ワールドレポート ~世界のダンス最前線~

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関口 紘一 text by Koichi Sekiguchi 
[2010.06.10]
『ルナ・レガーロ』に行ってきました。スターシェフが創る味覚の至福とスーパーサーカスの眼福に浸る一時。特に4人の鉄人の微妙にして絶妙の味わいの料理を同時に味わうことができるのは、奇蹟といってもいいかもしれない。何年分かの幸せを凝縮して堪能した気分です。

若く清新なダンサーが溌剌と踊ったウエストモーランド版『眠れる森の美女』

テリー・ウエストモーランド演出・振付『眠れる森の美女』
牧阿佐美バレヱ団
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牧阿佐美バレヱ団のウエストモーランド版『眠れる森の美女』は、07年6月以来の再演で、今回が8度目となる。森田健太郎が初めてカラボスを演じたのだが、私はフロレスタン24世に扮した日を観たので見逃してしまった。カラボスは保坂アントン慶がヴェテランらしく怒りをくっきりと見せて、舞台を引き締めた。全幕バレエを上演するためには貴重なダンサーである。
ウエストモーランド版は、冒頭からじつに丁寧に宮廷のセレモニーを構成して、この作品の悠揚迫らざる雰囲気を醸している。それを表現するためにはやはり、バレリーナばかりでなく、若く品質の良い男性ダンサーが揃っていなければならない。
牧阿佐美バレヱ団では、リラの精のカバリエールを務めた菊地研を始め、今勇也、中島哲也、清瀧千晴、塚田渉といったダンサーがそれぞれのカバリエールとなって、リラの精の田中祐子に続く笠井裕子、奥田さやか、米澤真弓、竹下陽子、橋本尚美の妖精たちをさわやかにサポートしていた。そして彼らはフランス、インド、ロシア、スペインの各国の王子にも扮して、若さ溢れるオーロラ姫の誕生日を華やかに祝った。
清瀧千晴は第3幕でブルーバードを踊って、フロリン王女の坂本春香とともに、会場を大いに沸かせた。

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そしてオーロラ姫は伊藤友季子、フロリモンド王子は京當侑一籠だった。
伊藤はオーロラ姫を踊るのは、前回に続いて2回目となる。相変わらずの美しさでいっそう安定感が増し、かつて時折見られたひ弱さはすっかり影を潜めた。オーロラ姫が王子のキスによって目覚めて踊る、喜びのパ・ド・ドゥは京當の王子とも息が合って、この舞台の美しさの象徴とも言える見事なダンスだった。ただ、全幕を見終わった後に感じたことは、プリマとしてどこにモチベーションを見いだせばいいのか、少々、迷っているのではないか、という印象をかすかに受けた。しかしそれは恐らく、杞憂にすぎないというべきだろう。
ウエストモーランド版の『眠れる森の美女』は、古風なゆかしさを残した演出、振付だが、若く清新なダンサーたちが踊ることで、一段と魅力的な舞台となっている。これはまた、クラシック・バレエにとっても素晴らしいことである。
(2010年5月22日 ゆぽうとホール)

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撮影:山廣康夫
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