『シンデレラ』グラン・パ・ド・ドゥを林ゆりえと菅野英男が踊った。林は08年に初演されたこの作品のオリジナルキャストらしく、細かな動きを丁寧に踊った。菅野は抑えめの表現から跳躍と回転で一気に身体を解放した。
続いて昨年11月、英国ロイヤル・バレエの『眠れる森の美女』で主役デビューを飾ったファースト・ソリストの小林ひかるとセルゲイ・ポルーニンのペアが、『グラン・パ・クラシック』を披露した。小林は落ち着いて、ロイヤル・バレエのオーロラ姫を踊るのに相応しい格調のある雰囲気を感じさせる。細やかな配慮が行き届いた素敵なバレエダンサーである。ポルーニンは今秋にはプリンシパルに昇格することが決まっているそうだが、若々しさが感じられる踊りだった。

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前後に休憩をとって『Degi Meta go-go』が35人ものダンサーが登場して上演された。
再び、小林ひかるがロイヤル・バレエのプリンシパル、フェデリッコ・ボネッリとマクミラン振付の『コンチェルト』第2楽章のパ・ド・ドゥを踊った。ショスタコヴィッチの音楽に振付けたこの作品の第2楽章は、スローなムーヴメントの難しいパート。経験豊かなボネッリと品のいい小林の踊りは、まさに息がぴったり合った見事なパートナーシップを見せた。
そして最後は、多くの観客がこの舞台をお目当てに集まってきていると思われる吉田都とスティーヴン・マクレーの『パキータ』。昨年、プリンシパルに昇格したマクレーは、ロイヤル・バレエ団期待の若手。今年4月に行われた吉田都のロンドンさよなら公演の『シンデレラ』でもパートナーを務めている。
吉田都の踊りは、どこにも力が入っておらず、自由でおおらか。表現する精神と身体が完璧に一致していて、どこからみても不自然なところがない。それでいてダブルを入れたグラン・フェッテをみせて、観客の期待にもきちんと応えている。マクレーもまったく心乱すことなく、思いきった技を披瀝していた。
吉田都は「ロイヤル・バレエの素晴らしい指導」を受けたことに感謝し、「教育を受けたくても受けられない子供たち」のために、チャリティ公演を積極的に行っている。こうした謙虚な気持ちこそが、吉田都の舞台を創っているのである。
(2010年8月1日 ゆうぽうとホール)

『パキータ』吉田都
『パキータ』
『パキータ』吉田都、スティーヴン・マクレー
『パキータ』
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Photo:(c)A.I Co.,Ltd.
※画像をクリックすると、大きな写真をご覧いただけます。(『パキータ』を除く)